07. 勇者に必要なモノ それは入れ歯です
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最後まで見てくれるととっても嬉しいです。
※ストーリーを進めたいので、情景描写など最低限にしております。時間に余裕がある時に追加を考えていますのでご了承ください。
命名式から数日後、リスタに呼ばれ応接間に入った。
中には、見た目若い青年と年輩の女性。
入れ歯師が訪ねてきたのだった。
二人は手際良く診察を始める。
噛み合わせが合う様に型をとり、木を削る。
歯の材質を決め、木に埋め込んでいく。
微調整を何度も繰り返し、仕上がった。
さっそく出来上がりを着けさせてもらった。
ほぅ、いい出来だ。
おっちゃん、いい人紹介してくれてありがとう!
これで喋れるし、柔らかい飯ともおさらばだ!
話す言葉は、なるべく標準語が良いだろう。
慣れないが印象は大事だ。
母リスタの為にも頑張ろう。
「お母様、入れ歯師の方々ありがとうございます!」
突然我が子が話し出し、リスタと入れ歯師二人、執事、使用人達も驚いた。
「ジジちゃん!?」
「お母様、い、痛い。」
ジジは涙を浮かべたリスタに力いっぱい抱きしめられた。
凄く嬉しいが、見た目以上に力が強い。
「ごめんなさい!つい、嬉しくなっちゃって。」
「お母様、落ち着いて。後でたくさんお話ししましょう。これもう一つお願いできますか?」
生後間もない子が、喋りだしたらそれは驚くだろう。
しかも会話ができるのだから。
赤子が笑ったり声を出すだけで、周りが喜ぶ光景は前世でもよく見てきた。
だからリスタの嬉しさも少しわかる。
それから色々リスタが話しをしたがっていたが、まだ最後の処理が残っていたので静かにしていた。
見た目若い青年の入れ歯師が、魔方陣の書かれたハンカチの様な布を取り出した。
その上に仕上がった品を置き、手をかざす。
すると、魔方陣が蒼白く光り始める。
うおー!キターッ!これ魔法じゃない!?
勇者がどうとか言ってたから、やっぱりこの世界には魔法があったったい!
終わったら聞いてみよう。
興奮すると前世の訛りが出てしまうのは悪い癖だ。
この魔法はどうやら殺菌抗菌、腐食を防ぐ効果がある気がする。
何となくそんな感じがした。
「さぁ、お話ししましょう!」
魔法が施された入れ歯を手に取り、リスタは微笑みかけてきた。
入れ歯師の二人に口止めと支払いをした後、リスタと二人で色んな話しをする事になった。
家族の事や興味があった魔法について。
リスタは子供でもわかるよう簡単に教えてくれた。
余程嬉しいのか、笑顔が絶えず眩しい。
そんなリスタを愛しくもあり、母としても大好きだ。
大好きだからこそ、余計な心配はかけたくない。
生まれ変わってここにいるとは言わず、ちょっと他の子より少し早く話せるだけの老人を演じる事にしたのだった。
まだこの世界について無知な状態で、注目されるのは色々と面倒だし、なにより危険だ。
自分だけでなく、大切な人達まで巻き込んでしまうのが一番恐ろしい。
何せ勇者の肩書きを背負わされたのだから。
読んで頂きありがとうございます!
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