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アケミおじさん奮闘記  作者: 庚サツキ
第五部

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346/346

346 顔合わせ

 冒険者として久しぶりの依頼を受けた。

 内容は、マリーの住んでいるフィルト村の異変を解決する事。ただ実際に私たちが調査したりする事はせず、一緒に向かう神父の護衛である。

 直接依頼を受けた私が行くのは決定。あと一人参加できるのだが……さて、誰に付いていってもらおうかな?


「ご主人さまの隣はわたししかいません」

「だから駄目だって」


 正直、私もエーリカと一緒に行きたい。ただ依頼主が幼い子は駄目と言っているので、無理を言って印象を悪くさせるのは良くない。だから、エーリカはお留守番。その事を伝えると、いつもの眠そうな表情のまま頬を膨らませている。これはこれで可愛い。


「おじ様のお手伝いはしたいのですが、食事処の件がありますし、行けそうにありません」


 視線を向けたアナは、本当に残念そうに断った。

 常識人で人の良いアナが来てくれると色々な場面で助かるのだが、昨日プレオープンをしたばかりなので、問い合わせとか、今後の改善をしなければいけないので無理そうだ。


「あたしー、無理無理ー。クロちゃんとシロちゃんとアカちゃんの面倒を見なければいけないし、家事もしなければいけないしー、冒険者の依頼もやらなければいけないしー、アナちゃんの手伝いもしなければいけないんだよー。一日だけなら一人ぐらい貸し出すけど、それ以上は無理だねー」


 尋ねてもいないのにティアに却下された。

 ティアの幻影魔術の補助は頼りになるが、戦闘になると私が率先して戦わなければいけないのが難点。それ以上にティアの相手をずっとするのは、正直辛い。馬車の疲れてと合わさると、村に着く頃には倒れてしまうだろう。


「エーリカが行かないなら僕も行かない。……ま、まぁ、おっさんがどうしてもって言うのなら……いや、グールが現れるかもしれないから、やっぱり行かない。臭いのは嫌だ」


 戦闘は勿論、調理も出来るのでリディーが来てくれると助かるのだが、やはりエーリカから離れる事はなかった。

 若干、無理を言えば、付いてきてくれそうな雰囲気があるが、面倒臭いので説得する事はしない。


「アタシはいいよぉー。むしろ旦那さまと一緒に行きたぁーい。色々な街や村に行って、お酒を飲み歩こおぉー」


 フィーリンの事は、最近知り合ったばかりなので良く知らない。戦闘は頼りになるが、四六時中お酒ばかり飲んでいるので、護衛として頼りになるかは不明。逆にお酒が無くなった時、フィーリンがどんな症状になるか不安でしかない。地面に倒れて痙攣でも起こすか、または見境なく近くの村を襲うかもしれない。どちらにしろ私ではフィーリンを抑え込む事が出来ないので保留である。


 私の腕をコツコツと叩く者がいる。

 ロックンである。

 ロックンは握りこぶしを作るように両腕を上げ下げする。

 役に立つから連れてって、と訴えているようだ。

 私の指示通りに動いてくれるし、道中静かだし、戦闘も出来る。

 ありだな。

 ……と思ったが、馬車の荷台に上がる事が出来そうにないので却下。依頼中、どんな事があるか分からない手前、人間よりも動作が限定されているロックンではお荷物になる可能性があるので、諦めてもらった。


 うーん、どうしようかな? とぐるりと視線を向けると、離れた席に座っているフリーデとディルクに目が留まった。

 フリーデはありである。

 頼もしい姉御のようなフリーデは、元兵士という事もあり、戦闘は出来る。さらに真面目で常識があるので、困った時には適切な判断で助けてくれるだろう。

 ただ現在のフリーデはティアに雇われている身分。私の勝手で連れて行くのは問題がありそうだ。

 その点、ディルクも同じ。

 休業中の冒険者であるが、私とは比べものにならないほど経験が豊富。間違いなくディルクが付いてきてくれたら、全て彼に任せて、私はのんびりと欠伸をしてればいい。

 雇い主のティアにお願いしようかな? と考えていると、ディルクの方から「俺が行ってやろう」と立ち上がった。


「神父の手を貸すのは嫌だが、女神さまの為に教会の手助けをしてやろう。お前とも、一度一緒に……」

「やっと見つけたぞ、ディルク」

「ギルドの情報に間違いなかったな」


 ディルクの言葉を遮るようにドガンと扉が開かれ、二人の大男がズガズガと家の中に入ってきた。

 何事!? とビクッと立ち上がるが、すぐに知り合いだと分かり、座り直す。


「アーロン、アーベル!? 何でお前たちがここに来るんだ!?」

「依頼だ、依頼。二つほど山を越えた村で汚ねースライムが大量発生したみたいだ」

「面白そうだから退治しに行くぞ」


 突如現れた二人はドワーフ村で知り合った白銀等級の脳筋兄弟である。

 そのアーロンとアーベルは、本気で抵抗するディルクを子供のように担ぐ。


「離せ、脳筋ども! 俺には仕事があるんだ! お前たちとは一緒に行かん!」

「久しぶりの依頼だ。楽しいだろ」

「今から走れば、明日には着くはずだ」


 ディルクを担いだ兄弟は、私に気が付く事なく、そのまま走って行ってしまった。


「何で白銀等級の二人は、ディルクを連れて行ったのかな?」

「知らないのか? ディルクは白銀等級冒険者だぞ。まぁ、本人自身は銅等級らしいがな」


 通勤と帰宅が一緒で同じ宿に泊まっているフリーデが教えてくれた。何気にこの二人は仲が良い。いや、それ以上に男女の良い関係になりつつあると、少し前にリディーが教えてくれた。

 それよりもディルクが白銀等級冒険者だったとは!? それもあの脳筋のアーロンとアーベルの仲間だったとは!? 私、何も知らないね。


「えーと、話を戻すけど……フィーリン、私と一緒に護衛の依頼に付いてきてくれるかな?」

「うん、行く行くぅー」


 フィーリンを選んだのは単純。

 ディルクとフィーリンの二人だけが「行っても良い」と言ったからだ。

 一番私を暇させてくれそうなディルクが連れ去られてしまったので、残ったフィーリンに決めた。そんな理由で決めたとは、フィーリンには言わないけどね。


「確か、明日の朝一で冒険者ギルドに集合だったね。急いで準備をするよ」

「分かったぁー」


 私とフィーリンは長旅が出来るように準備を始める……が、すぐに終わってしまった。

 レイピアと皮鎧は未使用に近い状態。小物入れも補充する物はない。着替えと食べ物を皮袋に詰めたら終わってしまった。

 ただフィーリンは街まで行き、飲み水を入れる皮袋を沢山購入してきた。そして、全ての皮袋にお酒を入れている。さすがのフィーリンも酒樽ごと馬車に積もうとはしなかった。



 翌朝。

 アナとティアが早めに朝食を作ってくれた事でゆっくりと出かける事が出来た。


「おっさん、ちょっといいか」


 私の留守中にロックンの魔力が切れないよう補充していると、少しだけ顔を赤らめたリディーが私を呼んだ。

 

「どうしたの?」

「こっちこっち」


 部屋の隅っこまで移動すると、リディーはキョロキョロと周りを見回し、近くに誰もいないのを確認する。そして、長い耳の先端を赤らめながら一枚のハンカチを私に渡した。


「ド、ドワーフ村で魔物と戦った時、僕の怪我を治療しただろ。その時、おっさんのハンカチを台無しにした。そ、その代りだ。別に変な意味合いはないからな」


 恥ずかしそうにハンカチを渡すリディーを見て、そんな事があったね、と思い出す。

 さらに異性にハンカチを渡す行為が男女の特別な贈り物だという事も思い出す。

 まぁ、私の心は女性なので、深い意味でハンカチは受け取らない。 

 リディーのハンカチは、刺繍のしていない真っ白なハンカチ。それでも贈り物として貰うと特別な物へと変わる。エーリカではないが、使わずに大切に仕舞っておこう。……ハンカチは沢山あるからね。

 

 「ありがとう」と礼を言うと、「気をつけて行けよ」とリディーはそそくさとエーリカの元へ戻る。そして、エーリカとティアに混じってフィーリンを囲い、色々と注意し始めた。


「フィーリンねえさん、ご主人さまに迷惑を掛けては駄目ですよ」

「分かってるよぉー」

「フィーちゃん、酒ばかり飲んで、酔い潰れたりしたら駄目だからねー」

「今まで酔い潰れた事はないよぉー」

「酒が切れても、我が儘言わず、我慢しろよ」

「……無理かもぉー」


 教会の方から朝の鐘が鳴り響く。


「フィーリン、そろそろ行こうか」

「うん、行くぅー」


 注意ばかりされていたフィーリンは、すぐさまエーリカたちから抜け出すと大量の皮袋を肩に掛ける。

 私も荷物の入った皮袋を掴み、「行ってきます」とみんなに言ってから外へと出た。


 小言が無くなったフィーリンは、私の腕を掴みながら楽しそうにしている。そんなフィーリンは、街道に出る直前に「そうだ!」と足を止めた。


「どうしたの?」

「ちょっと忘れ物ぉー。旦那さまは先に行ってぇー。すぐに追い付くからぁー」


 そう言うなり、フィーリンは無造作に編んだ三つ編みを振らしながら元来た道へ戻っていった。

 忘れ物ならすぐに戻ってくるだろう、と一人で北門へ向かう。

 案の定、フィーリンは北門を抜けた先で合流。


「忘れ物って、その小さな樽?」

「そうそう、大事な物」


 フィーリンの手には、火薬でも詰まっていそうな小さな樽を持っていた。ただ不思議な事に樽の周りには紐のような細い石が絡みついていて、簡単に開かないように厳重に封がされていた。


「もしかして、危ない物じゃないよね」

「まったく危なくないよぉー。すっごく頼りになるものぉー。後で蓋を空けるからそれまで待っていてねぇー」


 十中八九お酒だろうと納得した私は、それ以上の追求をする事なく冒険者ギルドへ向かった。



 朝という事で冒険者ギルドは隙間を埋め尽くすほどに賑わっている。

 人ごみの中、デボラたちを探すが見当たらない。私たちが早く来すぎたようだ。

 朝一に集合と言われているだけで、細かい時間は指定されていない。そもそも平民は時計を持つ習慣がないので、待ったり待たせたりが当たり前。現代日本で生まれ育った私にとって、アバウトな時間感覚は違和感しかなかった。


 時間潰しにレナの列に並ぶ。

 今回の依頼は冒険者ギルドを通した依頼ではないが、一応報告をした方がいい。

 

「アケミさん、それとフィーリンさん、おはようございます」


 レナの営業スマイルに私も自然と微笑む。窓口に立つ人はこうでなければね。


「話は聞いています。これから異変のあった村に向かわれるのでしょう」

「はい、そうなんです」

「今回の依頼は、教会と村との契約ですので、ギルドの方では全面的に協力は出来ません。ただ少しばかりの補助金はでます」

「それは助かります」

「戻りましたら、報告に来てください。無理をせず、命を大事にしてくださいね」

「はい、気をつけます」


 言う事を言ったレナはチラリと周りを見回すと、窓口から身を乗り出した。


「くれぐれも教会の方に失礼のないようにお願いします。大貴族を相手にするつもりでお願いします」


 小声で伝えたレナは元の姿勢に戻ると、「お気をつけて、いってらっしゃい」と見送ってくれた。

 やはり教会は恐ろしい相手らしく、今さら依頼を断っておけばよかったと後悔する。


 しばらく椅子に座ってのんびりとしていると、ようやくデボラたちが現れた。


「おう、待たせたな」

「今、来た所です」


 本当は三十分ぐらい待っていたけど、つい日本人の口癖が出てします。

 簡単に挨拶を交わし、一緒に同行するフィーリンを紹介する。


「あの嬢ちゃんの姉?……似てないな」

「ドワーフ? 普通の女の子に見える」

「本当だったら頼もしいわ」


 若干、素性が怪しまれているが、当のフィーリンは「休憩の時、みんなでお酒を飲もうねぇー」とフレンドリーに対応している。

 

「マリーをちゃんと紹介してなかったな」

「マリー、前に出て」


 デボラたちの背後にいたマリーが前に出る。

 灰色のローブを羽織り、フードで顔を隠し、両手に長い杖を持っているので、絵に描いたような魔法使いスタイル。身長はフィーリンより少し高いぐらい。

 私たちの正面に立ったマリーは、ゆっくりとした動作でフードを外す。

 少し癖のある灰色に近いミディアムヘア。ただ前髪が長く、瞳は見えない。その為、マリーの表情がいまいち掴めない。


「ローゼマリーです。依頼を受けていただき、ありがとうございます」


 小さな声で挨拶をするマリー。瞳が見えないので私を見ているのか、それとも地面を見ているのか分からない。

 そんなマリーに何だか既視感を抱いた。

 何だろう? と思いつつ私とフィーリンも挨拶をすると、すぐにマリーはフードを被り直し、デボラたちの背後へ回ってしまった。


「口数が少ないのは、いつもの事だ」

「少し恥ずかしがり屋なの。悪く思わないでね」


 デボラとエルマのフォローで先程の違和感に納得する。

 既視感でなく親近感だったようだ。家にも極度の人見知りエルフがいるからね。


「改めて今回の依頼の内容を説明するよ」


 今度はリタが前に出て、簡単に依頼の話を始めた。


「これから教会に行き、神父と合流。そして、馬車に乗ってフェルト村へ行く」

「村までどのくらい掛かるんですか?」

「三日だ。一日目は街道から少し離れた教会で一泊、二日目は教会関係者の家で一泊する予定。何事も無ければ三日目の昼にはフェルト村に着くだろう」


 隣街ボルンで冒険者をしているマリーだ。目的地のフェルト村もその近くにあると予想はつくのだが、それにしても三日も掛かるのか……。

 昇級試験で行った時はクロに乗って行ったので、そこまで遠くには感じなかったが、馬車移動になると、やはり日数が掛かるらしい。私の三半規管は持ち堪えてくれるだろうか?


「異変の対応は神父がしてくれる。私たちは神父の護衛だが、基本、私、デボラ、エルマ、マリーが行う。あなたたちは、少し離れた場所で警戒をしてくれればいい」


 それは助かる。

 護衛などやった事がないので、下手に動いて神父の邪魔をしてしまう可能性がある。

 ただそのなると、神父との関係が築けず、元の場所に帰る情報が聞き出せなくなってしまう。……まぁ、それはそれでいいか。教会と関わるのは怖いからね。……何たるジレンマ。


「そう言う事もあり、賃金は安い。我慢しれくれ」


 申し訳なさそうにリタが言う。

 元々鉄等級に毛が生えたような鋼鉄等級の仕事だ。お小遣い稼ぎ程度に考えよう。

 私が「構いません」と言うと、安堵した表情で「説明は終わり。教会へ行こう」とリタたちは歩き出した。



 教会と契約を取り付けたマリーが先頭に立ち、ぞろぞろと後を追うように歩いていく。


 あれ?


 教会には北門近くの参道を進むのだが、マリーは貴族街の方へ入っていった。


「もしかして、裏門へ行くんですか?」

「……はい、正門は信者の出入りがあるので、教会の裏に来てくれと頼まれました」


 私の疑問を小声で返答したマリーはそのまま貴族街と教会が建つ山間の道に入っていく。

 うーん、ここは私が教会に捨てられた後、途方に暮れながら下りていった道だ。嫌な思い出の道である。


 貴族たちの館を見ながら坂道を歩く事しばし、はぁはぁと体力が無くなる手前で裏門に辿り着いた。


「旦那さま、大丈夫ぅー? お酒でも飲むぅー?」

「今、飲んだら……吐く。間違いなく……」

「謙遜とかでなく、本当に体力ないんだな」


 呆れているデボラに返答する余裕もなく、門の前で大きく息を吐き、汗を拭う。

 門はすでに空いており、守門である教会関係者も何も言わずに中へ通してくれた。

 綺麗に剪定された裏庭。そこにはすでに二台の馬車が止まっており、御者らしき中年の男性が馬の世話をしている。


「私たちが乗るのは、あの馬車だよな」

「はい、私が手配しました」

「大丈夫なの?」

「今からでも、もっと良い馬車に交換した方がよくない?」

「心配には及びません」


 デボラ、リタ、エルマが馬車を見て心配をしている。それは無理のない事で、裏庭に止められている馬車は平民が使う待合馬車と大して変わらないからで、決して貴族よりも権力のある神父を乗せていい馬車ではなかった。

 だが、依頼を出したマリーは特に心配をしていない。その理由はすぐに分かった。

 私たちが到着したのが分かったのか、タイミング良く勝手口のような扉から黒色の祭服を来た青年と少年が出てきた。


 同行する神父は彼か……。


 二十歳前後の落ち着いた黒髪黒目の青年。

 彼には見覚えがある。

 私が教会に不法侵入と宝物庫の宝を盗んだ罪で兵士詰め所で出会った青年だ。

 ちなみに少年は初顔である。歳は十歳前後。くりっとした大きな瞳と前髪を揃えたぼっちゃん刈りが似合う可愛い子だ。


「依頼を受けていただき、有難うございます。どうか私の村をお救いください、神父さま」

「いえ、私は神父ではありません。ただの副助祭です」

「そうでした」


 青年の言葉にデボラたちが不安そうな表情へと変わる。

 そんなデボラたちに気が付いた青年は、安心させるように説明する。


「私はまだ神父としての位ではありませんが、それでも何度か土地を浄化する現場に関わった事があります。やり方も分かりますので、今回の件、私にお任せください」


 たぶん副助祭は神父の補佐役だったり、修行中の人をさすのだろう。そんな副助祭が派遣された。つまり依頼金額が低く、それ相応の人物しか派遣できないという意味である。だから馬車も平民用なんだね。

 まぁ、浄化できると自信を持って断言しているので問題はないはず。


「改めて、副助祭のコニーです。こちらはティモ。私の補佐として同行します。本日は宜しくお願いします」

 

 物腰柔らかに挨拶するコニーと恥ずかしそうに頭を下げるティモに、デボラたちは安堵した表情で挨拶を交わしていく。

 私たちも挨拶をしなければいけないのだが、変な意味で顔見知りである。

 どうやって挨拶をしようか? と悩んでいると、コニーはチラリと私を見るなり、馬車へと行ってしまった。

 

 えーと……まぁ、仕方が無いか。

 相手が行ってしまったんだから、挨拶はしなくていいよね。


 挨拶をするタイミングを逃した私は、ほっと胸を撫で下すと、馬車へ乗り込んだ。


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