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息絶えたナナや多くの兵士たちの側には王家の一族がいて、アルシードはラミルの姿を見ると涙を浮かべて地面に手をつけた。
「ラミルすまない、私が無力なばかりにナナをこんな目に遭わせてしまった」
ラミルも跪いてアルシードの手を握る。
「王様、どうか手を上げてください。こうなったのは王様のせいではありません、ナナは他の兵士たちと同じように自らの考えでこの国を守ろうとしたのです」
「しかし・・・」
泣き崩れるアルシードを息子のジルベストが支える。
「王子、王様を部屋へお連れください、この者たちの弔いは奴らを倒した後で」
「ラミル、私からも謝る・・・すまなかった」
「王子まで・・・悪いのは奴らです、仇はこの手で討ちますから」
残った兵士たちの手で亡骸は中庭に運ばれていくが、そこにロザイルたちの姿が見当たらない。
「ロザイル!シール!どこだ、どこにいる?」
ロザイルとシールの見つめる先には、カーズが横たえられている。
(間に合わなかったか・・・)
(ナナだけでなく、商人となったカーズまで犠牲に・・・)
(ラミル、こうなったら、奴らを倒して仇を討つ、それしか無いぞ)
(・・・)
ラミルは、健人の呼びかけに反応する間も無く、すぐに重症の戦士や兵士たちにケールを施して息のある者たちを次々と救っていった。
そして、中庭に運ばれたナナの顔を見に行くと、冷たくなり始めた頬に手を当てた。
「ナナ、なぜこんなことに・・・僕が言ったとおりリリアとお婆ちゃんだけを守っていれば、こんなことにならなかったものを」
(ラミル、君の悲しみは伝わってくる胸の痛みで良くわかる。たぶん彼女はリリアやお婆さんだけでなく、アルムの国を、そしてみんなを守りたいと思ったんだろう・・・かつての聖戦士の1人として自分にも何かできると思ったんだろう)
健人の問いかけにラミルは何も答えることなく、青白くなったナナの頬をただ撫でながら見つめている。
(ラミル、奴らがもしもジゼルにいるなら、早く行かないと・・・あそこにはレイラがいる)
(レイラは平気さ、レミル様が守ってくれている、でも僕はナナを守るがことができなかった。ナナだけじゃない、商人になって大きな店を持って、多くの人たちを使って仕事をしていたカーズ、兵士でもない彼まで巻き込んでしまった、僕はいったいどうしたらいいんだ)
(おい、ラミル、いつまでも泣き言を言ってもはじまらないぞ、王様に言ったようにこの手で仇を討つんだろ、ナナやカーズ、他のみんなのためにも僕たちが立ち上がらなければ・・・)
健人にはそれ以上の言葉が見つからなかった、ラミルはすっかり戦意を失い、大きな悲しみを乗り越えるほどの闘志が感じられない・・・ただの抜け殻のようになっていた。




