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健人の前にはサムとクルアがいる。
「ラミル、昨日のようにはいかないからな」
「何度やっても同じだ、お前らが俺に勝てると思っているのか?」
戦闘士の2人が同時に襲いかかってくる、その動きは全て見切れてはいるが、ラミルの体はいつもより重く、さすがに2人を同時に相手にするのは辛い。
「どうした?どうやら呪文が使えないようだな、太陽の剣も緑のままだ」
健人にとって2人の攻撃をかわすのはさほど問題ではなかったが、致命傷を与えて倒せるほどの攻撃にまでつなげることは出来ず、すぐに間合いから逃げられてしまう。
(おいラミル!ラミル・・・お前、いい加減にしろよな!)
(・・・)
(ラミル、てめえ、いい加減にしろよ、いつまでくよくよしてるんだよ、この野郎)
(・・・)
(お前にはまだ娘のリリアがいるんだろうが、こいつらを倒さないと、ここで俺たちが倒されてしまったらリリアだって危険な目に遭うかもしれないんだぞ、お前は父親のくせにそんなことも解らねえのかよ、この馬鹿野郎)
健人が完全にキレたように言い放った言葉に、ラミルはハッとなった。
(リリア・・・)
ラミルはリリアの笑顔を思い出した、自分に向けられた愛らしい笑顔。
ナナがいなくなった今、リリアを守ることができるのは自分だけだということに気づいた。
(リリア・・・健人、すまない・・・そうだよな、僕にはまだリリアがいる、リリアを守るために戦わなきゃいけない、ここで負けるわけにはいかない)
(やっと気づいたのかよ、やっぱり呪文が使えないと辛いんだよ・・・)
ラミルがいっきに戦闘モードになって気力が戻ってくると、体が軽くなり剣が赤く輝きだす。
サムもクルアもラミルの剣の色が赤に変わったのを見て体勢を整え、剣を構えなおす。
「とうとう本気になったか。だがお前など相手ではない、今日こそ決着をつけてやる!」
「そうだな、俺ももうお前らの顔を見るのはうんざりだ、今日こそ消えてもらう」
ラミルは、左手の王の剣を逆手に持ったままで2本の剣を中段で構えた。
クルアとサムは呪文を警戒し、剣を構えたままラミルの目と剣先をじっと見つめている。
(ラミル、こいつら2人だとなかなかやるぞ、それにクルアの方は今までの戦闘士が雑魚に感じるほどの気迫と殺気を感じる)
(そうだな、油断するとこっちも危ないな、全力でいく!)
ラミルと健人は全ての腕輪に集中した、剣の輝きが増し、ラミルの瞳が青く輝く。




