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ラミルは布を頭から深くかぶり、廊下に出ると見つからないように急いで右の階段へ向かう、そのまま物音を立てないように階段を上がり、壁に沿うように身を隠しながら2階の廊下を覗きこむと、2人の兵士が奥の扉の脇に立っている。
(たぶんあの部屋だろうな、2人なら問題ないが大声をあげられては厄介だな)
ようすを見ていると奥の扉が開いて中から女が出てきた、こっちへ向かって歩いてくる。
(こっちへ来る、気付かれるとまずい)
物陰に隠れてやり過ごそうにも階段にはそんな場所はなく、しかたなく待ち伏せして兵士に気付かれないようにサイヤの口を塞いだ、サイヤは驚いてラミルを見ている。
「騒がないで!大声を出さなければ何もしません」
サイヤは恐怖で顔を引きつらせながら頷いた。
「あの部屋にレイラがいるのですか?」
その言葉にサイヤははっとなった。首を縦に振りながら塞がれた口を動かしてつぶやいた。
「はい、レイラ様はあの中に・・・大声は出しませんから離してください」
(ラミル、この女性は平気そうだ、少し話を聞こう)
サイヤを連れて兵士に見つからないように階下へおりると物陰に隠れた。
「あなたに手荒なことをするつもりはありません、あの部屋について教えてください」
「私の名はサイヤです。レイラ様のお世話をしています」
「あの部屋にレイラはいるのですね?」
「はい、確かにあの部屋にいらっしゃいます、ところであなたはレイラ様のお兄様ですか?」
「そうです、妹を連れ戻しに来ました。あの部屋はどのようになっているのですか?」
「常に兵士2人が入口に立っています、私も食事などを運ぶ際に鍵を開けてもらって入ります」
「なるほど」
「ダルガム様はレイラ様を愛しています。確かに強引に連れてきたことは酷いと思いますが」
「サイヤさんと言いましたね、あなたはジゼルの末裔ですか?」
「いいえ、私はもともとこのカレルの生まれで、ジゼルとはなんの関係もありません。たまたまダルガム様と知り合い、レイラ様のお世話をするように言われただけです」
しばらくラミルはサイヤの話しを聞いていた。
ダルガムをはじめ、神の戦士はカレルの人たちには良い部分しか見せていないようで、サイヤもダルガムのことを尊敬しているようだ。
「わかりました。でも妹を強引に連れ去ったことを許すことはできません、連れて帰ります」
連れて帰るという言葉を聞いて、サイヤが突然大声を出しそうになったため首筋を殴って気絶させ、持っていた皮ひもで手足を縛って物陰に隠した。




