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すっかり日が暮れて辺りは暗闇に包まれたが中庭だけは松明の灯りに照らされている。
ラミルはその中に佇み、ただ呆然と横たえられた多くの亡骸を見つめ続けていると、そんな姿を見てジクーズが声をかけた。
「ラミル、食事の支度ができている、気持ちはわかるが、次の戦いに備えるためにも・・・」
返事をしないラミルを見て、今はそっとしておいた方が良いと思ったジクーズは、そのまま何も言わずにその場を立ち去っていった。
(ラミル・・・)
(・・・)
(もう戦うのをやめるか?お前は今までがんばったよ、だから、もう、いいよ・・・)
(・・・)
(最愛のナナを失って、もう守るものも無いんだよな、レイラはレミル様が守ってくれると思っているし、このまま戦士なんてやめてしまえばいいさ)
健人はわざとラミルの気にさわるような言い方をするがラミルは何も言わない。
(それなら、ここからお前は一切手を出すなよ。ここからは俺が戦ってレイラを助ける。そうしなければ俺の母さんも妹も、そして俺自身の存在が無くなってしまう、もしかしたらお前の体の中にいたまま・・・この瞬間にも消えてしまうかもしれない、でもな、俺はそんなのはごめんだ、だから悪いがしばらくこの体は借りるぞ、そして俺は自分とそして愛しい家族のために戦う)
健人は立ち上がった、抜け殻になったラミルはあてにはならない、ここからは自分のため、そして自分の母、妹のために戦う決意をして王宮の中へ入っていった。
「シール!シールはいるか」
「は、はい・・・」
「明日の朝、ジゼルへ向かう、奴らと最後の決戦だ、決着をつける、すぐに支度をして今夜は体を十分に休めておけ!良いな」
「はい、わかりました」
(何かいつものラミル様と違うな・・・)
健人は町にあるラミルの家へ行って支度を済ませて横たわると、ぼんやりと天井を見た。
「2人の力を合わせずに呪文が使えるのだろうか・・・さっきはシールが多くの敵兵を倒したと言っても、戦闘士や魔法師、魔導師を相手にシールと2人だけで立ち向かうのは無謀かもな」
健人は不安に包まれていた。
「でも、やるしかない!このラミルの体を使って俺と母さん、そして裕美のために」
健人は眠りについた。




