表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただ好きだった。  作者: ふらんそらん
1/1

純粋な恋


『ただ好きだった。』



その言葉以外なかった。



感情はいつまで続くのだろう。

自動的に消せるモノならば、人々は悲しむことなく悩まず毎日を過ごせるのかもしれない。



この感情が生まれたのは、私がやっとのことで就職が決まった頃だ。就職して5年目を迎える今、

5年前から私は彼のことを思い続けている。



学生時代、夢もなくただ名の知れた大学に入学し

大して興味もない授業を4年間受け、ぎりぎり取れた単位で大学を卒業した。



大学生らしいこともあまりしていない。今思うともっと遊んではっちゃけておけばよかったと思う。

合コンもしてない。サークルも入ってない。


4年間何してたんだと今になって思う。



恋愛をしていなかった訳ではない。



高校3年の冬から付き合っていた彼氏がいた。

穏やかで、常に私想いの彼。



『由依、今週の土曜ひま?家遊びに行っていい?』



連絡は毎日途切れることはない。

高校を卒業してすぐに就職についた彼だが、休みの日には必ず会いに来てくれた。



私の両親にも好かれていた。

高校の友達も、私の両親も私自身も、蒼介と結婚するんだろうなと思っていた。



蒼介と付き合うきっかけは、高校3年の夏。

私の方から気になるようになった



いつも制服のズボンからシャツがはみ出ていた蒼介。

この時は今よりも10キロくらい細かったっけ? 

だけど蒼介は、私が思っていたよりこの頃から真面目だった。



何で気になり出したのかは自分でもわからない。

恋って自然に始まるもんだ。



それからはとんとん拍子に仲良くなり

あっという間に付き合うことになった。



高校終わりに2人乗りして帰ったり

公園で真っ暗になるまで話をして、雰囲気のまま初めてのキスをした。



あの頃は何もかもが初めてで、全てがときめいた。

毎日会えることが嬉しくて、一緒に帰った日には

手帳にハートマークをつけた。



初めて一緒に帰った日、初めて手を繋いだ日、

初めてお泊まりした日、初めて一緒にお風呂に入った日、初めてドライブした日、初めて親に合わせた日

朝まで電話した日、初めて喧嘩した日、初めて泣き顔を見せた日、初めて花火大会に行った日、初めて高級レストランでディナーをした日、初めてディズニーランドに行った日、初めて会社で上司に怒られて泣きながら愚痴った日、初めて手料理を作った日



思い返すとキリがない。初めての事をほぼ蒼介と一緒に作ってきたのだ。

あの時はああだったね。なんてふと2人で振り返って話せるのも8年も長い間一緒にいた蒼介だけだ。



この時間は、2人だけの思い出で、この先、蒼介ともし離れることになっても、変えることのできない私の人生の一部だ。



蒼介といると、飾らなくていい。沈黙でも息苦しくない。適当なことを喋って、スッピンを見られたってどうも思わない。



いつからか、私は蒼介に対して恋をする事を忘れていた。


蒼介を嫌いになった訳ではない。こんなに長い間ずっと一緒に過ごしてきた訳だから仕方ないものなのかも知れない。


どこのカップルも、夫婦だってマンネリするのは当たり前で、ときめきを忘れたって家族ってそんなもんだよな



こんなズボラな私に、何年経っても変わらない愛情でいや、年々深くなる愛情で接してくれる蒼介に感謝しかない。


こんなに尽くして愛してくれる人この先いないんだろうなあ…


ふと、蒼介との老後を考えると、おじいちゃんおばあちゃんになって孫に囲まれて、旅行なんかに2人で行って幸せな未来が見える。




蒼介が悪い訳ではない。浮気もせず、女友達も少ない。

友達と出かけることも少なく、空いてる時間は全て私との時間に費やしてくれるのだ。



熟年夫婦の考えるような気持ちで、これが幸せだと5年間過ごしてきた。



彼に出会うまでは…




























評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ