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王宮に仕える戦士や兵士以外の者たちの耳にも2つの大国が神の戦士なる者たちに滅亡させられ、このアルムにも王様宛の警告が届いていることが噂となって広まりはじめていた。
城の給仕をする者たちも口々に不安を語り、王宮の中はわずかだが混乱し始めている。
「ラミル様、大丈夫ですよね?あなた様や他の戦士の方々がいれば、この国は大丈夫ですよね」
不安に思っていたラミルだが、給仕たちを不安にさせないように笑顔で応える。
「王様がどのようにするか考えておられます、我々戦士は王様の命令に従うだけですが、戦うことになったなら、皆さん、そして多くの民のためにも負けるわけにいきません」
「さすがラミル様、頼もしいお言葉」
不安に思っていた給仕の女たちも安心したように仕事を続けたが、彼女たちにはそう言ったもののラミルの頭の中は不安だらけだった。
「敵が本当に王様の言うようにジゼルの末裔だとしたら健人ならどういう判断をするだろうか、それに、戦いから離れてすでに何年も経ってしまったカーズとナナに神器を持たせて戦わせるわけにはいかない。ここはやはり僕とロザイルでなんとかしなければならないな、せめて健人がいてくれたら・・・でも健人を呼び戻す力なんて僕にはないし、いったいどうしたら良いんだ」
王宮の自分の部屋に入ったラミルは、ベッドに横たわり独り言のようにつぶやいた。
王様からの通達が出された数日後、バグロブとアンから召集された兵士たちは神の戦士の動きを見張るため谷の入口に見張り所を築こうとしていた。
総指揮を任されているのは、アルム第2の戦士となっていたロザイルだ。
「ロザイル様、10名の者が谷の木陰に穴を掘り、準備を整えました」
「本隊の方はどうだ?」
「まもなく準備が整います」
「よし、それでは準備が整い次第、交替で見張りを開始するぞ、怪しい者が現われたらすぐに取り押さえろ、生け捕りが望ましいが激しく抵抗する場合は殺しても構わん」
こうして死の谷と言われた北へ通じる唯一の道が閉鎖されたが、その後何日経っても怪しい者が現われることはなく、神の戦士を名乗る者からの次の書簡も無いまま数週間が過ぎていった。




