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オフステージ(惣堀高校演劇部)  作者: 大橋むつお
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039・ミイラ事件急展開!

REオフステージ (惣堀高校演劇部)


039・ミイラ事件急展開!                      


※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改題改稿したものです





 ちょっと見てくれるかなぁ



 化学の先生という感じの鑑識主任に呼ばれて、演劇部の四人は恐る恐るブルーシートの囲いの中に入った。


「結論から言うと、これは作り物だよ」


 え!?


 一瞬混乱した。


 視界に入らないようにしていても目に飛び込んでくるトランクの中身は、飴色のミイラ化した死体。


 そして、囲いの中に充満している年季の入った腐敗臭。


 五感で感じる情報は、トランクの中身が本物だと強烈に主張している。


「作り物って……(;'∀')?」


 死体はミイラ化しているので、単純に病死とか殺された死体ではなく、死後に加工されたという意味に感じて疑問形になってしまう。


 啓介の頭には小さいころテレビで見た人魚のミイラが浮かんだ。あれは魚と猿のミイラをくっつけたもので、そういう意味での作り物と思ったのだ。他の三人も同じようなものが浮かんで顔をしかめている。須磨と千歳も同様で、ミリーの頭にはフランケンシュタインが浮かんでいた。


「手の込んだ舞台道具のようなんだ……」


 鑑識主任は、化学の先生の実験手順の説明のように続く。


「ウレタン樹脂の芯の上からシリコンゴムが掛けられている。髪の毛は市販のウィッグ、頭部はプラスチックの頭蓋骨の上から、同様にシリコンゴムで作られている。精巧な舞台道具という感じなんだ」


「でも、この臭いは?」


 最年長だけあって、口を押えながらも須磨が質問する。


 作り物だと言われても、この超熟腐敗臭は納得できない。


「臭いの元は、これだよ」


 主任はトランクの底の方を示した。


 底の方には、ミイラから剥がれ落ちた皮膚のようなものが散らばっている。


「これはスルメと魚の干物を砕いたものさ。かなり古いものなんで、臭いが熟成された腐敗臭のようになっているんだ。僕らもミイラ化した死体をみることがあるけど同じような臭いがするしね」


 そう言いながら主任は四人の顔を見た。いつのまにか、刑事らしいオジサンも混じっている。


「君らは見覚えないねんな?」


「は、はい。なんせ古い部室なんで、ゴミみたいな古道具ばっかりで確認もしてないんです。解体といっしょに処分してもらお思てたもんですから」


「そうか、心当たりはないねんな」


 一拍置いてから、刑事が念を押した。


 どうやら、人騒がせな舞台道具が啓介たち現役の部員たちの仕業かどうかを確認したかったようだ。


 答えの内容よりは、答え方で真贋を確かめるという感じだった。


 早とちりというか誤解から生まれた騒ぎなのだが、鑑識まで出張る騒ぎになったので、警察としては、事の顛末を明らかにしておかなければならないのだろう。



「今年一番の大騒ぎになったなあ……」



 千歳が淹れてくれているコーヒーのドリップ音にホッとため息をつく啓介。


啓介:「車いすで千歳が入部したこと、部室棟が文化財やて分かったこと、ミリーがSNSで一躍有名になったこと……」


須磨:「ニュースにはならなかったけど、害虫が湧きまくったこととかね」


ミリー:「そもそも、それが始りやったわねえ」


啓介:「そう言えば、五人規定で潰されそうになったこともあったなあ」


千歳:「あれは感謝してます、須磨先輩」


須磨:「よしてよ、あたしはただ安息の地が欲しかっただけなんだから」


千歳:「……あ、もうネットに出てる」


 千歳がスマホの画面を示す。


ミリー:「惣堀高校ミイラ発見……ミイラ騒動……今度はオカルト……アミューズメントパーク空堀高校……」


須磨:「いろんなタイトルがつくもんねー」


千歳:「あ、これ……」


 千歳が指差した画面にはハイス薬局のオッチャンが映っていた……。




☆彡 主な登場人物とあれこれ


小山内啓介       演劇部部長

沢村千歳        車いすの一年生  留美という姉がいる

ミリー         交換留学生 渡辺家に下宿

松井須磨        停学6年目の留年生

瀬戸内美春       生徒会副会長

生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長

先生たち        姫ちゃん 八重桜 松平(生徒会顧問)

惣堀商店街       ハイス薬局     

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