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ラミルはゆっくりとダルガムに近づいていく。
「ラミル、貴様の実力は良くわかった。しかし、呪文が使えない今はただの戦士・・・勝負だ」
ダルガムは剣を抜いた、その剣は青白く輝いている、セラム鉱石の剣のようだ。
ダルガムが攻撃してきた、さすがに王と名乗って他の戦闘士をまとめるだけの実力はあり、剣の腕も速さも今までの相手とは格段に違う。
「お前だったのかセラム鉱石の剣を持っていたのは、何処でどうやって手に入れたか知らんが、その剣の力を使いこなす力があれば、俺と互角に戦えたかもしれないな」
ラミルとダルガムが激しく剣をぶつけ合う、その姿を見ていたシールは思った。
(敵ながらさすがと言うべきか・・・あのダルガムの動きの速さでは僕が戦いを挑んでいたら、間違いなく負けている)
そう思ってラミルを見ると、必死でラミルに向かって剣を振り続けているダルガムに対し、ラミルはその全ての攻撃を見切ったように軽々と攻撃をかわし、その動きには余裕すら感じる。
(ラミル様から感じるあの余裕はなんだ?相手はラミル様よりも速く剣を繰り出してきているのに、まるで相手の実力を試している、あの時、僕に全力で来いと言ったときのようだ)
ダルガムには徐々に疲れが見えはじめていた、息が上がってきて剣さばきや体の動きが鈍くなってくると、ラミルはそれを待っていたかのようにダルガムの剣を簡単に弾き返していき、やがてダルガムはその衝撃で尻餅をつき、ラミルはその前に立ちはだかるように仁王立ちになった。
「どうした、もうこれで終わりか」
「う、うるさい!」
「さあ立てダルガム、お前にジゼルの王家の血、そして歴代の王たちに認められた実力というものを見せてやる」
ラミルはわざとダルガムが立ち上がる余裕を与えると、ダルガムはゆっくり立ち上って再び剣を構えてラミルを見る。
「さあ、もう一度かかってこい、お前と俺の実力の差を教えてやる」
ダルガムはすでにラミルには勝てないと覚悟していた、しかしここまで馬鹿にされて引き下がることもできなくなっている。
「お、お前を倒して歴代の王に実力を認めさせてやる」
そう言って強がるダルガムだが、すでに腰は引け、剣を両手で握りしめたままラミルに襲い掛かる素振りさえ見せない。
(ラミル様はどうしたというのだ、すでにダルガムは戦意を失っているのに)
「お前はなぜカレルやデルダの王家を滅ぼし、レイラを攫ってまでジゼルの王の血を欲した?」
「・・・・」
「ジゼルの国を再興しようと考えたのならば、残った者たちだけでもこの地で再興しようと考えなかったのか、それほどまでに権力が欲しかったのか」
「お前になどわかるものか、レミル様の血、王家の血を継ぎ、魔王を倒す力も持っていながら、なぜアルムの戦士ごときに満足できるのだ、俺にはそのことのほうがわからん」
すると今度は健人が話しかけた。
「お前がしたことは誰かを幸せにしたのか、この地を荒らし、アーシャ様を汚し、カレルやデルダの多くの人に悲しみを与えただけではないのか」
「・・・・」
「俺は、もしもお前たちジゼルの末裔がこの地でひっそりと暮らして行こうとしていたならば、ジゼルの末裔同士で戦うことは無かっただろう」
ラミルが太陽の剣を持った右手をゆっくりとおろすと、ダルガムは隙が出来たと勘違いしてラミルに襲いかかった。
「愚か者・・・」
ラミルはすぐさま右手の太陽の剣を振り上げ、ダルガムの剣を弾き飛ばした。
「ダルガム、これで最後だ、覚悟しろ!」
ラミルは静かに言い放つと、何の迷いも見せずにダルガムの頭上めがけて太陽の剣を振り下ろした。
その剣はまるで吸い込まれるように兜を断ち、ダルガムの体を切り裂いた。
辺りは神の戦士たちの亡骸と血にまみれている、ラミルは立ち尽くし、空を見上げた。
「ナナ、カーズ、ハスバル様、そして多くの兵士たち・・・全て終わったよ・・・」
(ラミル・・・終わったな、さぁレイラを連れてアルムへ帰ろう)
「ラミル様、とうとうやりましたね」
「そうだな・・・レイラを連れて帰ろう!」
ラミルはシールとともに儀式の間へ向かった。
ラミル入れ! シールはそこで待っておれ!
ラミルはシールを儀式の間の入口に残して、試練の間へと入っていった。
試練の間の扉が開くと、待ちかねたようすでレイラが走ってきた。
「お兄ちゃん!」
「レイラ・・・」
ラミルよ、王の剣とアーシャの指輪を使え、そして死者を蘇らせるのだ!
(そうか!その手があった、ラミル、急いでアルムへ戻ろう!ナナもカーズも、そして多くの戦士や兵士の命を蘇らせることができるかもしれない・・・)
「ナナたちを救ったら、すぐにまた戻ってきます・・・」
リバエスの呪文の使い方を詳しく聞くと、レイラを連れて試練の間を出た。
「シール、急いでアルムへ行くぞ!」




