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(しかたないな、ここで大声を出されては面倒だ。時間も無いから早くレイラを助けに行こう)
ラミルは再び階段を上がると、死角から兵士たちを見つめて接近する隙を窺っている。
(おい、時間が無いぞ、いっきに行こう!)
ラミルは壁から飛び出して兵士に駆け寄った。兵士たちが呆然として声を上げることも出来ずにいる隙に1人の兵士の顔面を殴って倒すと、もう1人の首筋に手刀を叩き込んで失神させた。
(今のうちだ・・・)
倒れている兵士の体を探って部屋の鍵を取り出すとレイラのいる部屋の扉を開けた。
レイラは扉の外の大きな物音に怯え、離れた窓際に立ち尽くしていた。
布を深々とかぶった怪しい男が鍵を開けて部屋の中に入ってくると、さらに怯えた表情で部屋の隅へと後ずさりしていく。
「レイラ!」
ラミルが頭の布を取ってその顔を見せると、怯えていたレイラの表情は一変し、ラミルに駆け寄って抱きついた。
「お兄ちゃん・・・やっぱり来てくれたのね」
ラミルの顔を見て安心したのか、それまで我慢していた涙がいっきにあふれ出た。
「遅くなってごめん、もう安心していいよ」
力強くレイラを抱きしめた。
「怖かった、怖かったけど絶対に助けに来てくれるって信じていたよ、お兄ちゃん」
ラミルはレイラの手をとって部屋を出ると、気を失っている兵士を部屋に入れて鍵をかけた。
(よし急ごう、一刻も早くここから出よう)
ラミルたちが階段を下りようとしたときに、後ろから声をかけられた。
「貴様、何をしている!」
ラミルとレイラは振り返ることなく階段を駆け下りる。
「大変だ、王女様を連れ去ろうとしている奴がいる!逃がすな!」
2階の他の部屋から一斉に兵士が飛び出してきた。
兵士の叫び声が1階にも響き階下にいた兵士たちも階段に走り寄ろうとしたとき、ハリスの部屋にいた3人が部屋から飛び出した、3人とも被っていた布を捨てて武器を手にしている。
「急げ、ラミル、ここは俺たちに任せて早くレイラを連れて外へ逃げろ」
「わかった、頼む」
ラミルは太陽の剣を右手に持ち、左手でレイラの手をしっかりと握り締めると、近くの窓を突き破って外に出た、3人もラミルを追って城の外に出ると、馬を繋いでおいた場所へと走る。
あと少しで馬のところに着けると思った瞬間、目の前にダルガムたちの集団が現われた。
「ラミル、貴様・・・レイラを連れ去りに来たか、逃がさんぞ!」
ラミルは立ち止まり、呆れた顔をしてダルガムを見た。
「馬鹿かお前、お前らが連れ去ったんだろ、取り返しに来たと言えよ!」
ラミルではなく健人が叫んでいた、ダルガムが怒りで顔を赤らめる。
「貴様、誰に向かって言っているのかわかっているのか、私はジゼルの王だぞ」
ラミルを制して健人が言う。
「お前は本当に頭の中身が足りていないようだな、誰が王だと認めたんだよ。そこにいる奴らに乗せられて調子にのってんじゃねえぞ。歴代の王たちだって神聖なる儀式の間を荒らしたことや、アーシャ様を汚したことを本気で怒っているんだ。そして歴代の王たち、そしてレミルが真の王家の末裔である俺にお前たちを倒せと言った。レイラを強引に連れ去ったことも絶対に許さねえ、どんな手を使ってもお前らは全て抹殺する」
4人はレイラを囲むようにして戦闘士や兵士を睨みつけている。
「ラミル、お前は確かに強いが他の3人は雑魚だ、いくらお前が強くても、この人数相手にレイラを守ることはできまい、大人しくレイラを返せ」
ダルガムの言葉にシールも、そしてロザイル、カーズも切れた、ロザイルが声をあげる。
「この前は逃げたくせに何言ってるんだよ、今度はこの前のようにはいかないぞ」
ロザイルは槍先を向けてフィスドを放てるように身構える、カーズも鞭を伸ばしている。
(健人、とりあえずレイラを安全な場所へ連れて行きたい・・・)
(わかっている、だがこれだけ囲まれると辛いな、なんとか突破する方法を考えなきゃ)
シールが小声でラミルに話しかけた。
「ラミル様、とりあえずデルガで移動してレイラ様を安全な場所へ連れていきませんか?その後でゆっくりとこいつらを倒しましょう」
(そうか、デルガでまずジゼルの入口へ移動しよう)
「ロザイル、カーズはシールに捕まって、レイラ、お前は僕にしっかりと捕まるんだ」
シールとラミルが手を繋いだ、シールはジゼルの入口をイメージして、デルガを唱えた。




