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目を覚ましたレイラは自分のいる場所がとても広くて美しい部屋だということに驚いた。
サントで使っていたベッドとは比べ物にならないほど柔らかく、床に敷かれた布は丈夫で鮮やかな色の糸を使って織られたもののようだ。
ベッドから起きて部屋を歩き回ってみたが、どの扉にも外から鍵がかけられていて部屋からは出ることができそうもない。
「ここはいったいどこなのかしら?」
その時、部屋の大きな扉の鍵が開けられ、男が入ってきてレイラの近くに跪いた。
「王女様、お目覚めですか?手荒なことをしたことを深くお詫びいたします」
「ここは何処、貴方はいったい誰なの」
「私はジゼルの戦闘士の末裔でダルガムと申します。そして、ここはかつてカレルの王族が暮らしていた王宮、カレルの王妃が使っていた部屋です。今は我々ジゼルの末裔、神の戦士がこのカレルを治めていますので我らの城です。ジゼル王女であるレイラ様は、このように美しい王宮で暮らすのが相応しいのです。どうかサントのあの小さな家のことなど忘れてください」
「私をどうするつもりですか?」
「レイラ様にはいずれ私の妻となっていただきます、お兄様であるラミル様はジゼル王家の正当な継承者、その妹であるレイラ様は王女ということです。貴女は私の妻となって子を産み、その子が次の王となり、私は王の父となるのです」
「ジゼル王家?継承者?」
「ご存知ないのですか?それでは説明しましょう。貴女のお兄様であるラミル様は、ジゼル先代の王、レミル様の子孫で、もちろん妹であるレイラ様も同じです」
「レミル様?私と兄があのレミル様の子孫?」
「8年前、魔王を倒してアルムを救った英雄であるラミル様は我々ジゼルの末裔にとっては神と同じ存在です。もし私が貴女様と結婚して男子をお産みになれば、私は王の義弟となり、そして次の王の父となります。そうなれば権力は我が物に」
「なんと言うことを」
「レイラ様にも、そしてラミル様にも強引なことをするつもりはありません。いずれ近いうちにお兄様とも会うことになるでしょうから、私とレイラ様のこと、そして私たちの子を次期王と認めていただかなくてはなりません。例えどんな手を使ってもね、ハッハッハッハッ」
ダルガムは高笑いして部屋を出ていくと、再び扉には外から鍵がかけられた。
「権力のために私を連れさらってきたと言うの?なんて強欲な男なのかしら、絶対にあんな奴の言いなりになんてならないわ。お兄ちゃん、早く助けに来て・・・」
レイラはベッドに腰をおろし、祈るような気持ちで手を合わせた。




