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「今、アルムは神の戦士と名乗る者たちに脅されている」
「神の戦士?何者なのですか?」
「我々と同じジゼルの末裔だ、さきほど王様を襲った男もそのうちの1人だ」
「同じジゼルの末裔がなぜ?」
「詳しい理由はまだわからんが、近隣にある2つの大国の王家を滅ぼして国を乗っ取り、今度はアルムをも乗っ取ろうとしている」
「さきほど、ラミル様はジゼルの王レミル様の子孫だとおっしゃいました。子孫ならばラミル様は王になるお方なのではないですか?それなのに何故?」
「奴らは、ジゼルの王にしか使うことのできない力を欲し、王家の末裔である私に接触しようとしただけだろう。私を仲間に取り込んで利用しようとしたのかもしれないが、私は他国を乗っ取ってまで王になりたいとは思わないし、ジゼル王家の子孫と知ってからも、ジゼルの復興を考えたことは一度もない。それが王家とは無関係の者たちが、王の力を利用しようなどと」
「でも、ラミル様が力を貸さなければ良いだけではないのですか?」
「確かにそうだが、奴らは私の妹を連れ去って王女として担ぎ上げ、王女と結婚した者が王になろうとしている。そして、妹が男の子を産めば、王家の血を継いだ真の王となる」
「ラミル様の妹が連れ去られたのですか?」
「そうだ、お前にもアミやルルがいるのだから、兄としての私の気持ちはわかってくれるよな。もちろん私は妹を助け出すことは大切だと思っているが、奴らはとうとう王様を狙ってきた。本格的にアルムを乗っ取ろうとしているわけだ、それは戦士として許すわけにはいかない」
シールは剣を握りしめた自分の手を見て頷いた。
「私は8年前、ラミル様に助けられた身です。兵士になって共に国を守ることが夢でした。私がラミル様のお力になれるなら、私はどのような辛い修行にも耐えてみせます」
「そうか、そう言ってくれると嬉しい。それならばまずは剣術の腕を磨くのと、力を付ける必要がある。明日から私が直接鍛えるからな、頑張ってくれよ」
「はい、わかりました」
2人ともそれぞれの部屋へ戻った。
(ラミル、お前から見たシールの実力はどうだった?)
(確かに未熟だと思うけど、まだ完全に覚醒していないにもかかわらず、他の兵士ではかわすことができない私の剣をかわせるんだ、見込みはある)
(そうだな、でもあまり時間も無いぞ)
(わかっている、でも僕と健人で鍛えれば、きっとやれるさ)
翌朝、ラミルが目覚めると、シールはすでに中庭に出て剣を振っていた。
(あいつ早起きだな、さては緊張して眠れなかったのかな?)
ラミルは準備をして中庭におりていく。
「おはよう、早いな」
「おはようございます。いつもサキお婆ちゃんの手伝いで早起きしていたので、目が覚めてしまったので、せっかくですから体を動かしていました」
「そうか、それなら早速やるか」
ラミルはシールに素振り用の一番重い剣を持たせ、それを振ってもふらつかないための体重移動や、バランスの取り方を中心に教えていく。
「よし、今度は左手1本で剣を振る練習だぞ、お前はまだ左腕の力が弱いから、しっかり握ってゆっくり振らないと剣が飛んでしまうから気をつけろ」
シールは汗だくになって辛そうな表情をしているが、ラミルの教えることを一日でも早く身につけようと頑張っている。
(ラミル、とりあえず体を鍛えるにはこの方法で良いけど、シールの剣の腕を鍛えるのは僕にやらせてくれないか?)
(健人が?)
(うん、シールは僕の8年前の時よりは体格に恵まれているから、もしかすると僕の動きを習得させた方が早い気がするんだ)
(剣道の動き?)
(いや、僕だって8年間の間に色々やっていたんだぞ、より実践的な剣術を学んだんだ)
(そうか・・・じゃあ、とりあえず見せてよ、僕も身に付けたいから)
(食後の鍛錬の時間にね、今はこのまま続けさせよう)




