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宿営地の小屋で考えこんでいたラミルは、健人に語りかけた。
(健人、これからどうしたら良いと思う?)
(まだジゼルの末裔と戦うことを迷っているのか?)
(いや、そういうことではない、奴らがこの近くまで来ているというなら、ジゼルへ行くのは危険ではないかと思うんだ)
(確かにそうだけど、話し合うにしろ、戦うしろ、どちらにしても太陽の剣を取りに行かなければ何も始まらないんじゃないか?)
(やっぱりそうだよな、こうして悩んでいる間に、もしもレイラの身に何かあったら)
(それは大丈夫だよ、前にも言ったけど、もしレイラに何かあれば僕が消滅するはずだ。それにレイラを殺してしまうと奴らは正統な王の継承者であるラミルを完全に敵に回すことになる。それはレミルを含む歴代の王様も同様だと思う。そうなれば奴らが何をしようとしているかわからないけど、肝心な継承者の証でもある太陽の剣も、そして偉大なジゼルの力も手に入らなくなる可能性が高い、今はまだ奴らもそんな愚かなことはしないさ)
(そうだろうか・・・)
(よし、いつまでも悩んでいてもしかたない。ジゼルに行って太陽の剣を取って来るぞ、こうなったらあとは運を天に任せるしかない)
(そうだな、でもなんかいつも冷静な健人らしくないけど)
(当たり前だろ、もしもレイラの身に何かがあったら、それで僕が消滅するなんて嫌だからな、絶対にレイラを助け出すんだよ)
ラミルは外に出るとロザイルの姿を探した、少し離れた場所で兵士と話しをしているロザイルに大声で声をかける。
「ロザイル、ちょっと良いか」
ロザイルが小走りで近寄ってくる。
「どうした?」
「ジゼルへ行ってくる、いつまでも悩んでいてもはじまらないからな」
「そうか、わかった、もうじき日が暮れるから明日の早朝にしろよ」
考えることに夢中で気付かなかったが、すでに西の空が赤く輝いている。
「そうか・・・そうだな、じゃあ今夜はここに泊まらせてもらって良いか?」
「もちろん!あとでアンからハスバル様が来ることになっている、会うのは久しぶりだろ?」
「ハスバル様が来るのか、そうだな、懐かしいな」
ラミルは見回りを手伝いながら宿営地でのんびりと過ごしていた。日も落ちて辺りが暗くなった頃、大声を上げて男が近づいてきた。
「お~い、ラミル、久しぶりだな」
アンから到着したハスバルだ。
「ハスバル様、お久しぶりです、お元気ですか?」
「見ればわかるだろう。元気だけはお前に負けないぞ」
だいぶ豪快な性格に変わったようだ。
「かみさんと子供は元気か?」
「はい」
ハスバルとの久しぶりの再会に楽しく会話をしていると、そこへロザイルもやってきた。
「ハスバル様、ラミルは明日の早朝カレルへ向かうそうです」
「なんだって!あそこは全滅したんだぞ、王様の命令で調査に行くのか?」
ラミルはハスバルには黙っていようと思っていたが、カレルの状況やレイラのことを話した。
「そうか、そんなことがあったのか、それならうちの兵士を何人か連れて行って良いぞ」
「いいえ、それは危険です。奴らは私に用がある、兵を連れていけば戦わなくて済むことも済まなくなってしまうかもしれません」
「そうか・・・しかし、1人で大丈夫か?」
「奴らがまだ私を王だと言うのなら1人で行けばいきなり襲ってはこないでしょう。それに1人の方が何かと行動しやすいですから」
夜が更けてくるとラミルは明日からのことを考えてハスバルたちより先に休み、日が昇りはじめると同時に谷に入った。




