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13

 ラミルは部屋に置いてあった2本の鍛錬用の木剣を手にすると、松明に照らされて薄明るくなっている中庭にシールを連れ出した。

「何をはじめるのですか?」

 ラミルは木剣をシールに投げ渡した。

「試験で見せた実力は、お前の本当の実力ではないはずだ、それを俺に見せてみろ」

「しかし・・・」

「なんだ?あれがお前の実力なのか?そんなはずはないだろう、他の者の目は騙せても、この私の目を騙すことは無理だぞ」

「私には、あの短剣を投げつけた男を倒したときの、ラミル様の剣は見えませんでした」

「全く見えなかったのか?」

「いいえ、全くではありません、薄っすら線のような物が走ったのは見えました」

(ラミル、あれがわずかでも見えるなら見込みはあると思うぞ、たぶん他の兵士や戦士でも見えなかった奴がほとんどのはずだ)

(そうだな)

「薄っすらとは見えたのだな。そうか、たぶん私の動きが薄っすらでも見えたのは、お前だけだ」

「えっ?」

「やはり覚醒は始まっているようだな。さぁかかって来い、来ないならこっちから行くぞ」

 ラミルは剣を構え、それを見てシールも慌てて剣を構える。

 ラミルは手加減しながらシールに襲い掛かったが、薄明るい中でも手加減したラミルの剣が見えているのか、シールはしっかりと自分の間合いを保ちながら攻撃をかわしている。

(無駄が無くて良い動きだな、やはり素質・・・魔闘士の血だな。よし、これならどうかな?)

 今度は少しだけ動きを速めてみると、多少見えにくくなったのか避けるための動作が大きくなったが、それでもなんとかかわしている。

「どうした、避けるだけでは、いつまでたっても相手は倒せないぞ」

 返事がない、どうやら言葉に反応できないほど必死になっているようだ。

(もう余裕がないな、今はこれが限界か)

 ラミルは力強くシールの剣を弾き飛ばして、首筋に剣を突きつけた。

「今日はここまでだ、所詮学校で1番の腕前でも、まだその程度だと言うことだ」

 シールは息が上がり、肩で大きく息をしながらラミルを見ている。

「いきなり・・・そんな・・・」

 今にも泣き出しそうな目をしている。

「シールよ、さっきも話したようにお前は恐らく魔闘士の末裔だ。しかも、その覚醒は始まっている。これからもっと強くなるだろう、しかし・・・」

 ラミルは躊躇した、いくら探していた魔闘士の末裔とは言え、未熟なシールを巻き込んでしまって良いのかと。

 ようやく息が整ってきたシールは、目に涙をいっぱい溜めながらラミルを見た。

「どうしてなのですか?私は、今日兵士になったばかりです。ラミル様の言うように魔闘士の末裔かもしれません。でも学校を卒業して、やっと兵士になったばかりなのに・・・」

 涙声で必死に訴えようとしている。

「シール、私が戦士になったのは学校を卒業する前だ、もちろん王様にも色々考えがあってのことだろうが、当時衛兵をしていた男に勝った」

「それはラミル様の実力で、私にはそのような実力など・・・」

 ラミルはシールの体に触れた、背はラミルよりわずかに低いが、兵士の中では大きい方で、右腕の筋肉は重い剣でなければ、それなりの速さで振ることができる程度に筋肉が付いているが、胸や背中、左腕、腿などの筋肉はあまり鍛えられていない。

「お前はあまり重い剣では体を鍛えていなかったようだな」

「いえ、そのようなことは」

「一番重い剣か?」

「いいえ、みんなよりは多少重い剣でした」

「やはりな、確かに右腕の筋肉は多少鍛えられているが、その他がまったく駄目だ」

「重い剣は振り回すことができなかったので」

「そうだ、重い剣を振るためには腕以外の筋肉も鍛えなければならない。足、腰がふらついてしまっては、振り回すことはできないだろ」

(ラミル、ちょっと良いか、ここからは僕が話すよ・・・)

「シール、すぐに私のようになれとは言っているのではない。しかし、お前には素質、いや魔闘士の血が流れ、その力が覚醒を始めている、今鍛えることで私にとってより大きな力になる」

「ラミル様の力に?」

「そうだ、これから話すことは他の者に話してはならない、お前が魔闘士の子孫だから話す」

 シールは驚いた表情のまま、ラミルの目を見つめた。

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