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オフステージ(惣堀高校演劇部)  作者: 大橋むつお
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050・地区総会・2

REオフステージ (惣堀高校演劇部)


050・地区総会・2                     


※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改題改稿したものです






 世の中がわたしを見る目は障がい者だ。



 小六の事故で車いすの生活になってしまった。


 それまでは、当たり前だけど健常者だった。


 でも、健常者沢村千歳とは呼ばれなかった。



 今は身体障がい者とか脚の不自由な沢村千歳さんだ。



 障がいとか足の不自由なとかの枕詞が先行してというかアクセントが付いて、沢村千歳という中身は影が薄くなってしまった。


 小六までは健常者だったので、この影の薄さはしっかり感じる。


 高校に入ったら、少しは変わるかなあと期待した。

 

 惣堀高校は施設的にも整っていて、その方面でもモデル校だったので期待があった。


 惣堀高校なら枕詞抜きの沢村千歳として扱ってもらえるんじゃないかと。


 実際は中学以上に失望した。


 モデル校だけあって、設備も対応も隙が無い。でも、肝心の沢村千歳はどっかにいっちゃうんだよね。



 連休明けには辞めようと思った。



 辞めるために演劇部に入った。部活がんばったけど、やっぱダメだったということにするためにね。


 演劇部とは名ばかりで、放課後部室に集まってはウダウダしている、グータラ部活。


 アリバイ部活だからうってつけだと思った。これで学期末には退学できると思った。



 でも、違ったんだよね。



 正直、三人の先輩はグータラだ。予想通り演劇部らしいことは何もやらない。わたしもほとんどホッタラカシにされている。さすがに移動の時なんかには手を貸してくれるけど、どこかゾンザイ。


 ゾンザイどころか、部室棟の解体修理に伴って仮部室に引っ越してからは、お茶くみの係りはわたしになった。


 一見不人情に見える。


 だって、健常な先輩たちはテーブル囲んで好きなことをやっている。啓介先輩はエロゲだし、須磨先輩は寝っ転がってるし、ミリー先輩は解体される部室棟ばかり見ている。


 そこをウンショウンショとお茶を淹れるわたしは絵的にはイジメられてる的に見えるかもしれない。



 でも、違うんだよね。



 わたしが淹れるお茶とかコーヒーは美味しいんだ。


 たぶんお姉ちゃんの影響。お姉ちゃんはお茶とかコーヒーを扱う会社に勤めているから、知らず知らず影響を受けたみたい。


 先輩たちは「美味しい」と言って飲んでくれる。


 厳密には「美味しい」じゃなくて「美味い」とか「え?」とか「お?」とか「あ?」とか。時には言葉でさえ無くて、一口すすったあとカップの中を見たり、ホッと息を吐いたり。

 このごろはそれさえ無くて、お茶屋コーヒーの後で、より深くというかリラックスして、エロゲやったり、お昼寝したり、部室等眺めたり。


 グータラするのにはお茶とかコーヒーとかは必須アイテムなんだ。


 この仮部室も狭いんだけど、車いすを取り回すのにはちょうどいいんだ。クルンと回転させるだけでテーブルと流しと本棚に手が届く。

 階段下という構造も天井が低くて、高いところにも手が届いて便利。むろん天井近くは無理なんだけど、部室にオモチャのマジックハンドがあって、車いすのわたしでも、手が届きやすいように啓介先輩が壁とかにフックを付けてくれて、部室内の日常のものは不便にならないようになっている。


 たとえ身障者でも、使えるところは使って楽してやろうという魂胆でもあるんだけど。こういう無精というか無神経なほったらかしは心地い。



 でもね……赤いリボンの女子高の一団は違うんだよね。



「空堀高校の沢村千歳さんですね! サインしてください!」


 ここ二日続いている猛暑日のせいでなくホッペを赤くして手帳を出している。


「「動画観て感動しました!」」二人が声を揃える。


 横を見ると、三人の先輩のところにも人が集まっている。



 あーーちょっと……ね……(^_^;)。

 



☆彡 主な登場人物とあれこれ


小山内啓介       演劇部部長

沢村千歳        車いすの一年生  留美という姉がいる

ミリー         交換留学生 渡辺家に下宿

松井須磨        停学6年目の留年生

瀬戸内美春       生徒会副会長

生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長 谷口

先生たち        姫ちゃん 八重桜 松平(生徒会顧問) 朝倉(須磨の元同級生)

惣堀商店街       ハイス薬局(ハゲの店主と女房のエリヨ) ケメコ(そうほり屋の娘)



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