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ハン村の手前で馬に乗ったまま小川に架けられた丸太の橋を渡ると、アーシャの祀られている祠の前で馬を降り、祠の中へ走っていく。
アーシャが祀られていた場所に着いたが、氷に守られていたあの美しい姿は無く、真っ暗な洞窟の中で首にさげた指輪が輝きだした。
ラミル・・・来てくれたのですね。
あの者たちはジゼルを汚す者です、決して許してはなりません。
私の体は3人の魔法師によって氷から出され、死の谷へ葬られました。
ラミル、あの者たちを倒してジゼルを救うのです。
「アーシャ様、教えてください、試練の間へ入ることができません。レミル様や歴代の王様と話すこともできないのです。どうしたら良いのでしょう、まさか太陽の剣が奴らの手に?」
安心しなさい。太陽の剣はレミル様たちが守っています。
しかし、今はあの扉を開けることはできません。
まずは、魔闘士を探しなさい・・・
「魔闘士?はじめて聞くな・・・どこに居るのですか?どうやって見分ければ良いのですか?」
その指輪が教えてくれます。
魔闘士を探し出し・・・
アーシャの声が聞こえなくなり、指輪の輝きも消えた。
(魔闘士か・・・どこに居るのかわからなければ、見つけるのは困難だな)
(うん、でも魔闘士を探さなければ先に進めそうもない、まずは手掛かりを探そう)
ラミルは祠から出るとハン村の跡へ戻った。
(まずはこの石盤をどうするかだな、このまま持っているわけにはいかないし)
(誰かに預けるとその人が襲われるかもしれない、重い物ではないし持っていこうよ)
(そうか、そうだな・・・それよりも魔闘士の情報はどうする?)
(まず魔闘士がどんな奴なのかを知らないと・・・そうなると、やはり村長が頼りだな)
ラミルは谷から出て、再びウズルへと向かった。
レイラは、世話役のサイヤに元気付けられ、いつものように与えられた夕食をとっていた。
(そろそろサイヤさんが来る頃だわ、少し話ができると良いけど・・・)
部屋の外に人の動きを感じ、サイヤが来たと思ってにこやかに扉を見ていると、鍵が開いて入ってきたのはダルガムとクルアだった、レイラは目をそらして恐怖に震える。
「何もそんなに恐れなくても良いのですよ、レイラ様」
クルアは嫌味な声をあげ、ダルガムはいやらしい目つきでレイラを見ている。
「元気になり顔色も良くなったせいか、ますます美しくなったな」
レイラは声も出せずに俯いている。
「お兄様には困ったものです。同じジゼルの血を持つ我らの仲間を殺しました」
レイラは聞かないふりをしている。
「王という立場にありながら、とんでもない王様ですな」
「それは貴方たちが兄に何かをしたからではないのですか!」
クルアを睨みつけた。
「これでラミル様は反逆の王となりました。もはや我々の中には誰一人として彼を王と認める者はいません。我々はこれから貴女のお兄様を倒しに行かなければなりません」
「もちろん我々が負けることはありえないが、レイラ様、どうか我々が無事に帰ってくることを祈ってください」
レイラは再び2人を睨みつけた。
「誰があなたたちの無事など祈るものですか、早く私を兄のもとに返してください」
「心配なさらなくてもお兄様をここへ連れてきますよ、但し生きているとは限りませんが」
2人は高笑いをして部屋を出ていき、レイラはベッドに顔をうずめ涙を流した。
「お兄ちゃん、早く助けて、あいつらなんかに絶対負けないでよね・・・」




