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「王家は一番小さな王子、たしか3歳ぐらいだったかな、その子を含めて全員殺された。もちろん兵士は全滅、ただ町は何も変わらないんだ、町の人には何も被害が無い」
「王家と兵士だけが犠牲になったのか?」
「犠牲になったと言うのは正しいかどうか・・・町の人々にとっては良かったのかもしれない。王家はかなり贅沢な暮らしをしていたようで、そのため高額な税を民に課していたみたいだ、王家が滅んで税の徴収は全く無くなり、王家の下で派手な生活をしていた奴らも横柄な態度で町を歩くことも無くなった。今は神の戦士と名乗る集団の数人の兵士が町を取り締まっているけど、盗みとかも無くなって以前より平和になったように感じたけど」
ラミルには不思議だった、王様宛の書簡には国の滅亡と民について書かれていたのに滅びたと言われるカレルは今でも町の人たちが普通に暮らしているという。
「カレルを出るときには、もちろん荷物とかを調べられたけれど、アルムから来た商人で買い付けをして帰るところだって話をしたら素直に帰してくれたよ」
「そうか、カーズからカレルの話が聞けるとは思わなかった、ありがとう。ところでカーズも僕に話しがあるって」
「神の戦士の話だけど、勘違いしないで聞いてほしいんだ」
「なんだよ、どうしたんだよ」
「ラミルは魔王と戦ったときに太陽の剣と、その他にもう1本の剣を持っていたよな?」
「ああ、ハン村で作ってもらった剣のことか、魔王との戦いでひび割れてしまったから、ウズルの村長にあげたんだ」
「あげた?」
「そうだよ、あの剣を作った人は村長とはとても仲が良かったらしくて、その人が亡くなってしまったから形見としてね、あの剣がどうかしたのか?」
「神の戦士の中に数人だけ兵士ではなく戦士みたいな格好をしたのがいるんだけど、その中で一番偉い人が同じような剣を持っていたんだ」
「えっ、同じような剣だって?」
「似ているだけだと思うんだけど、良く見たら形も違っていたようだし、だけど・・・」
「だけど、何?」
「色が全く同じ感じなんだよ、青白く光っていて、今ラミルが着けている鎧と同じ感じなんだ」
「なんだって、それは本当だろうな」
ラミルの表情が変わった。
「色は間違いないよ、青白くて怪しい、だけど美しい光だった」
「そうか・・・わかった、ありがとう。やっぱり君に会いに来て良かった。申し訳ないが今のことは誰にも話さないで欲しいんだ、頼んだよ」
「何か、やっぱり何か関係あるのか?ラミルに」
「今の話から想像して、恐らく神の戦士はジゼルの末裔だと思う、僕と同じジゼルの末裔だ」
「ジゼルか、それなら呪術を使うよな。だからあのカレルの兵士たちが手も足も出なかったのか」
「カーズ、本当にありがとう。内緒にすると言う約束は絶対守ってくれよ」
「わかったよ、そのかわり・・・」
「何だ?」
「もし俺にできることがあったら、もしも炎の鞭が必要になったら必ず言ってくれよ、俺だって仲間だろ、8年前に共に戦った仲間だよな」
「わかった、その時が来たら力を貸してくれ」
ラミルはカーズと別れるとカイルの門番の兵士にウズルへ行くと王様への伝言を頼み、すぐさまウズルへと向かった。




