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オフステージ(惣堀高校演劇部)  作者: 大橋むつお
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21 カラオケで凱歌を上げる!

REオフステージ (惣堀高校演劇部)


021・カラオケで凱歌を上げる!                      


※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改名改稿したものです





 たいていの学校がクラブの存立要件を部員5人以上としている。


 でも、この「5人以上」というのは全校生が1300人もいた大昔の話で、半数ほどに減ってしまった今日では厳しすぎる。3人で部活成立と認めるべきだ!


 ここに着目して一大演説をぶちあげ、生徒会を凹ましてしまった松井須磨。


 たいしたものだと、啓介も千歳も感心した。



「……でも、これが、あの須磨先輩なの?」



 そうこぼしてしまうほど、須磨の寝姿は無防備でだらしない。


「あ、また……」


 持ったマイクをテーブルに置いて、啓介は寝返りで落ちてしまったブレザーを、須磨の下半身にかけてやった。


 あれから演劇部の3人は、近所のカラオケにくり出して凱歌を上げた。


 所属する目的は三者三様。共通しているのは演劇などには何の関心もないこと。その3人の意見が一致して、初めて行動を共にしたのが、このカラオケであったのだ。


 ほとんどアニソンとアイドルグループの歌という点では三人共通だが、十歳近い年齢差、微妙に曲目が違う。五曲ほどは三人で歌えたが、しだいに須磨はタブレットの操作とタンバリンの係りになってしまい、そのタンバリンの音も途切れ途切れになってきた。


「このへんにして、もう帰ろうか」


「そうね、もう充分発散したわよね」


 ほんとうはこれからという気持ちが強かったが、もう一度須磨を起こすのは気の毒……というよりは興ざめなので制限時間を5分ほど残してカラオケを出ることにした。


「ごめんね、寝てばっかりで」


 やっと目を覚ました須磨謝ったところで、千歳の迎えがやってきた。



「おお、これはスゴイ!」


「なんか、サンダーバードの世界だなあ!」


 迎えに来た千歳の姉への挨拶もそこそこに、啓介と須磨は、ウェルキャブに収納される車いすに見とれてしまう。


 ウェルキャブは、さらに改良されていて。千歳が助手席に収まると、車いすは自動で車のハッチバックまで移動し、せり出したスロープを上って車内に収まった時は啓介と須磨は仲良く拍手して千歳を恥ずかしがらせた。


「「おお( ゜Д゜)」」


 パチパチパチパチパチパチ!


「もう、恥ずかしいから、いいですって二人とも(;>∀<)」


「それじゃ、これからも千歳のことよろしくお願いします」


 姉の留美は、深々と頭を下げて運転席に戻った。



「いい先輩たちじゃないの」



 手を振る2人にバックミラー越しに頭を下げて留美が呟いた。


「え、あ、うん。今日だってね、部室明け渡しを迫る生徒会に乗り込んで、先輩たちがんばってくれたの!」


 千歳は、数時間前の顛末を熱っぽく語った。


「ふーん、松井先輩って美人なだけじゃなくて、頭も回るし度胸もあるのね」


「うん、ダテに(高校8年……と言いかけて)その……美人やってないわよ」


「そうね、人数が多いばかりが演劇部じゃないわよ。3人いればお芝居なんて、どうにでもなる。先輩に恵まれたんだから、千歳もがんばってね」


「う、うん、もちろんよ!」



 そう答えながら、千歳は自己矛盾におちいった。



 自分は、演劇部が潰れることを前提に入部した。部活にがんばったけど、潰れてしまったんじゃしかたがない……そういうことで、一学期の終わりには惣堀高校を辞めるために。


 でも、まあ、ちょっとは頑張ったというアリバイにはなったよね。そう、アリバイなんだ、アリバイ!


 自己矛盾は簡単に消えてしまった。



☆彡 主な登場人物

小山内啓介       演劇部部長

沢村千歳        車いすの一年生  留美という姉がいる

ミリー         交換留学生

松井須磨        停学6年目の留年生

瀬戸内美春       生徒会副会長

生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン

先生たち        姫ちゃん 八重桜 松平(生徒会顧問)


 


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