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 待合場所のソファに腰かけて検査が終わるのをじっと待っている。

 母親と妹が意識の無い状態で倒れていた、いくら自分が寝ていたとは言っても大きな物音がしたわけでもないし、誰かに襲われたようすもなければ部屋の中を荒らされてもいない、頭を抱えたままソファに座っていると、精密検査が終わり担当の医師に呼ばれて診察室に入る。

 その医師は健人がアルムへ行って意識不明になっていた時の医者で、2人の状態はあの時の健人とよく似ているという、血圧や心拍数などもまったく正常でCTを取ってみたが現時点では原因は全くわからず、意識不明になっている理由が見つからないという。

 健人は医師から説明を受けている最中、急に嫌な胸騒ぎがした、そして裕美が言っていた嫌な予感という言葉がとても気になった。

 医者から聞いたことを単身赴任中の父親に連絡して急いで家に戻ると、何度も本棚から落ちてきて机の上に置いたままにしたDarkを見た。

 朝と昼に2度も落ちていたのは自分に何かを知らせようとしていたのかもしれない、そう思って表紙を捲ってみたが何の変化も無く、最後の頁に書かれたラミルからのメッセージの他には何の文字も現われていない。

「気のせいか・・・」

 健人はほっと胸を撫で下ろしたが、それでも嫌な予感は完全には消え去らなかった。


 その夜、知らせを聞いた父親が慌てて単身赴任先から戻ってきた。

「母さんや裕美たちはどうなんだ、いったい何があった?」

「俺にだってよくわからないんだよ。昼寝をしていて目覚めたら2人とも倒れていたんだから」

「まったく、男のくせに役に立たないな、2人を頼むと言っておいたのに」

 健人はムッとして少し大きな声をあげた。

「勝手なこと言うなよ、医者も原因がわからないって言っているのに、俺にわかるわけないだろ」

 顔を赤くして怒りだした健人に、父親も冷静になる。

「すまん、役立たずなんて言ったりしてすまなかった」

「とりあえず明日一緒に病院に行こうよ、いますぐ命がどうなるってことは無いっていうし、今日はもう面会時間も終わっているからさ」

「そうだな・・・わかった」

 2人は店屋物の食事を済ませると健人は部屋に行ってベッドに横になり、机の上に置いたままにしておいたDarkをもう一度見た。

(Darkには何も書かれていなかったけど何か理由があって本棚から飛び出しに違いない、きっと僕に何かを知らせたかったに違いない、いったい何があったというんだ、まさかラミルの身に何か、それともレイラなのか?)

 そのとき、突然大きな揺れを感じた。

「わぁ、地震だ、大きいぞ」

 慌ててベッドから飛び起きようと思ったが、全く体が動かない。

(えっ?まさか、こんな時に金縛り・・・)

 自分は大きな揺れを感じているのに、本棚も机の上の小物も全く揺れていない。

(まさかDark・・・)

 机の上に置かれたDarkが目の前に飛んできた。

 ラミルからのメッセージが書かれた最後の頁を開かれ、顔の上で浮いている。

(なんだ・・・あれっ?メッセージが付け足されている)

 遠い記憶のアルム語を思い出しながら、なんとかメッセージを読んでみる。


  健人、再び君の力が必要になった

  しかし、僕にはここにメッセージを書くことしかできない

  いったいどうしたら良いかわからない

  レイラが危ない、頼む、僕に力を貸してくれ


(レイラが危ないって・・・待てよ、もしもレイラの身に何かあったら僕たちの存在が消えてしまうということか、だから母さんや裕美があんなことになったのか)

 大きな揺れがおさまると、宙に浮いていたDarkがゆっくりと顔の上に落ちてくるのと同時に目の前が急に真っ暗になり、そのまま眠るように意識が遠ざかっていった。

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