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オフステージ(惣堀高校演劇部)  作者: 大橋むつお
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093・演劇をやってこその演劇部よ!

REオフステージ (惣堀高校演劇部)


093・演劇をやってこその演劇部よ! 






 演劇なんてやったことのない演劇部!



 だもんだから、いざ、文化祭でやるとなったら、なにをしていいか分からない。


 知識も経験もないし、必ず途中で寝てしまう学校の芸術鑑賞以外で演劇なんて観たこともない。


 それで図書室にいくことにした。


「演劇の台本て戯曲っていうんだねぇ」


 机の上に「なんとか戯曲大全」とか「かんとか戯曲集」を積み上げて感心する。


「それって知らなさすぎ(´¬_¬) 」


 一応演劇をやっていたころの演劇部を知っている須磨先輩がジト目を向けてくる。


「でも、今から読むのんかぁ……」


 啓介先輩が、早くもうんざりしたような顔でページをめくる。


「これ、手でめくりなさい」


「すんません……」


 啓介先輩は、シャーペンの尻でパラパラやっているのだ。


「あっちはどうなんだろ……」


 パソコンコーナーで検索中のミリーとミッキーに目を向ける。


 視線を感じてミリー先輩が車いすを転がしてくる。


「条件悪すぎだよ」


「そうなん?」


「たった五人でさぁ、たった一か月でやるのって無理やわぁ」


「そない言うてもなあ……生徒会には義理があるしなあ」

 

 それは同感、生徒会というか美晴先輩に借りがある。


 相当無理を言ったり無茶をしたけど、演劇部の存続を認められたのは美晴先輩のおかげだ。二階の新部室を斡旋してくれたのも美晴先輩だしね。


「だから、文化祭で演劇してくれる?」


 断れないわよね……将来的にも無為徒食の演劇部を存続させるには、美晴先輩のアドバイスは正しい。


「『高校演劇』で検索してたらね、演劇をやろうという者は、やりたい芝居の五本や十本はレパートリー持ってなきゃだめだって」


 時間と人数以外にも問題がある……みんなは言わないけどね。


 わたしとミリー先輩は車いすでしょ……ただでも少人数なのに、ミリー先輩は本番までには治るかもしれないけど。


 黒柳徹子さんは車いすでやってたけど、そうそう上手くいかないと思う。


 ううん、元々舞台に出ようなんて気持ちは無いけど、裏方やるにしてもね……現実的には厳しいと思うよ。


 パソコンコーナーが賑やかになってる。


 ミッキーの横に八重桜……いや、敷島先生が寄ってきてなんか喋ってるよ。


「あ、通訳しなくっちゃ」


 ミリー先輩が車いすを向けるのと敷島先生がハイテンションでこっちを向くのが同時だった。


「演劇をやってこその演劇部よぉ(◝ ϖ ◜) 」


 明石家さんまを女にしたような満面の笑みでテーブルに近づいてきた。


「文化祭でやるんだから、長い芝居はだめ。出し物がいっぱいあるんだからね、観客は素人ばかりだから、予備知識の有る出し物が一番よ! 多少台詞が聞こえなくても、ああ、このシーンはこういうことを言ってるんだって分かるものがグッド。あなたたちにも予備知識があれば稽古もやりやすいでしょ!」


 好きな先生じゃないけど、さすがは文芸部顧問、言っていることには説得力がある。


「なんか適当な芝居あるんですか?」


「あるわよ!」


 さすがは図書室の主、まるでスケートを履いているようにスイスイ机や書架の間を滑っていくと一冊の本を持ってきた。


「これよ、これ!」


 バサッと置かれた本に須磨先輩の頭に閃きの電球が点いた。


「そうか『夕鶴』ならピッタリだ!」


「「「夕鶴……?」」」


「鶴の恩返しよ!」


「「「「あ、あーーーー(°ロ°(°ロ°(°ロ°(°ロ° ) !」」」」


 全員の脳みそに共通理解の電球が灯った。


「それで、主人公は沢村さん、あなたがおやんなさい!」


「え、ええ( ゜Д゜)!?」



 心臓が停まるんじゃないかと思った。




☆彡 主な登場人物とあれこれ


小山内啓介       演劇部部長

沢村千歳        車いすの一年生  留美という姉がいる

ミリー         交換留学生 渡辺家に下宿

松井須磨        停学6年目の留年生

瀬戸内美春       生徒会副会長

ミッキー・ドナルド   サンフランシスコの高校生

シンディ―       サンフランシスコの高校生

生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長 谷口

先生たち        姫ちゃん 八重桜(敷島) 松平(生徒会顧問) 朝倉(須磨の元同級生)

惣堀商店街       ハイス薬局(ハゲの店主と女房のエリヨ) ケメコ(そうほり屋の娘)

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