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谷への入口には石を積み上げた頑丈な門が築かれ、まるで城門のようになっていて多くの兵士たちが往来する人を見張り、確認できるようになっている。
門から少し離れた場所には戦士や兵士たちの宿営地としての小屋が設けられていて、ラミルがその小屋に近づいていくと見張りをしていた兵士が慌てて駆け寄ってきた。
「ラミル様ではありませんか、いかがなされたのですか?」
「ロザイルはいる?」
「はい。ロザイル様、ラミル様がいらっしゃいました」
ロザイルが小屋から顔を出した、ラミルを見るとにっこりと笑い、小走りに近寄ってきた。
「ラミル、どうしたんだ?」
「ウズルの村長に用があって、それで帰りに立ち寄ってみたんだ」
ロザイルは、ラミルの両方の腰に剣が付けられているのを見た。
「その剣・・・もしかしてあの時の剣か?」
ラミルは小さく頷いた。
「人には聞かれたくない話がある、ちょっと良いか?」
ロザイルの耳元に小声で話した。
ロザイルは頷いて少し離れた岩場へラミルを連れて行くと、腰を降ろして向き合った。
「話って何だい?」
「その後、神の戦士について何かわかったことはある?」
「いや、アンの城壁に王様宛の書簡が貼られてからは、それらしい者は通っていない、色々な国の商人が何人か通ったから話を聞いたが、特に怪しい者はいないな」
「そうか、カーズが通ったときは話をしたのか?」
「いや、ちょうど俺がサザルに行っていた時に通ったらしくて何も聞けなかったんだ」
「そうか、実はカーズから聞いた話なんだが・・・」
カーズに聞いたカレルの状況を話した。
「なるほど、王家と兵士たちは全滅で、民はそのままか」
「そのままってことはないだろうが、少なくとも神の戦士たちのおかげで喜んでいる者もいるかもしれないと言うことだ」
「しかし、兵士にだって家族もいただろう」
「確かにそうだな、それを考えると神の戦士って奴らがやったことは決して良いことばかりではないってことだ」
「うん」
「それから・・・実は色々あって、僕には奴らの実態がわかってきたんだ」
「なんだって?いったい奴らは何者なんだ?」
「この話は王様しか知らない、君はあの時の大事な仲間だから話すが、誰にも言わないでほしい」
「まさか・・・魔王?」
「いや、魔王では無い、奴らは僕と同じジゼルの末裔だ」
「なんだって?それじゃあ、奴らの言っていた王とはラミル、君のことか?王女は妹のレイラ」
「そうらしい。数日前、レイラが学校の帰りに何者かに連れ去られた。目撃した人の話では妹に向かって王女様と言っていたらしい」
「そうだったのか、それでその剣を」
「父の作った鋼の剣では奴らの剣には敵わない、この剣でないと」
「もちろん太陽の剣も必要なんだろ?どこかに隠したって言っていたよな」
「ジゼルの国跡に、あそこはザハの丘と同じようにジゼルの血を持つ者しか入れないからな」
「だとすると、もう奴らの手に・・・」
「それは無いと思う、隠した場所はさらに僕しか入ることのできない特別な場所なんだ、だからと言って、今取りに行くことは危険だと思っている」
「そうだな、もし奴らがそこにいたら・・・何か良い方法は無いのか?」
「考えているんだけど名案が無くてな」
「ラミル様、ロザイル様、すぐに来てください」
小屋の方からラミルとロザイルを呼ぶ声が聞こえて2人は慌てて戻った。




