04. 命名式 その1
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あの夢から1週間。
特に進展せず、両親に撫でられる日々を過ごしていた。
転生後1週間か、80過ぎの身体で何ができる?
そういえば、忘れかけてたけど変な夢見たな~。
あれ?勇者なんだっけ?
何かせんといかんかったような~?
「う~ん?」
まずは入れ歯だな。まともに話せない。
幸運な事に両親は金持ち。欲しいものがあればすぐ用意してくれるかもしれない。
入れ歯が欲しい勇者ってどんなんだよ。
苦笑いしながら与えられた自室を後にした。
――――
「あら、どうしたの?」
応接間でリスタが紅茶を嗜んでいた。
執事が一人ソファーの後ろに、使用人が二人扉の前に立っている。
リスタの向かいにカップが二つ。来客かな?
「こっちへいらっしゃい。」
金色の綺麗な長い髪。見た目40前後?
いかにも箱入り娘で育ちましたって感じの女性だ。
紅い瞳は吸い込まれそうなくらい澄んでいる。
何より年老いたこの老人を可愛いがってくれる。
あぁ、この人の子供で幸せだ~!
執事に支えられ、リスタの隣に座る。
すると筋肉質の大柄の男とリスタと同年代くらいの細身の女性が戻ってきた。
「おぅ。この子か?」
「うわ~可愛い~!ねぇリスタ、触ってもいい?」
どうぞ、とリスタは微笑む。
感じからしてお祝いにきたのかな?
「名前はどう考えてるんだ?」
「まだ悩んでいるみたい。」
「今夜だよね?命名式」
誕生後、七つ目の夜に親族を集め名を付ける儀式を行うのがこの世界の慣わしらしい。
今儂は名無しなのである。
「私は『ゴンブト』って名前がいいって言ったんだけど、駄目だ!って主人が」
「ははは!珍しい名だな。」
「優しくて折れない心をイメージしたんだけど…。」
『ごんぶと』は止めて!某カップうどんみたいな名前は勘弁して欲しいです!お母様!
章造はブルブルと首を横に振る。
「その名前、嫌がってるみたいよ」
「まぁ、決めるのはムリエだからな~」
笑いながら大柄の男は紅茶を飲んだ。
「こっちで遊ぼう」
連れの女性に手をとられソファーから少し離れた窓の付近に連れられる。それからしばらく、名前も知らない女性にさんざん撫で回された。
悪い気はしなかったが、男がリスタと何か難しい話をしている様子が気にかかった。
「そろそろ戻ろうか」
大柄の男は席を立つ。
それと同時くらいに連れの女性が一枚の紙を男の方へ持って行った。
「見てみて!凄いのよこの子!もう絵がかけるの!凄くない?」
「どれ?」
「こりゃ凄いな!まだ七日目だぞ!」
「私にも見せてくださる?」
「それだけじゃないの!話してる事が分かるみたいなの。」
「本当か!?」
「でね、この絵のものが欲しいみたい。」
そういうと、もう一枚の紙を二人に見せた。
そう!描くものを用意してもらい、絵を描いたのだ。残念ながら文字は前世と違うらしい。
「ん?これは!?」
「歯、かしら?」
「多分入れ歯だな。貴族階級しか知らない品だ。だが何故これを知っている?何故絵がかける?」
「凄いわゴンブト!」
リスタが抱きしめてきた。ゴンブトとは呼ばないで!
「本当に凄いな。先程の件も急がねばならんようだな。」
「その絵の物は私が手配しよう。知り合いに腕のいいのがいるから、後日こちらに伺わせる。」
「ありがとうございます!」
「それと、この賢い坊っちゃん。噂になると厄介だから絵の件はここに居るものとムリエだけで内密に!他にも色々出来るかもしれん。」
「わかりましたわ。お心遣い感謝致します。」
「では戻ろうか。またな、ゴンブト君!」
「また遊びに来るね~!」
イラスト作戦大成功!おっちゃんありがとう!
そして、ゴンブトとは呼ばないで!
読んで頂きありがとうございます!
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