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オフステージ(惣堀高校演劇部)  作者: 大橋むつお
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052・地区総会・4

REオフステージ (惣堀高校演劇部)


052・地区総会・4                     


※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改題改稿したものです





 八年前のことを思い出していた。



 天皇陛下、今の上皇陛下が退位したいとテレビでおっしゃって、アメリカでは泡沫候補と言われたトランプが大統領になって、番狂わせで波乱の年だった。

 熊本地震で熊本城があちこち壊れてびっくりした。お祖母ちゃんは「清正公せいしょうこうの石垣は日本一だ」と言っていた、それがあっさり崩れて怖かった。でも、なんだ、そんなものかとも思った。

 

 個人的には、初めて携帯電話を持つことを許されて、わたしは大阪府立空堀高校に入学した年でもある。


 十五歳の女の子には目まぐるしくも、ドキドキする新時代の幕開けだった。



 そんなわたしは演劇部に入ったんだ。



 それまで人前で喋るなんてもってのほかで、中三の春に担任の気まぐれでHR一時間丸々使って自己紹介を強要した時は、あと三人で自分の番という時にお昼御飯がリバースしてきた。


 口を押えて、幸いにも教室の隣にあったトイレにダッシュ。


 いつも大人しいわたしが突然飛び出したので、担任もクラスメートもチョービックリしていた。

 胃の中のものを全部吐き出して教室に戻ると「大丈夫か松井?」と担任がクラス全員の前で聞く。


 そっとしといてよ。


 担任の無神経さに腹が立ったので、思わずこう返した。


「大丈夫です、ほんの悪阻つわりですから」


 教室が凍り付いた。


 愛読書のラノベを真似して、ほんの冗談のつもりで言ったんだけど、それまで冗談なんか行ったことのないわたしは、その足で早退させられ、あくる日には保護者共々呼び出された。


 お父さんは変な人で「きわめて個人的なことなのでお話しできません、しばらく休ませます」と突っぱねた。


 半月たって復帰すると、みんな腫れ物に触るような扱いになった。


 おかげで苦手な体育は見学になったし、ウザイだけの修学旅行にも行かずに済んだ。


 この件でボッチが確定してしまったけど、もともと群れることを良しとしない私には苦ではなかった。


 こんなわたしだったけども、2016年というのは輝かしい。


 きっかけは入学式後のオリエンテーションだった。


 人権なんとか委員長の肩書で演壇に立ったのは八重桜こと敷島だ。なんだか与党を追及する女野党党首のように見えたのは白のスーツ姿だけではなかった。


 このオバサンが「外国籍の人は、ぜひ本名宣言を!」とぶち始めた。


 クラスには中学で一緒だったHさんが居た。Hさんは八重桜の演説に酔ってしまい、それまで使っていた通名を捨ててしまいそうになった。


「だめだよ、そんな簡単に決めちゃ!」


 中学での数少ない知り合いだったので、わたしは真剣に止めた。わたし学校は嫌いじゃなかったけど信用はしていない。学校や教師の言うことは、都合よく解釈や利用するものだと思っている。まして入学したばかりの高校、どこまで信用出来て利用できるか見届けるのには時間がかかる。


 Hさんは、中一の時の薄い付き合いにも関わらず真剣に説得するわたしに好感を持ってくれて「せやね、もうちょっと考えてからでも遅ないわね」と思いとどまってくれた。よそのクラスでは後悔した人もいたとか聞いた。


 こんなわたしだけど、拙い説得で思いとどまってくれたことが嬉しくて、2016年の後押し気分もあって演劇部に入ってしまった。


 あの年も地区総会にやってきて、コンクールやら講習会のあれこれが議題に上がっていたのを思い出した。



 コンクールに出たいと、演劇部に関しては初心なわたしは熱望した。



 でも、連盟加盟が遅れた惣堀はコンクールへの参加資格が無かったんだよね……。

 



☆彡 主な登場人物とあれこれ


小山内啓介       演劇部部長

沢村千歳        車いすの一年生  留美という姉がいる

ミリー         交換留学生 渡辺家に下宿

松井須磨        停学6年目の留年生

瀬戸内美春       生徒会副会長

生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長 谷口

先生たち        姫ちゃん 八重桜(敷島) 松平(生徒会顧問) 朝倉(須磨の元同級生)

惣堀商店街       ハイス薬局(ハゲの店主と女房のエリヨ) ケメコ(そうほり屋の娘)

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