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ダルガムはレイラを奪われ、苛立ちながら町のようすを見ている。
「まだアルシードから何の返答も無いのか?」
「いきなりあのような要求を突きつけられてはアルシードも答えを出せないのでしょう、それにラミルたちがすぐに出てこないとすると、まだ戻っていないのでしょう」
「しばらくすれば兵を出してくると思いますが、ラミルたちがいなければ相手になりませんよ」
ダルガムやその近くにいる者たちは、まるで馬鹿にするような声で笑っていた。
その時、戦士とナナを先頭に、ザハールの町に控えていた全勢力が出陣してきた。
「ダルガム様、兵士らしき者たちが出てまいりました」
「そうか・・・アルシードの奴、これが答えということだな、その中にラミルはいるか?」
「いいえ、それらしき姿は見当たりません」
「そうか、やはりまだか、それならば雑魚ばかりだ、今のうちに全滅させるぞ」
側にいたクルアが大声で兵士たちに声をかけた。
「ラミルはいない、奴らは雑魚ばかりだ、すぐに全滅させてこの国も乗っ取るぞ!」
兵士たちは勇ましい掛け声と共に剣を抜いて戦闘態勢に入り、アルムの戦士たちも剣を構えて交戦に備えた。
「ナナ様、あなたは下がっていてください、まずは我々が奴らを食い止めてみせます」
「奴らはジゼルの者なのでしょ?おそらくラミルと同じように呪術を使う者がいるかもしれませんから十分に注意してください、私も術で援護しますから」
「わかりました、行くぞ、皆の者、かかれ!」
アルムの戦士、ジクーズ、ジラル他20名とともに、一斉に兵士が神の戦士向かって突き進んでいく、相手の兵士も剣をかかげて突き進んできて、最後の決戦とも言える戦いが始まった。
敵兵の動きは想像以上に俊敏で、ラミルとの鍛錬を繰り返してきた戦士たちは何とか優位に戦っているが、兵士たちは十分な戦力とはならず、新兵たちもはじめての実戦のため、兵士たちの後方でただ慌てているだけだ。
双方に次々と負傷者が出はじめて勝負はほぼ互角と思われたが、魔法師と思われる数人の男が、負傷した兵士たちにケールやヒルを施して傷を治癒させてしまうため、アルムの兵士は数が減っていくのに対して敵の数はほとんど減っていかない。
「ラミルが使ったのと同じ治癒呪文ね、このままではまずいわ、まずはあの呪術師たちを倒さないと勝負にならない」
ナナは敵の横へ周り込んで隙を見て魔法師たちに向かってウォルテアを放った、しかし、その動きを見ていた戦闘士のヘルが魔法師たちの前に立ちはだかりウォルテアを弾き返すと、魔導師がナナに向かってサンデルを放った。
(しまった・・・)
ナナは呪文を避けきれず体が痺れて動けなくなり、戦闘士のヘルがナナに近づいていく。




