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(奴らの鎧はセラム鉱石で出来た物ではない、それなら鋼の剣でも戦える、さっさと雑魚は片付けようぜ)
ラミルは左手に持った鋼の剣と盾で相手の攻撃を受け止めると、その兵士の首元に右手の剣を走らせた、兵士は断末魔の声を上げることも出来ずに首を落とされて地面に崩れ落ちる。
それを見た兵士は一瞬動きを止めたが、すぐに前後左右、四方からラミルに襲い掛かってきた。
ラミルは左手の鋼の剣を大きく振り回すようにしながら、まるで舞うようにくるりと回って兵士たちの剣を弾き飛ばし、右手に持ったセラムで出来た剣で兵士たちの胴を切り裂いていくと、その早くて流れるような動きを見たクルアは動揺して後方で叫んでいる。
「な、何をしている、相手はたった1人ではないか、さっさと片付けてしまえ」
やはりラミルにはただの兵士など敵ではなかった。
学校を卒業して戦士として王宮に戻ったラミルはナナを師として体術も身につけることで、剣の腕前だけでなく全く無駄な動きをしないようになっていた。
しかも体術によって筋肉が増して一回り大きくなった体でも1度動けばその速さは普通の人間には全く捉えることができず、いくらジゼルの末裔の兵士と言っても、雑魚レベルの者では全く自分の間合いで戦うことはできない。
ラミルが兵士の合間を縫うように移動しながら10人以上の兵を一瞬にして倒すと、残りの者たちは完全に動けなくなった。
「どうした、もう終わりか?」
すると後方で魔導師がラミルに向かって呪文を唱えた。
「ハス・・・」
(ラミル、危ない!)
小さな竜巻がラミルに襲いかかってきたが、ラミルが冷静に右手の剣をハスに向けると、剣に吸い込まれるように竜巻が消え、ラミルはすぐに剣を敵に向けて呪文を唱えた。
「フィアド」
今度は剣先から炎の竜巻が出て、その炎に触れた兵士たちを焼き払っていく。
「く、くそっ!さすが王の力・・・クルア様、ここは退却した方がよろしいかと」
「貴様・・・覚えておれよ、この借りはかならず返すからな」
クルアは、魔導師と残った数人の兵を連れてその場から一瞬にして消え去った。
「き、消えた・・・」
(この状況では追うのは無理だろうな、とりあえずはアーシャ様のところへ急ごう)
ラミルは兵士たちの亡骸に、もう一度フィアドを唱えて燃やして葬ると、家の中に投げ込んだ石盤を入れた袋を取って馬の繋いである場所へと急いだ。
(奴ら、突然消えたぞ、何があったんだ・・・)
(もしかすると僕たちの知らない呪文があるのかもしれないな。それにしてもさっきの呪文は凄かったな、腕輪が無くても呪術を使いこなせるようになったのか?)
(だいぶ鍛錬したよ、攻撃系の呪文は使えないけど、魔法の書に書かれていた治癒呪文、防御呪文はほとんど使えるようになった、それにフィアドは剣の力さ)
(凄いよ、本当に8年の間に成長したな、僕の力なんていらないみたいだ)
(そんなことないよ、まだ健人の力を見てないけど、健人だって・・・)




