表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アケミおじさん奮闘記  作者: 庚サツキ
第三部 炭鉱のエルフと囚人冒険者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

206/347

206 蟻の襲来 その3

 スコップ。

 土を掘って良し、頭を殴って良し、首を刎ねて良しの万能道具だ。

 これで巨大な蟻であるキルガーアントに立ち向かえる……と思っているのだろうか、この髭オヤジは?


「これでどうしろと?」


 ずっしりと重みを感じる丸みの刃が付いたスコップを見つめながら極真っ当な質問をした。


「俺がこっそりとくすねていた魔石を柄の部分に埋め込んだ。これで武器になった。魔力を流して戦え」


 自信満々な表情をするドワーフの言う通り、木製の柄の部分に土塗れの石が無理矢理嵌め込まれている。

 この世界の武器は、魔石を使った物を武器と呼び、魔力を流す事で様々な付加価値を与える事が出来る。重さを軽くさせたり、切れ味を増したり、魔力の刃を飛ばしたり出来るのだ。

 逆に魔石を使用していない物は、殺傷能力があっても道具扱いだ。今、持っているスコップもついさっきまで道具であったが、柄に魔石を埋め込んだ事で武器となったそうだ。

 何と曖昧な呼び名なのだろうか?

 

 それはそうと、何でスコップ?

 わざわざ作らなくても、兵士が剣を使っていたと思うのだが、見ていなかったのかな?

 思い出した私は、キョロキョロと辺りを見回し、兵士の剣を見つけた。

 剣は上半身だけになった兵士が死んでもなお握り締めていた。その刀身は、ゼリーのように固まり始めた血で赤黒く汚れている。

 使者を冒涜するつもりはないが……うん、スコップで良いや。


「あんな安物の剣では駄目だ。この踏み(くわ)は、俺たちドワーフが作った代物だ。魔石を付ければ、そこいらの安物武器よりも役に立つぞ」


 私と同じように兵士の死体に視線を向けたドワーフが、自身満々に言ってのける。


「ただ、魔石を無理矢理埋め込んだ簡易な代物だ。魔力を流し過ぎるとすぐに壊れる。気を付けろ」


 気を付けろって……まぁ、いいや。

 言われた通り、私はスコップの柄から慎重に魔力を流し込んだ。チョロチョロと水が流れる蛇口のイメージでスコップに魔力を流すと、柄に付いている魔石が淡く光り始めた。

 それに伴い、スコップの重さが軽くなる。

 風の刃を思い浮かべ、軽くスコップを振ると、小さな光の刃が飛び出し、地面を削った。

 魔石を埋め込んで武器として使えるようにしたお手製スコップであるが、光の刃も出るし、見た目以上に使えるかもしれない。


「うむ、想像以上に使えそうだな。後は頼むぞ」


 そう言うなり、ドワーフは避難するように私から距離を空けた。

 後を頼むって……手伝ってよ。


 私は力強くスコップを握ると、奥の通路に行ってしまったキルガーアントへ視線を向ける。

 キルガーアントは、湧水で溢れた窪地から水を飲んでいた。一働きして休憩しているようだ。

 このまま気配を消して逃げた方が得策な気がしてきた。怪我をした囚人たちもあらかた隙間から逃げたし、ここにいるのは戦闘意欲のある囚人数名である。

 死体を見捨てる事になるが、わざわざ危険を冒してまでキルガーアントと戦う必要はないだろう。

 そう思って方向転換したら、柱の影から顔を覗かしているドワーフと目があった。


「隙を見せている内に攻撃しろ。絶好の機会だ。俺の武器を信じろ」


 このドワーフ、ただ自分が作った武器が活躍するのを見たいだけじゃないのか?

 仕方が無いので、再度、方向転換をしてスコップを持ち上げる。

 柄から魔力を流し、魔石を光らせた。

 

「喰らえ、『光刃』!」


 風の刃をイメージしながらスコップを横に振ると、刃先から光の刃が飛んだ。その形は、スコップの刃先に似ており、三日月のような形をしていた。そんな三日月形の光の刃は、水を飲んでいるキルガーアントの頭に吸い込まれるように当たった。


「あっ、斬れた」


 兵士の攻撃では傷を負わせる事が出来なかったのに、私が放った光の刃は、うっすらとキルガーアントの殻を傷をつける事が出来た。


「おお、さすが俺の作った武器だ! 魔力耐性を突き抜けたぞ!」


 自画自賛をするドワーフ。確かに軽くて使いやすいスコップだけど、キルガーアントの魔力耐性を破ったのは、私の能力なんじゃないかな? あえて言わないけど……。


「『光刃』、『光刃』、『光刃』!」


 傷をつける事が出来た事で調子に乗った私は、連続で光の刃を飛ばす。シュンシュンシュンと三つの刃がキルガーアントに当たり、赤黒い殻を傷つける。ただ、ダメージは通っていないようだ。


「いかんな。硬度が足りん。もっと魔力を錬ろ」

「どうやって、錬るの?」


 柱の影から分析をしているドワーフに視線を向けると、「前を見ろ! 襲ってきたぞ!」と注意が飛ぶ。

 何度も光の刃を受けたキルガーアントは、水を飲むのを止めて、私の方へ突進してきた。

 急いで柱の影に隠れる。


「馬鹿、こっちに来るな!」


 隣合わせになったドワーフが叫ぶが、隠れる場所が無いので我慢してもらう。

 このまま直進して通り過ぎてくれるのを願う……が、私の祈りはキルガーアントには届かなかった。


 あっ、視力が戻っている!


 赤く染まったキルガーアントの瞳と目が合った瞬間、直観的にそう感じた。

 私の直感通りキルガーアントは方向をずらし、私たちが隠れている柱目掛けて突進する。


「魔力の壁を張れ!」


 ドワーフは叫ぶなり地面に身を伏せた。


 か、壁!?


 出来るかどうか分からないが、急いでスコップを体の前に持っていき、アナや兵士が使っていた魔力で作った壁を思い浮かべた。

 スコップの刃先を中心にうっすらと光のカーテンのような物が広がる。


 何か出た!


 ドゴンッと洞窟内が震え、目の前の柱が粉砕した。

 柱の破片と共にキルガーアントの体が現れると、光のカーテンは一瞬で塵となる。


 「……ッ!?」


 私は衝撃で後ろへと吹き飛ばされる。

 空中に飛ばされた私は、水が溜まった窪地にドボンッと落ちた。

 兵士や囚人たちの血で染まった水溜まり。底には肉片らしき物が目に入り、混乱するように慌てて窪地から這い上がった。

 怪我はない。一瞬だが、魔力の壁らしきものを発現したおかげだろう。まぁ、壁というよりもオーロラのようなものだったけど……もっと、しっかりとイメージをすればちゃんとした壁を作れそうだ。


 それはそうと、キルガーアントは?


 私はキョロキョロと辺りを見回す。

 ドワーフを発見。彼は、地面に(うずくま)りながら、私のように辺りを見回している。どうも地面に伏せたおかげで、柱の石つぶてとキルガーアントの突進を回避できたみたいだ。

 ただ、肝心のキルガーアントは、どこを見ても見つからない。

 何処へ行ったのだろうか?


「どこを探しのいる!? 上にいるぞ!」


 距離を空けて私たちの様子を見ていたブラッカスたちの言葉を聞き、ばっと顔を上げる。

 突起だらけの天井にキルガーアントが張り付いて、私を凝視していた。

 

 ちょっと、小さい蟻ならまだしも、そんな大きな体で天井に張り付けるなんて出来るものなの!?


 驚愕して体が固まっていると、逆さまになっているキルガーアントのお尻が持ち上がった。


 まずいっ!


 とっさにスコップを持ち上げて魔力の壁を作る。

 キルガーアントのお尻から透明の液体が飛び出し、私に降り注ぐ。

 スコップの刃先から広がる光の壁にバシャバシャと蟻酸が当たる。

 しっかりとイメージが出来ていない所為か、カーテンのような光の壁は、全ての蟻酸を防ぐ事ができず、数滴が服に掛かってしまった。

 白い泡を出しながら服に穴が空いていくのを見て、ついその部分を手でゴシゴシと拭いてしまう。


「熱っ!?」


 蟻酸に触った手に痛みが走り、急いで血で染まった窪地の水に手を突っ込む。

 そんな間抜けな私を凝視しているキルガーアントは、馬鹿にするように「ギギギッ」と鳴いていた。


「くそ、馬鹿にして!」


 私は、窪地の水から手を出すと、キルガーアントに向けて、光の魔力弾を撃った。

 ピクリと触角を動かしたキルガーアントは、光の魔力弾を避ける。

 だが、すぐ横の天井に魔力弾がぶつかると、強い光と共に天井に張り付いていた体が剥がれ、ドスンと地面に落ちた。

 視力が無くなったキルガーアントは、その場でバタバタと暴れる。


 良し、今だ!


 勝機を確信した私は、スコップを握りながら駆け出す。

 バシャバシャと水が流れる地面を走りながらスコップの柄から魔力を流し、魔石を光らせた。

 キルガーアントの触角がピクリと動く。

 魔力が流れているスコップを上段に持ち上げた私は、キルガーアントの頭に向けて振り下ろす。

 だが、スコップが当たる瞬間、キルガーアントは巨大な頭を引いて躱し、そのまま頭を戻す勢いで私を吹き飛ばした。


「……痛ッ!」


 デコボコの地面を転がり、痛みで顔を顰める。

 スコップを盾にしたおかげで直接的なダメージは軽減されたが、地面を転がった所為で、体中が擦り傷だらけになってしまった。

 地面を這うように落としたスコップを拾うと、壁を背に身を隠す。

 レベルも経験もない私では接近戦は無理だ。

 やはり、遠距離からチクチクと光の刃を飛ばしていくしかない。塵も積もれば何とやら。ダメージを与える事は出来ないが、数を与えれば何とかなるかもしれない。


 視力を無くしたキルガーアントは、長い触角を動かして、私たちの動向を探っている。

 そんな姿のキルガーアントを見ながら、私は地面に座ったままスコップに魔力を流す。

 キルガーアントの頭がグルンッと私に向いた。

 

 気付かれた!?


 立ち上がった訳でもないのに何で気付かれた?

 私の血と汗と体臭か? それとも息が臭かったかもしれない。

 ……いや、魔力か!?

 あの触角、魔力も反応するのだろう。


 キルガーアントが私に向けて突進してきた。

 立ち上がって逃げる時間はない。

 私は地面を転がるように、目の前まで迫ってきたキルガーアントから逃げる。

 ゴロゴロと転がるとキルガーアントが通り過ぎて、壁にぶつかった。

 

「痛い、痛い、痛いっ!」


 壁の破片がバチバチと当たる。

 満身創痍。逃げるだけで体中がボロボロになる。こんな場所で戦うべきじゃない。

 痛む体に眉を寄せながら顔を上げると、丸々とした赤黒い物体が目の前にあった。

 視力を失った真っ赤な目、鋭く硬い顎、小さな口、長い触角。

 ヒュッと息が漏れる。

 逃げなければいけない。このままでは兵士や囚人みたいに顎に捕らわれ、真っ二つにされてしまう。

 だが、蛇に睨まれた蛙のように、恐怖で体が竦んで動けない。

 キルガーアントの顎が迫る。

 私は、何も出来ずに強く瞳を閉じた。


「させるかー!」


 誰かの声とガツンッという音が合わさる。


「ルドガー!?」


 目を開けると、私の前にルドガーが滑り込んでいた。

 顔中に血の跡があるルドガーは、丸太を使って、左右に広がるキルガーアントの顎を押さえ込んでいる。

 ……っていうか、ルドガー、生きていたんだね。ずっと姿を見かけなかったから、つい死んでいると思っていた。


「惚れた男の尻を守るのは俺の役目だ! こんな蟻ごときにお前の尻を奪われたりはさせないぜ!」


 私に向けてルドガーがニヤリと笑う。


 やだ、何を言っているのか分からない。

 命を助けられたのに、まったく心が動かない。

 普通なら吊橋効果で少しは心が動く筈なのに、逆に心がどんどん離れていく。私は、心も体も男性になってしまったのか? いや、相手がルドガーだからだろう。

 そんなルドガーもすぐに窮地に立たされる。

 顎を押さえていた丸太はバキバキと壊れ、ルドガーの体は鋭く硬い顎に捕らわれてしまった。


「ぐわー、抜け出せねー!」


 このままではルドガーの体が真っ二つに切られてしまう。

 私は慌てて立ち上がり、ルドガーを助ける為に動こうとしたら、それよりも前に別の誰かが割り込んできた。


「今度は俺の番だぜ!」


 ブラッカスである。

 上半身裸のブラッカスは、キルガーアントの頭の横に移動する。


「ルドガー、このまま引き付けていろ!」

「早くしろっ! 体が千切れる!」


 ブラッカスは骨が軋む痛みで顔を歪めるルドガーをチラリと見ると、ゆっくりと腰を落とした。左腕を前に、右腕を後ろに引き、ゆっくりと息を吐きながら、体中の筋肉を引き締めていく。

 そして、「もう、駄目だ!」とルドガーの叫び声と同時に、右拳を前方に放った。

 限界まで引き絞った弓が開放れるように真っ直ぐに突いた拳は、キルガーアントの頭を直撃する。

 ボコンッと鈍い音と共にキルガーアントが横にたじろぐ。その衝撃で顎が緩み、ルドガーが開放された。


「クソ……硬過ぎだ、バカ野郎!」


 悪態をつきながら右拳を擦るブラッカスだが、頭を殴られたキルガーアントは体をユラユラとさせているのを見るに、ダメージは通ったみたいである。脳震盪でも起こっているのかな?


 これで時間が稼げる。

 私は痛む体を動かして、通路の真ん中まで避難した。

 ブラッカスとルドガーは、動かないキルガーアントに対してボコボコと殴り続けている。

 そんな二人の姿から視線を外し、通路の奥を見た。キルガーアントが現れた場所だ。

 私は右手に魔力を込める。

 イメージは光の魔力弾。ただ、今まで通りの閃光が走る魔力弾ではない。

 死んでいった兵士が作り出した壁にくっ付いている光の玉を見つめる。


「ぐわーっ!」


 ブラッカスとルドガーがキルガーアントに弾き飛ばれた。

 魔力を集めている私にキルガーアントの触角が向く。


「……粘着弾!」


 戦車のキャタピラを破壊した靴下爆弾を想像しながら、私は洞窟の奥に向けて、光の魔力弾を放つ。

 薄暗い通路を光らせながら魔力弾が飛ぶと、ベチャッと壁に張り付いた。

 

 良し、上手くいった!


 私が放った魔力弾は、破裂する事も無く、光り続けていた。

 それも洞窟内を太陽の下みたいに明るく照らしている。

 その光源に向けて、キルガーアントが駆け出す。

 私の魔力に誘われるように、キルガーアントが凄い勢いで通路の奥へと向かう。


 行け、行け、行けぇーっ!


 勢いのついたキルガーアントは、狭い通路に突っ込むとズボッと挟まった。

 私たちが水を抜いた狭い個所。キルガーアントがズルズルと体を擦りながらすり抜けてきた場所。

 そこに巨大な腹部が挟まり、キルガーアントが身動きできないでいる。

 

「今よ! 総攻撃っ!」


 予想通りの結果になった私は、スコップを片手に駆け出す。

 生き残った囚人たちも、「うぉぉーー……」と雄叫びを上げながら私の後に続く。

 キルガーアントは、ズルズルと腹部を動かしながら挟まった体を脱げ出そうとする。それを囚人たちが抑え込む。

 私は丸見えになった隙だらけの腹部に向けて、スコップを構えた。

 「えい」と刃先を振り下ろすと、弾力のある腹に弾き返されてしまった。


「限界まで魔力を込めろ! やり過ぎて、壊すなよ!」


 武器のスコップを作ってくれたドワーフから助言が飛ぶ。

 私は言われた通りにスコップに魔力を流し続ける。徐々に魔石の光が強くなる。

 直感的に限界を感じた私は、スコップを構え直すと、「おらーっ!」と叫びながら前に突き出した。

 厚い膜が破れる感触が木製の柄から伝わる。

 キルガーアントの体がビクンッと大きく跳ねた。

 酸っぱい匂いのするキルガーアントの体液が腕や体に飛び散る。

 私は汚れるのを気にする事なく、無我夢中でスコップを動かした。

 何度も何度も大きなキルガーアントのお腹をスコップで突いて、傷口を増やす。横に大きく振って傷口を広げる。土を掘るみたいに腹の中の物を外に捨てる。さらには腹部内部で光の刃を出して、奥を切り裂いていった。

 他の囚人たちも私に倣い、切り裂いた腹に木材を突き刺して、内部を破壊していく。

 囚人の中には兵士の剣を拾って攻撃している者もいる。

 一人の囚人が蟻酸の詰まった袋を破ったようで、強力な蟻酸が腹部内部に流れ、泡を出しながら溶けだした。

 酷い光景であるが、私たちは気にしない。

 みんな無我夢中でキルガーアントのお腹を破壊していった。


「おらおらおら……」


 逃げ出そうとするキルガーアントの脚にブラッカスが拳を叩き続けている。

 ブラッカスの拳は、皮膚が裂け血が出ているが、それでも殴るのを止めない。そして、何度も何度も殴ったおかげで、一本の脚が歪に折れ曲がった。

 昆虫は痛みに鈍感で、さらにしぶとい。腹部を破壊しただけでは、すぐには死なないだろう。このまま逃げられ、再度襲ってきたら困るので、私もブラッカスに倣い、脚に狙いを定めた。

 限界まで魔力を込めたスコップで、脚の付け根に向けて振るう。

 ガツン、ガツンと何度も叩いていると、バキッと切断できた。

 さすが、ドワーフ製のスコップである。

 ブラッカスは、血塗れの拳と私の持っているスコップを交互に見ながら、複雑な顔をしていた。

 その後、私は反対側に周り、同じように二本の脚も切断する事ができた。

 まだ脚は二本残っているが、挟まった奥にあるので諦めた。

 

 三人の兵士と沢山の囚人を殺したキルガーアントは、壁に挟まれながら、腹部を破壊され、四本の脚を失った。

 まだ動き続けてはいるが、もう私たちの脅威ではない。

 生き残った囚人たちは、キルガーアントの体液塗れであるが、その顔には生き生きとしていた。

 私も同様である。


「俺たちの勝ちだぁー!」


 誰かが叫ぶと、他の囚人たちから「うおおぉぉーー!」と雄叫びが上がる。

 狭い洞窟内に、歓喜の声が響き渡った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ