表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オフステージ(惣堀高校演劇部)  作者: 大橋むつお
36/156

036・最後の立ち入りを許可します 

REオフステージ (惣堀高校演劇部)


036・最後の立ち入りを許可します                      


※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改題改稿したものです






 部室棟の周りに足場が組まれた。



 いよいよ本格的な解体修理作業が開始されるのだ。


「4時から5時まで最後の立ち入りを許可します」

 

 昨日の部長会議で、生徒会副会長の瀬戸内美晴が通知した。


 学校の施設管理は校長が責任者なのだから「許可されます」というのが正しいのだが、さりげなく自動詞の「します」を使うことで生徒会の権威を上げようとしている。

 

 解体修理が決定した先週、一応の運び出しはやったのだが、なんせ築百年年、いろんなものが溜まっている。


「今回は、自分のところ以外の部室と共用スペースを見てもらいます。ちがった目で見れば、見えてくるものも変わってくると思うからです。不要なものは解体に伴い建物ごと廃棄されます。今回搬出したものはいったん中庭に出してください、先生や同窓会の方々にも見ていただいて、最終的に保存するモノを決定します」



千歳:「瀬戸内さん、賢い人ですねえ」


 お茶を入れながら千歳は感心した。


啓介:「この部屋は、これ以上は入れられへんで」


須磨:「啓介はめんどくさいだけだろ?」


啓介:「俺は、グローバルクラブの再建に忙しいんです」


ミリー:「なにい、そのクラブ?」


 先週入部したばかりのミリーには分からない、啓介は「しまった(;'∀')」という顔になり、須磨と千歳はクスクス笑っている。


須磨:「あとで教えてあげる。それより金目の物を見つけたら、必ずチェックね」


啓介:「お、売り飛ばして演劇部の資金に!?」


須磨:「学校に寄付。演劇部のイメージアップよ。少しでも貢献しておけば、さきざき風当たりも弱くなろうというもんでしょ」


 先月の部員定数問題では、生徒会の盲点を突いて、演劇部の存続を認めさせた須磨。単なるマキャベリストかと思っていたが、一目置く気持ちになった啓介だ。



 部室棟の中は解体目前の混乱で、部室どころか、廊下もゴテゴテしている。


 邪魔になってはいけないので、千歳は中庭で待機しているつもりだ。



須磨:「いっしょに行こ」


千歳:「え、いいんですか?」


 ミリーが車いすを押し、須磨が先導して部室棟の中に入る。ちょっとした探検気分でワクワクする。


須磨:「さすがに二階はむりだなあ……」


ミリー:「あたし、千歳といっしょするから、先輩は啓介と周ってください」


須磨:「サンキュ、じゃ、そういうことで」


 演劇部は二班に分かれて捜索に掛かった。


 ほとんどの部室は手つかずと言っていい状態だった。


 なんせ百年ほったらかしの校舎で、部室棟になってからも半世紀が経過している。


 残している物品は、備品というよりはガラクタ……というよりはゴミの山だ。


 美晴が、最後にもう一度見ておこうと言ったのは、このまま取り壊したのでは学校の評判に傷がつくと思ったからかもしれない。


 千歳とミリーのコンビは三つめの音楽部の分室に踏み込んだ。


「あ……あれ、ピアノぉ?」


 車いすの視線の低さが幸いしたのか、ガラクタの下に覗いたピアノの脚に気づいた千歳。


「どれどれ……」


 ミリーがガラクタをかき分ける。


「よいやっさ!」


 乗っかっていたガラクタをカバーの布ごと引き落とす。


 ゴホゴホゴホ(>○<)


 すると、ホコリまみれのピアノが現れた。


 ピアノは、元々の脚は無くなってボディーだけだ。


 千歳が気づいたのは脚の根元で、普通の目の高さでは気づかないように思えた。


「……これ、スタンウェイやんか!」


「え、スタンウェイ!?」


 ミリーも千歳もピアノをやっていたので、その値打ちが分かる。


 世界的な名器で、状態によっては一千万円以上の値打ちがある。


「「す、すごい( ゜Д゜)!」」


 キャーーーー!


「「え?」」


 二人が感動したのと同時に中庭でも歓声……いや、悲鳴が上がった!



 

☆彡 主な登場人物とあれこれ


小山内啓介       演劇部部長

沢村千歳        車いすの一年生  留美という姉がいる

ミリー         交換留学生 渡辺家に下宿

松井須磨        停学6年目の留年生

瀬戸内美春       生徒会副会長

生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長

先生たち        姫ちゃん 八重桜 松平(生徒会顧問)

惣堀商店街       ハイス薬局     



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ