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愛しき妹を守れ(Dark 2)  作者: 赤岩実
もう一人の王の血ふたたび 動きだす
17/89

 4人は時が経つのも忘れたように小屋からは遅くまで鉱石を鍛える音が響き、明け方近くになってようやく剣の原型が出来上がり、窯の火を落として村長は2人に家へ行って休むように話した。

「ラミル様はご存知だと思いますが、ここからは誰にもお見せするわけにはいきません」

「わかっています、今すぐに仕上げにかかりますか?」

「はい、ラミル様も急いでおられるようですし、村の皆がまだ寝静まっているうちに」

 ラミルが頷いて小屋から出ると、中からはロムが盾を仕上げた時のように聞き覚えのない呪文と奇声が2度聞こえ、少し間を置いて扉が開けられた。

 村長は夜を徹して作業した疲れと、仕上げの呪文を施した疲れで少し眩暈がするのか、扉にしっかりと掴まっている。

「大丈夫ですか?」

 ラミルが村長の体を支える。

「これでまた貴方様のお役に立つことができました。とても光栄なことです、これでもう思い残すことはありません」

「何を言っているのです、サラさんをまた1人にするのですか?」

「サラ?サラは、ただ手伝いをしてくれているだけです」

「本当にそうですか?サラさんには村長が必要だと思います、もちろん村長にもサラさんは大切な人のはずです。これからは2人で仲良く力を合わせて長生きしてください」

 村長は黙っているが、その目にはうっすらと涙が浮かんできている。

「本当にありがとうございます。ラミル様に・・・貴方様にそのような言葉をかけていただけるなんて・・・私は本当に幸せ者です」

 ラミルは村長の腰に手を回して体を支えるようにして小屋に入ると、村長を近くの椅子に座らせてテーブルの上に置かれた剣を手にとって見つめた。

 剣は以前よりも厚みを増して太くなり頑丈でとても重そうだが、セラム鉱石で作られているため想像できないほど軽い。

 そして次に盾を左腕に着けてみる、盾も剣と同様に厚みが増して頑丈そうで、しっかりと腕に固定できるようになっている。

「この剣には氷の術が使える力がありましたが、それは変わらないのですか?」

「ロムは氷の術を得意としていましたので、氷の術が使えるようにしてあったのでしょう。しかし、作り変えてしまいましたので氷の術は使えません、その代わりに私が得意とする炎の呪文をかけておきましたので炎を使った攻撃が出来るようになっています」

「そうですか、これで奴らと戦うことができる、本当にありがとうございました」

 しかし、村長は浮かない顔をしている。

「ラミル様、私はジゼルの末裔同志で戦ってほしくはありません」

「それはわかっています。しかし、私の妹を強引に連れ去ったことは許せません。まずはそれを解決することから話をしようと思っています」

「そうですね。わかりました、では家に戻って休みましょう」

 ラミルは村長の体を支えながらサラの待つ家へと戻っていった。

 昼過ぎになってラミルが目を覚ますとサザルの男たちはすでに自分たちの村へ帰っていた。

 ラミルが鎧を着けて準備を済ませて広間に行くと村長は椅子に深く腰をおろし、その傍らにはサラが座っている、よくみると2人はまるで夫婦のようだ。

「おはようございます・・・と言っても、もう昼ですね」

「ラミル様、お食事はなさいますか、すぐに支度しますが」

「ありがとうございます、ではいただきます」

 サラが嬉しそうに微笑んで台所へ消えると、村長に声をかけた。

「2人ともとてもお似合いです。昨日も言ったように、これからも2人で仲良くしてください」

 村長も照れたように笑った。

「たった今、昨日ラミル様に言われた話をしていたのです。この歳になって照れましたが、サラに死ぬまで傍にいて欲しいと打ち明けました」

「そうですか、それは良かった」

 ラミルは食事を済ませると、馬に荷物を積んでサラに話しかけた。

「サラさん、村長から聞きました、どうぞお幸せに。村長のことよろしくお願いします」

「ありがとうございます、ラミル様もお元気で」

「村長も、サラさんを大切にするんですよ」

 ラミルはにっこりと笑って深く頭を下げると、ウズルの村をあとにした。

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