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ほとんどの者がラミルの戦い方を見ようと中庭を見渡せる場所へ移動していくと、健人は王様に向かって、男と戦う許可を願い出た。
「わかった、好きにするが良い」
男を取り押さえていた兵士が中庭から去ると、健人は男に声をかけた。
「さぁ、この木の棒で戦うか、剣で戦うか選べ」
「わかりきったことを聞くな!」
「そうか、もちろん正々堂々1対1で戦ってやる、光栄に思えよ・・・誰か、剣を2本くれ」
兵士が2本の剣を中庭に投げ入れた。
「さぁ、どっちでも好きな方を取れ、俺もこの鋼の剣で相手してやる」
健人は右腰にさげた鋼の剣ではなく、相手の男が取った残りの鋼の剣を取った。
男が剣を構えると中庭は静まりかえり、2人を見ている王様や戦士、そしてラミルの戦いをはじめて間近で見る兵士たちは固唾を呑んで見守っている。
シールも初めて見るラミルの戦いに、瞬きを忘れてしまうほど集中している。
男は剣を構えてラミルを見たが、すでに剣を中段に構えたラミルを見て動けなくなった。
(なんだ、こいつ、まったく隙が無い・・・お、俺はたぶん仕掛けた瞬間に殺される)
その思ってしまったとたんに恐怖で腰がひけてしまった。
(こ、怖い、なんて威圧感なんだ、俺はどうやって逃げればいいんだ・・・)
完全にラミルの迫力に負けている。
「どうした、かかってこないのか?それとも怖くなったか?」
「う、うるさい・・・」
すでに声も震えてしまっているが、覚悟を決め、というよりヤケになって突進してきた。
健人は男をかわして後ろに回りこむと男の背中を左手で軽く押した、勢い余った男はその場に前のめりになって倒れ込み、静まり返っていた中庭に笑い声が響く。
健人、そして周囲の者にまで馬鹿された男は怒り、立ち上がって再び突進した。
健人は再び男をかわすと、今度は剣先が見えないほどの速さで左手に持った剣を振りぬき、男はその場に倒れた。胴から血が流れて絶命し、見ていた多くの者たちは歓声をあげた。




