25. 白猫奪還プロジェクト その4
タイトルを考えるのがめんどいので、「その○」に!
けっこう便利~
リリーさんが試着している間に、カピに能力値について聞いみた。
異世界転生にはよくある、ステータス表示はどうやら見れないらしい。
まぁ、ゲームじゃないし、普通数値化されて見れる方がおかしいか。
ギルドで学力テストならぬ適切テストを受けて数値を出す事は出来るがランク付け以外にあまり意味がないらしい。
「ジジ君、ど、どうかな?」
「かっ!、かわいいです!」
照れながら出てきたリリーさん。
白から桜色へのグラデーションが特徴のレースのワンピース。
正直、ばっご可愛い!
同年代なら間違えなく惚れるだろう!
「いいっスね!似合ってるっスよ!」
「これにしよう、かな?」
リリーは元の服に着替え、会計を済ませた。
「すみませんリリーさん。持ち合わせがあれば男である儂がプレゼントするべきなのですが。」
「何言ってるっスか?生まれたばかりで。これからっスよ稼ぐのは。それに、かわいいって言われるだけで嬉しいもんっスよ~!」
「ジジ君。ありがとう!私は大丈夫だよ。」
大丈夫じゃないよ。
ナイフの時といい、ヒモの勇者はイヤじゃー!
転生したら何だかんだで金持ちになるもんじゃん?
マジ泣きそう。
―――――
天聖界より戻った生命の女神アイリスは、枝分かれした時間軸を確認していた。
魔王が宇宙へ出た痕跡を消す為だ。
作業をしながらアイリスは、使徒の中でも一番の腹心を呼び出した。
二人の使徒に連れて来られた彼女は、酷く衰弱している様子。
黒のローブに身を包み鎖に繋がれた姿はまるで罪人のようだった。
「お呼びでしょうか?」
「禊で忙しい所悪いけど、貴女に新しい任務を与えます。」
「現勇者を導き、女神の加護力を引き出しなさい!」
「「!!?」」
周りにいた使徒達がざわめく。
「かしこまりました!必ずやご期待に応えるよう善処致します!」
「気をつけて行ってらっしゃい!」
アイリスは微笑みながら見送る。
膝をつき頭を下げると彼女はその場を後にした。
「・・・アイリス様、よろしいのですか?」
「僭越ながら申し上げます!彼女は優秀ですが、行動には目に余るものがございます!また問題を増やす恐れも・・・。」
二人の使徒が意見を述べる。
だがアイリスは右手でその言葉を制止させる。
「彼女は目的の為なら手段を選ばないだけ。大丈夫、きっと上手くやってくれるわ。」
「しかし!」
「誰でも失敗はあるし、取り返すチャンスも必要でしょ?それに彼女は魔王の動向にいち早く気付いて行動を起こした。行き過ぎた所もあるけれど、あなた達と同じ私の大切で可愛い使徒だもの。私は信じてる。」
それ以上の使徒達の進言はなかった。
懐の深さと慈愛に満ちた心に胸を打たれたからだった。
―――――
ここは黒服達のアジト、奴隷商人との密会に使われている廃ビルのような建物の一室。
そこには黒服達によって連れ去られてきたであろう獣人達が牢に入れられていた。
「準備は出来ているか?」
「へい!お頭、言われた通りに整いやした!」
黒服の中にいた子悪党達。
頭と呼ばれるその男はリリーの力を、そして企みを早い段階で察知し罠を用意したのだった。
「加勢した奴らは必ずやってくる。かなりの手練れだが、幼女とペットと老人だ。魔法さえ無効化しちまえば問題はねぇ。」
「俺らがあんな下手な芝居に引っ掛かると思ってるでやんすかね~?」
「憲兵まで出してきたんだ。あわよくばこっちの人数を減らす算段だったんだろう。」
「さすがお頭!そこまで見抜いてやんすね!」
「奴らが来たらこの装置でイチコロよ!」
「「がーはっはっは!」」
「老人達は殺せ!幼女はこの隷属の首輪を付けて高値で売るから殺さない程度にしておけよ!」
隷属の首輪。
魔力が流れると電流と共に首が閉まっていく、奴隷を使役する為に作られた魔導具だ。
「奴らはいつ来るかわからねぇ。が、ここに来る事だけは確かだ。警戒は怠るなよ!他の奴らにも伝えろ!!」
「へい!!」
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