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ラミル様
再びお会いすることができないようなので、手紙を残します。
・・・(中略)
それから、とても大切なことを伝えなければなりません。
おそらくシール、アミ、ルルの3人にはジゼルの血が流れています。
妹の2人は覚醒するかわかりませんが、シールの覚醒はどうやらはじまっているようです。
魔導師なのか、魔法師なのか、それとも戦闘士なのかわかりませんが、
きっと貴方のために大きな力を発揮してくれるでしょう。
いずれ兵士試験を受けると言っていましたが、もしも合格できなかったときは、
貴方の側において、ジゼルの血を覚醒させてください。
(シールがジゼルの末裔・・・)
(父親は確か悪魔兵になってしまったはずだよな)
ラミルは、腰からはずしておいた剣を取るようにアミに頼んだ。
「アミ、ちょっとその剣をとってくれないか、重いかもしれないけど・・・」
するとアミは剣を軽々と持ち上げ、母親に向かって叫んだ。
「おかあさん、このラミル様の剣、凄く軽いよ、お兄ちゃんの持っていたのより頑丈そうなのに・・・ねえ、ルルも持ってごらんよ」
「本当だ、凄い、お母さん・・・ほら」
「あら、本当に軽いわね」
母親も剣を手にして、その軽さに驚いている。
(母親が末裔か、それで・・・)
「お母さんと大事なお話しがあるから、アミとルルはちょっと外に出ていてくれないか?」
2人は不思議そうな顔をしたが、その言葉に素直に従って外へ出ていき、やり残していた仕事をはじめた、2人が出て行ったのを確認すると、ラミルはゆっくりとした口調で話をはじめた。
「ジゼルという国があったことをご存知ですか?」
「ジゼル?いいえ、聞いたことありません」
「そうですか・・・」
ラミルは、アルムの北にあったジゼルについて、自分の知る範囲で詳しく話した。
もちろんレミルのことも。
「えっ、ラミル様はあの伝説のレミル様の子孫なのですか。そして、私たちもそのジゼルの血を継ぐ者だということですか」
「はい、間違いありません。この剣を軽々と持つことができるのが何よりの証です。もしかするとシールは呪文を使えるようになるかもしれません」
「呪文ですか?」
「はい、サラさんはジゼルの末裔でした。この手紙に3人のことが書かれていますが、恐らく何かのきっかけで3人がジゼルの末裔だと気付いたのでしょう。特にシールのことが詳しく書かれていますが、魔導師や魔法師ならば呪文を使えるようになるかもしれません」
サラの手紙を母親に見せると、その手紙をじっくり読み、何かを理解したかのようにラミルに語りかけた。
「確かにシールには、何か特別な力があるのではないかと思ったことがあります。誰に教わったわけでもないのに、学校に入った当初から剣術に優れていると言われていました」
「そうですか、それなら兵士試験に合格するでしょう。もし合格出来なかった場合、私のもとでさらに腕を磨いてもらうということでよろしいでしょうか?もちろん危険な目に遭うかもしれません、でもきっと強くなれると思うのです」
「あの子はラミル様のことを本当の兄のように慕っていますし、他の誰のことよりも尊敬しています、いつも学校を卒業したらすぐにでも兵士試験を受けるんだ、ラミル様と一緒に国を守るために頑張るんだって言っていました、きっと何かで結ばれているのでしょうね・・・わかりました、それがあの子の運命なら、どうか、あの子をお願いします」
「はい。では私も急いでザハールに戻ります。もしかすると試験に間に合うかもしれません」
ラミルは家を出てアミとルルに別れを告げると、急いでザハールを目指した。
(健人、北側を回ると時間がかかる、レバル山の南を回って、夜通し走るけど良いよな)
(任せるよ)
ラミルは途中の町や村でわずかな休息を取り、スプラの近くを通りかかった。
(ナナに会っていかなくて良いのか?)
(うん、今は会わない方が良い、とりあえず先を急ごう・・・)




