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ラミルは村長に作り変えられた剣を抜いた。剣は青白い輝きを放ち、相手を威嚇する。
「そ、それはセラム鉱石で作られた剣・・・」
3人は慌しく馬から降りた、そして剣を構え直すと1人がラミルを嘲笑う。
「馬から降りる隙を狙わないとは愚かな奴だ、まともに戦ったことが無いのだろう」
ラミルはニヤリと笑みを浮かべた。
「お前たちを相手に隙を突くようなことをしてもしかたない、いいからさっさとかかって来い」
(ラミル、まずはお手並み拝見させてもらうよ)
ラミルの言葉に挑発された男たちが一斉にラミルを取り囲むようにして襲いかかってきた、だが兵士たちの実力はラミルの足元どころか、アルムの戦士試験候補者よりも劣るかもしれないと思うほどだ。
ラミルはその場から1歩も動くことなく、新しく左腕に装着した盾と剣を使って3人の攻撃を巧みにかわしていく。
「なんだ、お前ら、本気出せよ。この程度じゃ妹を連れ去ることは出来ても、俺を倒すどころか傷1つ付けることもできないぞ」
ラミルの挑発に3人は怒り、赤い顔をして猛然と襲い掛かってくる。
「殺してやる、ここまで馬鹿にされて黙って帰るわけにはいかない、許さん、覚悟しろ」
3人の動きが少しだけ良くなった気がしたが、それでもラミルはまだ1歩も動かない。
ラミルはそのまましばらく攻撃を受け流していたが、剣を使って3人の剣を大きく弾き返すと3人を正面に捉えるように少しだけ後ろに下がり、剣を鞘におさめてから両方の拳を軽く握って体の正面に構えた、肩の力は抜けているが、眼は鋭く相手を睨むように見据えている。
兵士たちはラミルが隙を見せたと思い込み、またしても取り囲むように動いたが、ラミルはそれを見て兵士以上の速さで動きながら相手の攻撃をかわして懐に入り、強烈な左右の拳を1発ずつ3人それぞれの顔面に叩き込んだ。
3人は横になぎ倒されるようにして地面に叩きつけられ、その頬がみるみる赤く腫れ上がってくる。
「どうしたお前たち、もちろん今の俺の拳は見えただろうな。もしこれが剣だったら、お前らの顔は半分無くなって死んでいるぞ」
男たちには見えなかったのか、呆然とラミルを見上げている。
「今はこれで勘弁してやる。すぐに帰ってダルガムって奴に伝えろ、妹に何かしたらただでは済まさない。すぐに連れ戻しに行くから待っていろとな!」
3人は急いで馬に乗ると、捨て台詞も無く逃げ帰るように村から出て行った。
(やるなぁ、しばらく見ないうちに腕を上げたね、ナナに体術も教わったのか?)
(やり過ぎたかな?)
(あれで?あのくらいなら良いんじゃないか、僕だったら、もう2、3発殴っていたよ。こっちも本気を出してないんだし、奴らの雑魚兵のレベルがわかったから良いと思うよ)
逃げてきて、あまりのラミルの強さに呆然と立ち尽くしている男に声をかけた。
「怪我は無いですか?」
「は、はい。私は大丈夫です、しかし城壁にいた何人かが傷を負いました」
「そうですか、それではあなたはすぐに戻り、引き続き見張りをしてください」
男はラミルに頭を下げると、走って城壁へ戻っていった。




