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オフステージ(惣堀高校演劇部)  作者: 大橋むつお
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028・へし折ってしまった 

REオフステージ (惣堀高校演劇部)


028・へし折ってしまった                      


※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改名改稿したものです





 美晴はおくびにも出さなかった。


 演劇部を……いや、部室棟に入っている文化部たちを、実は軽蔑と憎しみの目で見ていることを。


 いや、ひょっとしたら、その自覚もないのかもしれない。


 演劇部を『クラブの成立要件』に引っかけて潰してやろうと、最初は思っていた。


 クラブの看板だけで、実質的な活動実績……いや、実体がないことが許せない。


 演劇部の3人の部員は芝居もせずに、昼休みや放課後にウダウダしているだけだということを知っている。


 部長で二年の小山内は怪しげなパソコンゲームばかりやっている。


 6回目の三年生をやっている松井須磨は、ただゴロゴロしているだけ、生活指導のタコ部屋から出たいだけだ。


 一年生の沢村千歳一人だけが真っ当……かと思ったが、どうやら学校自体を辞めるために『がんばったけどダメだった』という既成事実を作ろうとしている。演劇部が早晩潰れることを見越しての上なので、他の2人よりも性質が悪い。


 空堀高校においては、部員が5名に満たないクラブは1年の猶予のあとに同好会に格下げするという「5人規定」がある。

 演劇部は、もう長い間5人を切っている。だから実質2週間の告知期間を置いて同好会に格下げすることを宣告した。


 あの背徳的な演劇部が5人も部員を集められないことは読み込み済みだ。実際集められなかった。


 だが……なんと演劇部は「5人規定」が間違っていると主張してきた!


「5人規定」は、惣堀高校の生徒が、今の2倍以上いたころの規定であり、今の生徒数から計算すると3人が妥当な数字だと主張してきたのだ。


 生徒会としては盲点だった。しかも正論でもある。生徒会は代議員を集めて「五人規定」を「三人規定」に変えざるをえなかった。


「しかし、生徒会規約では『規約の改正は代議会が発議し、生徒総会において2/3の賛成を持って改正できる』とあるわ。生徒総会を開かなくては改正できないんじゃないかしら」


 美晴は手続き論で引き延ばし、演劇部を須磨の正論もろとも立ち腐れにしてやろうと思った。実際、一学期のスケジュールに余裕は無くて生徒総会を開くとなると二学期以降になってしまう。


「昭和の時代に各クラスでの議決を持って総会に換えたことがある。この線でいいんじゃないかな」


 めったに発言しない生徒会長の一声があって、たった一週間で決まってしまった。



 ベキッ!!



 美晴は手にしていたシャーペンをへし折ってしまった。


 部室棟の記録をまとめている間に想いが飛んでしまい、見かけに似合わない力が溢れてしまったのだ。


「瀬戸内……だいじょうぶ……か?」


 生徒会顧問の松平が目を丸くしてしまった。


「あ、えと……」


 学校で感情を露わにしたことなどなかったので、うろたえる美晴であった。


 ついさっきの自分の行動が、どうにも許せないのだ。


 ぶ、ぶ、部室棟が大変です!!


 書記の一年生が飛び込んできて、文化部の部長たちが騒いでいると叫んだところから始まった。


 演劇部だけで駆除をやったので、害虫が部室棟全体に広がって大騒ぎになってしまったのだ。

 急きょ部室棟に出撃し、忌々しいことに騒ぎを収めてしまったのだ。あの場では『すべては調査してから』となだめるしかなかったのだ。



 そして……思った。



 やっぱり演劇部は潰すしかない……。



 ベキッ!!



 もう一本へし折ってしまった(^_^;)。

  



☆彡 主な登場人物とあれこれ


小山内啓介       演劇部部長

沢村千歳        車いすの一年生  留美という姉がいる

ミリー         交換留学生

松井須磨        停学6年目の留年生

瀬戸内美春       生徒会副会長

生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長

先生たち        姫ちゃん 八重桜 松平(生徒会顧問)

惣堀商店街       ハイス薬局     

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