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 その見たこともない構えに馬上の戦闘士たちは笑ったが、次の瞬間、その顔が引きつったまま動けなくなった。

 ラミルの体が突然大きくなったように見え、兜の下に光る瞳が青く輝くと、わずかに見えている髪が一瞬にして金色に変わる。

「てめえら・・・カレルの罪もない人を殺して王家を滅ぼした罪、許しがたし。しかも、ジゼルの末裔でありながら、我らが祖先の聖なる地を荒らしてアーシャ様を愚弄した罪は万死に値する。貴様らにこそ死が相応しい」

 ダルガムが声を発した。

「何を生意気な・・・こいつを殺せ、倒した者には褒美を与えるぞ!」

 兵士たちが奇声を上げて襲いかかろうとしたが、健人の体がわずかに動き、兵士たちには到底見えない速さで近くにいる兵士に接近すると、剣を持った両手をまるで羽ばたくように振り抜いた、ラミルとすれ違っただけと思われた10人ほどの兵士は全く身動きできないまま首が一瞬にしてその場に落ち、その噴き出した血が他の兵士の上に降り注いだ。

「うわぁぁぁぁ」

 血を浴びた兵士は何が起こったのかわからずに腰を抜かしたように座りこみ、他の者も誰1人としてラミルの動きが見えた者はおらず、戦士と思われる者たちでさえ驚いて剣を抜きかけたまま固まっている。

「き、貴様・・・いったい何をした、何をしたのだ・・・」

「なんだよ、人のことを笑っていたくせに今のが見えなかったのかよ。その程度では全く相手にならんな、さぁ、さっきも言ったはずだ、死にたい奴はどんどんかかって来い、相手になってやる」

 多くの兵士たちがすでに恐怖で動けなくなっていたが、兵士とは異なる甲冑を纏った戦闘士と思われる1人の男が剣を抜き、戦意を見せて掛かってきた。

 健人は左手に持った鋼の剣で大きな円を描くように動かして相手の攻撃を受け流すようにして弾き返すと、男の腹のあたりを力強く蹴り倒した。

「不合格だな。お前たちが何歳の時から戦っているか知らないが、俺は魔物や魔王相手にガキの頃から戦っているんだ、お前らとは経験が違うんだよ」

 倒された男は立ち上がろうともせずにラミルを見上げている。

「お前、名前は何だ、名前ぐらい聞いておいてやるよ、どうせ最後だから」

「くそっ、私は戦闘士のサムだ・・・さぁ殺せ、無抵抗の私を殺せばお前は卑怯者と呼ばれ、永久に王と呼ばれなくなるだけだ」

「卑怯者だと?笑わせるなよ。剣持って威勢よく襲いかかってきて、かすりもしないで蹴り倒された奴が・・・しかも、人の妹を連れ去ったお前たちこそ卑怯者だろうが、もう話しは終わりだ、覚悟しな」

 健人は剣を振りかぶったが、視界に入っていた魔導師と思われる者が呪文を唱えようとしているのが見えてサムから離れると、サムは素早く立ち上がって逃げていき魔導師と思われる男がハスを唱えた。

 ラミルが素早く健人と入れ替わってハスをかわすと、今度は数人の魔法師が一斉にデルガを唱え、神の戦士たちはまたしてもラミルの前から姿を消した。

(また逃げやがった、人に卑怯者と言うどころか、あいつらこそ卑怯者なんだけどな)

 ラミルは残されたままの兵士の遺体を並べると、その死体に向かって祈りを捧げるように頭を下げ、フィアドを使って葬ってから村の入口へと戻っていった。

 村人たちの歓声が上がる中、ラミルは村長に頭をさげた。

「ご迷惑をおかけしました、このまま行きます。本当にお世話になりました」

「ラミル様・・・どうか、お気を付けください」

 そういう村長にもう一度深く頭を下げると、馬に乗ってシチラを目指した。

(健人、さっき何をしたんだ、昔は2人の気持ちが1つになった時に、あの姿になれたけど)

(元の世界に戻った後、ちょっと修行をしたんだ・・・)

(修行?)

(そう、まあ色々説明しても理解できないだろうから面倒な話しはしないけど、相手を倒そうと思って集中したら偶然に変化できたんだよ)

(そうか・・・凄いな、自分の体がしたことなのに、一瞬で兵士の首が落ちたのには驚いたよ)

(いちよう俺だって、あっちの世界に戻ってから剣の腕を磨いていたんだぞ)

(そっか、やっぱり健人が来てくれて良かったよ)

 シチラが見えてくると、ラミルは馬をさらに急がせた。

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