08. かわいい暗殺者!?
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※ストーリーを進めたいので、情景描写など最低限にしております。時間に余裕がある時に追加を考えていますのでご了承ください。
「見~つけた!こんばんは!勇者さま」
入れ歯ができたその日の夜、満月のキレイな月明かりが爆発音と共に差し込んできた。
ベッドで眠っていたジジは寝ぼけながらも身体を起こし、声のする方向をじっと見つめた。
自室の窓際だったそこに佇んでいたのは、一人の少女だった。
幼い顔立ち、年は10歳くらいか?
腰まで伸びた金色の髪。
頭の上には青いリボン。
青いドレスにレースのエプロン。
可愛い姿とは裏腹に、手には深紅の宝玉が4つ埋め込まれた漆黒の大鎌。
そんな少女がクスクスと笑いながら近づいてくる。
「生まれてすぐに殺されるなんて~、来世で悔やんで下さいませ~」
そう言い放つと少女は大鎌を振りかざす。
すかさずジジは入れ歯を手に取り咥える。
「ちょっ、ちょっと待って!貴女は誰な?部屋がめちゃくちゃじゃなかね!?」
「部屋の心配なんてなさらなくてもいいですのに。どうせ死ぬのですから。」
部屋の天井から窓付近まで何かにえぐられた様に無くなり、ガラスやら壁だった破片やらで部屋中散らかっていた。
両親は大丈夫だろうか?屋敷の皆は?
目的は儂か?という事は少女は暗殺者?
何もせぬまま殺される訳にはいかない。
「死ぬ前に教えて欲しいんじゃが、目的は儂か?他の者達は無事なのか?」
「今から死ぬのに知ってどうするの?」
「暗殺者として優秀な貴女様にお願いじゃ。目的が儂なら喜んで受け入れよう。だか儂以外はただの人間。危害を加えないで欲しい。」
少女が魔王の手先で目的が勇者狩りなら、当然その親も殺される可能性がある。
まだ無事なら、はったりかましてでも交渉するしかない。
「儂は勇者としての実力を持っておる。一戦交えれば貴女様とて無傷とはいかんじゃろう。寝込みを襲わなかったのは、一撃で仕留め損ねた場合に抵抗されるのを警戒しておるからかのう?だからわざと起こして、屋敷の者を盾にした。違うかの?」
「半分当たり~。実力も分からないから~警戒してたの。あなた以外は眠ってもらってるし~、もとより勇者以外は殺す予定はないから安心して死んで。」
良かった、両親はまだ生きている可能性が高い。
でも殺す予定がないだけで確約ではない。
何とか考えないと。
しかし眠らされてるなら助けは期待出来そうにないな~。
「それと、わたくしは優秀ですが暗殺者なんかじゃありません。その気になれば勇者ごと街を消せますので。ただ加減が出来ないので誰もいない所まで連れ出す為に起こしたの~。希望があれば街を消すけどどうする?それともついてくる?」
少女の言っている事に選択肢はなかった。
ついて行かなければ周りを巻き込んでしまう。
抵抗する能力もないし、少女は大鎌を構えたまま警戒しているから逃げる事も出来ないだろう。
う~ん、詰んでるな~。
普通転生したらチート的能力で何とかなるもんだろ?
只のジジぃが入れ歯手に入れて死ぬ話し。
どんな勇者列伝だよ~。
「分かった。ついて行きます。」
ため息混じりにジジは返答した。
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