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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

「貴女に娼婦は向いていない」と追放されたサキュバスさん。問いただすとどうにもオーナーの様子がおかしい

作者: セイメイ

「ロコッド……貴女を高級娼婦館ドリームヘルより追放するわ」

「オーナー、何故ですか!」


 ダンジョン街に存在する高級娼婦館ドリームヘル。将来の夢を買いに来る冒険者達や、あぶく銭の入った者たちが一時の夢を買いに来るその場所は、私の生まれ育った場所であった。

 まだ未成年のために働けず今年で学校を卒業すれば漸く働けると思ったさなかに、私は住む場所を失いそうになっている状況である。


「それは貴女がよくわかっているんじゃないの?」

「わからないよ! 私まだ働いてもいないのに……」

「話は以上よ。今すぐに自室の片づけを始めなさい」

「オーナー!」

「オーナー、言葉が完全に足りません」

「もう少し優しく言ってあげてください」


 足早に話を終わらせようとするオーナーに、側近である青髪捩じれ角と赤髪で露出が多い二人のサキュバスが窘められ立ち上がろうとしているのを肩を抑えつけられている。偶に会っては言葉が足りないことが多いけれども、追放されるにあたってここまで雑過ぎるのはあまりにもあんまりだ。

 ちょっと痛い目を見てもらうべきか……と考えていると溜息を付き、側近の手を払ってまたオーナーは座り直した。


「一つ一つ言わないといけないのロコッド? 貴女は地頭は良いんだから少しは考えなさい」

「言わなきゃわからないこともあるでしょうが! オーナーって何時も言葉足らずだよね!」

「何時も……そんなに私って言葉足らずかしら二人とも?」

「「全く足りません」」

「……そうなのね?」

「何で追放しようとしている私に対して聞くのママ」


 首をかしげるオーナーが一瞬可愛く見えたが既に経産婦である貴女がやってもあざとく……見えないのがやはり人気がある理由なのだろうかと、机に肘を置いて考える。年齢言っている筈なのに何でこんなに可愛いのか全くもって理解が出来ないところだ。


「で、結局理由は何なのよママ。一応職場内だからオーナーって言おうと思ったけど、面倒だからこれで良いよね?」

「えっ、気にしなくてもいいのに。ここは貴女の家よ?」

「今その家を追い出されそうになっているんですけど?」

「何時でも戻ってきていいわよ」

「さっきからキャラ崩れてるし、意図がわからなくて逆に怖い!」

「オーナー……さっさと本題に入るべきかと」

「有難う側近さん!」


 天然入っているというか何というか、ぐるぐると話が回っていてどうしようかと思っていたら流石に見兼ねた青髪の捩じれ角の側近さん……もとい第二のお母さんが話を進めようとしてくれた。ナイスタイミングである。

 毎回話すたびにこんな感じだから、これでようやく先に進めると一安心したところで机に肘をついたママは真剣な顔で思い出したように話し出した。


「ロコッド……貴女ね」











「今年中等部を卒業するでしょ? 冒険者高等学部の回復科から推薦の話が来てるから、ここを出払って入学して冒険者を目指すべきよ」

「えっママ、私推薦来てるの?」

「来てるわよ。貴女のスライムに対する研究レポートが素晴らしかったから回復科の常連さんに見せたら、校長から是非って」

「あれは……でも私」


 出した研究レポートは【スライムを利用した回復術】に関してだ。スライム族は自分の身体を分裂させることが出来て無性生殖と有性生殖が出来る種族であり、その身体は比較的様々な道具に使われている。

 事の発端は単純。娼婦館では様々なお客さんが来る為に、種族によっては性器などにダメージが入ることもある。その時に一般的な回復職に治して貰うにも一々呼ぶのもなんだし、その間商売が出来ないのも困ると聞いた私はお客様から頂いたスライムを使用して、入れさえ出来れば一日ぐらいで治る傷薬にしたのだ。

 認められたことは嬉しいのだけど、元々娼館で働くからと三人のお母さんへ役に立つと思って渡した物なので正直困惑しているところはある。大体スライム族は比較的ポピュラーな種族だ。ここの娼婦館にお客様として来ている人もいるし、お願いすれば身体を分けてくれるのでどこでも研究できる筈である。それだけに、高等部に進むとお金もかかる事を考えてしまう。


「先に言うけどお金は気にしないで良いわよ。高級娼婦館であるここにお金が無いわけないじゃない」

「確かにそうだけどママ。それなら学校に行くお金を研究費に全部当てたいんだけど」

「そう言うと思ったわ。だけど、高等部の回復科なら貴女が研究したがってるテンタクルも好き放題出来るらしいわよ?」

「えっ、何それ素敵!」


 ママの言うテンタクルはモンスターでは無い者が極めて珍しい種族の一つである。全身が筋肉で出来た種族で見た目を気にして僻地にて隠れていて、それが高等部に行けば会えるのであれば素晴らしく魅力的である。

 テンタクル族は大人になると集合体となって形を成すのだけど、自分の意志で分離させることによる単体生殖を行うことが出来てそれを利用した媚薬や突然変異を意図的に起こすことで、様々な種族に慣れると大変面白いのである。

 ……上手く突然変異してくれれば痛みを感じないように麻痺毒を打ち込めるし、なんなら魔法による回復で治せない症状を改善させることも出来るのではないだろうかとワクワクしてきた。


「目が輝いているわね。職業適性の検査の際にユニークジョブのドクターで選ばれた時から思ってたのだけど、ロコッドには好きなことして欲しいの」

「でも、私はお母さまみたいな立派な娼婦になって研究もしたい」

「それは学校を卒業してからでも遅くないでしょ? 私だってジョブ適性で言えばアサシンだし、この二人だってモンクとナイトだしね」

「私のお母さん全員戦闘職だったんだ……」


 まさかの高級娼婦館のナンバー3までが戦闘職と言う衝撃の事態が発覚してビックリである。そう言えば、トラブルがあったとしても他の娼婦館と比べてやけに武力行使で物事を解決するんだなと思っていたのだけど納得ではある。


「そんな訳だから、貴女は荷物を纏めて三日後に入学式があるから引っ越しの準備をしなさい。学費なら幾らでも出すから立派なドクターになりなさい」

「やっぱり勝手に話勧めてるのね……わかったよママ。立派になって戻って来る」

「泣くなよ青髪」

「娘が成長したことは嬉しくて……」

「ふふっ、今夜は娘の成長を祝ってくんずほぐれつね♪」

「「……楽しみですね」」

「娘の前でそれを言うな馬鹿ママ。帰って来たら娘が出来ること確定した私の複雑な気持ちを考えなさい」


 なし崩しではあるけども新たな研究が出来ることが分かった私は親のイチャイチャにげっそりしつつ、部屋から出て持っていた鍵でその部屋を閉めた。

 取りあえず、高等部でも徹底的に研究をしようと思いつつスキップしながら自室に向かうのであった。

ロコッド

・この物語の主人公。年齢は中学生のサキュバス

・産まれてからずっと娼婦館育ちだけど、ちゃんとした教育を受けている。

・ユニークジョブのドクターの適性がある。一般的な回復職と違う。


オーナー

・誤解の種。ロコッドのお母さんでサキュバス

・職業適性はアサシン

・高級娼婦館ドリームヘルのオーナー。人間態女性専門の娼婦で、極上の快楽に持って行くことで有名

・一婦多妻で側近二人と出来ている。サキュバスの秘薬で子供も作った。

・言葉が足らないし、何なら天然。


青髪の捩じれ角

・側近その1。ロコッドのお母さんでサキュバス

・職業適性はモンク

・高級娼婦館ドリームヘルのオーナーの側近。異種態専門の娼婦。

・オーナーと出来ている。自分の子供が大きくなったことが結構嬉しい。

・涙もろい感じ。


赤髪の露出多い方

・側近その2。ロコッドのお母さんでサキュバス

・職業適性はナイト

・高級娼婦館ドリームヘルのオーナーの側近。両方ともいける娼婦で、ドS。

・オーナーと出来ている。青髪より子供が出来るのが遅かった。

・本編ではあまり話さないけど比較的辛らつ

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