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オフステージ(惣堀高校演劇部)  作者: 大橋むつお
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096・焼き立て高級メロンパン

REオフステージ (惣堀高校演劇部)


096・焼き立て高級メロンパン 






 ボンヤリしていると目立ってしまう。



 同じ制服を着ていても二十三歳……誕生日過ぎたから二十四歳の女子高生じゃね。


 登下校の時は気を付けている。


 髪は下ろして制服もピシッと着こなし、ほんの少しだけ肩に力を入れる。


 これで平均的な惣堀高校の女生徒になる。


 通学カバンだって二年前に新調した。あまりにくたびれていては、こういうところから女子高生のヒネものであることがバレてしまうから。


 まあ、いわば演技なので、立派な演劇部員と実践していると言えるんじゃないだろうか。



 なんでこんなに気を遣うのかというと学校の看板を背負っているからだ。



 恭順の意を表すほどに学校に恩とか有難みは感じていないけど、わたしのせいで学校の評判に傷がつくのは気分が悪い。


 やっぱ、意識して化けていないと年齢というものは出てしまうからね。


 ま、こういうこだわりというか気遣いをするところがヒネものなんだ。


 中山先生がポロっと言いかけてたけど、大阪の全日制の高校では最年長の女生徒だ。


 普通にしてると凄みが出てしまう。


 訳知り顔でふてぶてしくって、商店街ですれ違っても「なんだあいつは?」と思われる。

 啓介くんたちがわたしを演劇部に誘いにタコ部屋に来た時はビビってたもんね。わたしだったから。


 自意識過剰だろうって?


 たとえばさ、道歩いててさ、前から女子高生が歩いて来て、すれ違いざまに男娘だと分かったら引くでしょ。LGBTQとか言うけどさ、異質なものに出会うとギョッとするっていうのは人間の本能よ。差別されちゃかなわないけど、いたずらに目立ったりして人の気持ちを封じてしまうのは違うと思う。


 それと同じ。


 ま、ヒネているというのは、アレコレ分かっているとか慣れていることでもあって、こと学校のことに関しては裏も表も分かっていて、動じるということが無い。


 ほら、生徒会が演劇部の人数が五人以下だから廃部にするって言ってきたじゃない。あれを昔に比べて生徒総数が半分以下になってるんだから三人以下にさせて乗り切ったりとか。新任で上がり症の朝倉先生(元同級生)をほぐしてあげたりとか。


 でも、今回のはちょっとね……。


 焼き立て高級メロンパンを頬張りながら一人ごちた。


 商店街を惣堀生の標準速度で下校中、焼き立て高級メロンパンの匂いを嗅いでしまった。


 商店街のオレンジパン店(ベーカリーとか工房とか言わないところがいい)のオーブンが直ったようで、普段は早朝に焼いている高級メロンパンが焼き上がった。


 あつあつのメロンパンとパックコーヒー買ってお店の前のベンチ。


 焼き立ての匂いに釣られ、わたし同様に数人が四つあるベンチでメロンパンの幸福に浸っている。


 普段ならありえないんだけど、ついためため息まじりに呟いてしまった。



 ポルノの演劇部でもいいじゃん!



 我ながら大きな呟きで、ベンチの一人に聞きとがめられてしまった。


「演劇部がポルノ?」


 気づくと、ベンチに座っているのは商店街のお馴染みさんたち。


 聞きとがめたのは、我らが先輩であるハイス薬局のオジサンだった。




☆彡 主な登場人物とあれこれ


小山内啓介       演劇部部長

沢村千歳        車いすの一年生  留美という姉がいる

ミリー         交換留学生 渡辺家に下宿

松井須磨        停学6年目の留年生

瀬戸内美春       生徒会副会長

ミッキー・ドナルド   サンフランシスコの高校生

シンディ―       サンフランシスコの高校生

生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長 谷口

先生たち        姫ちゃん 八重桜(敷島) 松平(生徒会顧問) 朝倉(須磨の元同級生)

惣堀商店街       ハイス薬局(ハゲの店主と女房のエリヨ) ケメコ(そうほり屋の娘)

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