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(よし、まずは戦うための最低条件を手にいれたな)
(最低条件って?)
(よく考えてみろよ、カレルの王家は全滅して王家の血は絶えた。そしてアルシード王に来た書簡はまさに脅迫だ)
(脅迫って・・・)
(奴らの目的が単にジゼルの再興だとして、百数十人、もっと多かったとしても千人にも満たない人数なら、あのジゼルの国跡で生活を始めれば良いはずで、わざわざ広いカレルの王家を滅ぼして国を乗っ取る必要はない、もちろんレイラを連れて行く必要も無いはずだ。なんでそんなことをして正統なる王の後継者であり王様として崇めるべきラミルを怒らせる必要があるんだ?)
(そうかもしれないけど)
(それに、ラミルはジゼルの王様としてアルシード王だけじゃなく王子や王妃、それにアルムの戦士や兵士の命を奪ってまでジゼルの王として国を再興したいと思う?)
ラミルは黙っている。
(国が出来て、色々な理由があって国同士の争いが起こることはわかる。それは僕のいる時代にも戦争という形で起こっていることだからな。でもまずは国を再興して、国が安定してから資源の争いだとか、なんらかの理由があって他国を攻めるものだと僕は思うし、国と国の間でも取引という形で物の売り買いをすれば、わざわざ相手の国を滅ぼす必要は無い)
(健人の言うとおりだな。それに、僕にはナナとの結婚をあんなに祝福してくれた王様や王子、それに戦士や兵士の皆、彼らを殺してまで再興なんてことは考えられないな)
(神の戦士の奴らにしてみれば、カレルの王家やアルムの王家に対してラミルが思うような感情は無いだろうけど、国同士が争えば戦士や兵士だけでなく多くの民にも必ず犠牲は出る。アルムの先代の王様だって単にカレルが強大な国だから条約を結んでいたわけではなく、争いが起こって互いに犠牲が出ることを恐れていたってことだってあると思うんだ。だから単に再興するだけならあの場所を国とすれば良いことだし、あそこはジゼルの者以外が入ることが出来ない、つまり攻め込まれることは恐らくない、それに百数十名の兵力で万を超える兵を倒すような強力な兵力があるなら、カレルやアルムだって簡単に攻めるようなことは無いと思う)
(そうだな、それにさっきも健人が言ったように、わざわざレイラを連れ去る必要はない)
(そうだろ、だから奴らの目的は単にジゼルの再興ではなくて、ジゼル王家の力を手に入れ、何かをやろうと企んでいるんだと思うんだ。だから僕は、正統なる王の後継者であるラミルと、奴らは戦うことになると思っている。もちろん同じ末裔同志なんだから話し合いで解決できれば一番良いのはわかっているけど不可能だと思う。だから村長にも話したようにセラムで出来た剣が必要だったわけだけど、たぶんこの剣だけでもだめだと思う。やはり太陽の剣は絶対に必要だ)
(しかし・・・)
(試練の間を思い出せよ、あそこの兵士の幻はジゼル最強時代の兵士だと言っていただろ、もしもそれと同じか、それ以上の力を持った兵士たちが神の戦士だとすると、百数十の兵相手にするのに太陽の剣は絶対に必要だと思わないか?)
(でも、すでに奪われているかもしれない・・・)
(試練の間へ入ることができるのは歴代の王様たちから認められた者だけで、それはラミルだけだ。恐らく奴らは太陽の剣のことを知っていても手にすることも使いこなすことも出来ない、あの剣は世界でただ1人、ラミルだけに使うことが許された剣なんだぞ)
(そうだな・・・)
(それに、ラミルが僕をこの世界に呼び戻したとは思っていない、ラミルにはそんな力は無いだろ、恐らく魔王と戦ったときのように歴代の王様たちの力で呼ばれて来たってことだ。もしも話し合うだけで済むなら、ラミルだけの力で対抗できるならわざわざ歴代の王様たちが僕を連れ戻すはずがない、また2人で力を合わせて戦えってことなんじゃないかって思っているんだ)
(そうか、なるほど、健人の言うとおりだろうな。わかった、ジゼルに行こう)
(もちろんすぐに行きたいんだけど、今はレイラが人質にとられている。もし奴らがジゼル跡を拠点に行動しているとなったら、あそこでいきなり百人以上の兵士と遭遇するのはあまりにも危険だ。まずは情報を集めて確実に太陽の剣を手に入れる方法を考えよう)
(しかし・・・)
(レイラのことは心配ないよ、いきなり殺されるなんてことは無いから安心しろ、僕がまだ生きているってことはレイラもまだ生きている)
(そっか、そうだな。焦る気持ちはあるけれど、まずは冷静に、だったよな。わかった、とりあえず谷の入口に行ってみよう、ロザイルがいるから何か情報が貰えるかもしれない)




