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「魔法師が呪文を作るための条件とは、何かあるのでしょうか?」
「あります。書にはジゼルの王の許可なくして、としか書かれていませんが、呪文を作るためには『賢者の魂』という石が必要で、それはもうこの世に存在しないはずです」
「存在しない?」
「はい、賢者の魂は王だけが作り出すことのできる石で、セラム鉱石に特別な呪文をかけることでできるものです。王の許可とは、王が作り出した石を授かることで、魔法師はその石を使って1つの呪文を作りだします。ただし石の魔力は一度しか使うことが出来ず、一つの呪文を作るとその力を失い、ただのセラム鉱石に戻ってしまうのです。私とロムもアーシャの呪文を作る時、実はあの儀式の間でレミル様から最後の1つだと言われて賢者の魂を授かったのです、それであのアーシャが完成したのです。」
「なるほど」
「それから魔法師でも攻撃呪文、防御呪文、治癒呪文とそれぞれ得意とするものが異なり、私は攻撃呪文を得意としています。魔導師も使うことのできる呪文は限られていて、全ての呪文を使うことができるのは王だけなのです」
「そうですか、やはり村長に話しを聞くことができて良かった、ありがとうございました」
ラミルは石盤や呪文の話しを聞き終えると用意された部屋に入って健人に話しかけた。
(魔法師がいるということは、奴らも村長が言っていた話を知っている可能性はあるよね)
(そうだな、王であるラミルが賢者の魂を作らなくても、レイラに強引に子供を産ませて王にさせ、その子が賢者の魂を作れるようになったとしたら・・・太陽の剣が無くても使える破壊呪文を作らせることも考えているのかもしれないな)
(でもそれって相当先の話だし、レミルや歴代の王様にも認めてもらえた僕自身でも賢者の魂の作り方を知らないのに、そんな簡単には賢者の魂を作れるようにはなれないと思うけど)
(確かにそうだな。それから、この石盤みたいに呪文を刻んで残すっていうのは、魔法師の仕事では無いと思うんだ。それに呪文の内容を考えると、歴代の王が持っていて継承するために使った物か、もしくは特別な魔導師だけに許された物なのかもしれない。石盤は大切な物かもしれないけど、僕たちが一番にやらなきゃならないのは、一刻も早く魔闘士の末裔を探しだして、太陽の剣を手に入れ、奴らの野望を打ち砕かなきゃいけないってことだ)
ラミルは明日からの旅に備えてベッドに体を横たえると、ハンで仮眠しただけで疲れが溜まりはじめていた体は、すぐに深い眠りへと落ちていった。




