1
カレルの王宮に幽閉されているレイラは用意された食事もとらず、部屋から出ることも許されず、ただじっと兄が助けに来てくれることだけを祈っていた。
「兄さんは8年前、お母さんや村のみんなを助けた。だからきっと私のことも助けてくれる、だからそれまではどんなことをしても生き延びる、諦めない」
扉が開き、いつものように母親と同じくらいの年齢の女性が兵士と共に食事を持って部屋に入ってきた、テーブルに食事を置くと女性はレイラを見つめ心配そうに声をかける。
「少しでも食べないと体に障ります。毒は入っていませんから召し上がってください」
レイラは無言のまま小さな窓から見える外を見ている。
兵士が女性に部屋から出るように合図したが、女性は日に日にやつれていくレイラを見るに見かねて声を掛けた。
「そろそろお召し物も変えた方がよろしいですね」
「余計なことを言うな」
兵士は女性に向かって顔を歪ませながら言った。
「何を言っているのよ、この方は貴方たちの王女様でしょ?部屋に閉じ込めたままで、こんな扱いをするなんて・・・それに、王女様はとても美しい顔立ちをしていらっしゃるし、こんなに綺麗な金色の髪をしているのに台無しだわ、すぐに着替えを用意してあげて」
兵士はムッとしたが、その女の強気な態度にしかたなく言った。
「わかった、ダルガム様に相談してみる、しばらく待て」
その女性はレイラの側に近寄り、優しく声をかけた。
「気分がすぐれないでしょうが、もう少しだけ我慢してください。それから、口に合わないかもしれませんが、少しでも良いので食べてください、お願いします」
女性が、まるで自分が辛い思いをしているような悲しい顔をしてレイラの顔を覗き込むと、レイラもその女性の言葉に少しだけ心を許して言葉を返した。
「ありがとうございます。貴女のような優しい方が居てくれて良かった。少しは食べるようにしますので心配しないでください」
力なく言うと、給仕の女性は微笑んで兵士と共に部屋から出ていった。
「確かにそうだわ、このまま意地を張って食べないでいれば、お兄ちゃんが助けに来る前に死んでしまうかもしれない、お兄ちゃんは必ず私を助けに来てくれる。だからその日が来るまでは、なんとしてでも頑張らないと、そのためにも食べよう」
そうつぶやくとテーブルにつき、まだ湯気の出ているスープを一口飲んだ、体が少し温まり顔色が徐々に良くなってくる。
一口飲んだらいっきに空腹感が込み上げてきて一緒に出されているパン、林檎のような果物、そしてスープを全てたいらげた。




