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「どうした?」
兵士は紙を手にしている。
「先ほど、カイルの商人が通った際に、これを戦士に渡すように頼まれたと言っております」
ラミルは丸められて留められていた紙を拡げると、書かれた文字を見て驚いた。
「なぜだ・・・」
我らが王、ラミル様
すでに承知のことと思いますが、王女レイラ様はジゼル王国再興のため、
ダルガムと共に、新しいジゼルの国カレルにて、貴方様が来るのを待っておられます。
神の戦士 戦闘士クルア
「私がここに居ることがわかっているのか?おい、この紙を持ってきた商人は?」
「待つように言ってあります、呼びましょうか?」
「すぐにここへ呼んでくれ、聞きたいことがある」
ロザイルは動揺しているラミルの手から、その手紙を取って目を通した。
「これは奴らからの・・・しかもラミル宛てか」
ロザイルは、手紙を持ってきた兵士に少し強い命令口調で言い聞かせるように話した。
「おい、ちょっと待て、お前はこの手紙を見たのか」
「いえ、私は見ておりません」
「そうか、この手紙のことは絶対に誰にも言うな、良いな」
「は、はい、かしこまりました」
兵士は驚いて返事をすると走って行き、その商人を連れてすぐに戻ってきた。
「忙しいのに呼び止めてしまって申し訳ないが、この手紙を受け取ったときのことを詳しく話してくれないか」
ラミルが商人に確認する。
「はい、私はカレルでの買い付けを終えてカイルに戻るところです。いつものようにこの谷を通りハンの村があった場所を過ぎたあたりの道の脇に1人の兵士が立っていました。カレルで見たことのある格好をしていたので、カレルにいる兵士の仲間だとすぐにわかりました」
「その兵士がこれを?」
「はい、前を通ろうとしようとしたら、この手紙をここにいる戦士に渡してくれと頼まれました」
「ラミルに渡せとは言われませんでしたか?」
「いえ、名前は言われませんでした。ただここにいる戦士に渡せとだけ」
「そうですか、わかりました。ところで、貴方はカイルに戻ると言っていましたが、カーズの店の人ですか?」
「カーズ様をご存知なのですか?」
「はい、とても良く知っています。ではあなたにお願いがあります。この手紙のことはカーズには黙っていてください、もちろん他の人にも」
「わかりました、約束します」
「ありがとう、では気をつけて」
商人はラミルに軽く頭を下げると、カイルに向かって歩いて行った。
「これではっきりしたな、奴らはジゼルの末裔であり、私と話しをしようとしていることが」
「そうだな、行くのかカレルへ」
「うん、レイラを取り戻して、奴らを説得する」
ラミルは近くの椅子に腰をおろすと、何かを考えるようにうなだれていた。
そんなラミルの姿を見たロザイルは声をかけることなく、少しの間1人にさせておこうと思って外へ出ていった。




