22. 白猫奪還プロジェクト その1
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――――翌日早朝
霧のかかった、まだ朝日が昇る少し前。
街の外れにある、とある空き倉庫。
冒険者と怪しい黒服集団が対峙している。
そこには籠に囚われたミミちゃんの姿もあった。
「ミミちゃん!?」
「こんな朝早くに呼び出しやがって!」
「オレらの仕事は朝飯前って決めてんだよ!そんな事より、金は用意出来たんだろうな?」
「そっちこそ、白猫ちゃんに変な事してないだろうな?」
身代金を用意したミラナさんは、護衛として街一番の冒険者を雇い、受け渡し場所に向かったのだ。
ジジ達はというと・・・
この取引が終わった後、この怪しい黒服集団の後をつけ、もう一人の囚われの姫を助ける事を依頼されたのだ。
※※昨日回想
イリーナさんの為にも確認しておかなければ。
決して人の家庭事情が気になるわけではない。
出来れば穏便に済ませたいのだ。
「…もう一人って、もしかして~。もしかして、浮気相手だったりしますか?」
ジジは恐る恐る聞いてみた。
「浮気相手?違う、違うって!!」
「大丈夫、口は固いっスから。」
「だから、違う!!話せば長いけど断じて違いますッ!」
「では、もう一人とはどなたですか?」
「絶対に秘密にして下さい!特にイリーナには。」
「わかったから話すっスよ~。」
※※※
確かにそれからの話が長かった。
要約するとこうだ。
ミラナさん達には子供ができなかった。
そこに白猫のミミちゃんがやってきた。
だが、猫の寿命は短い。
白猫のミミちゃんの寿命が尽きる前にミラナさんは考えた。
イリーナさんにサプライズがしたいと。
そこで桜の樹を使ってミミちゃんと自分の獣人を造る事にした。
結果は大成功!
しかし、拾参国法により獣人を意図して造るのは禁戒とされている。
偶然?見ていた奴隷商人に見つかり、ミミちゃんと生まれた獣人は拐われてしまったのである。
禁戒を犯したミラナに奴隷商人は足元を見て、莫大な買取り価格を取引に提示して今に至るらしい。
なんとも迷惑な失踪事件だ。
「街一番って、この前絡んできたへっぽこ冒険者達じゃないっスか?」
「たしか、レオさん?でしたっけ?」
「あの人嫌い。」
倉庫の屋根に登り、天窓から顔を覗かせ取引の様子を伺っていた。
取引には三人、外の見張り五人と二階に魔法使いらしき四人。
レオ達三人なら余裕で倒せそうだが、まだ他の人質がいる以上護衛に回るしかなかった。
「金は用意した。ミミちゃんを返して!」
「まずは金が先だ!そこに置いてお前達はさがれ!」
金貨の入ったバックを置いて、ミラナさんとレオ達三人は後退りする。
それを確認して、小柄な男がバッグの中身を見て叫んだ。
「間違いありぁーせん!!本物の金貨です!」
「よし、持ってこい!」
重そうに引きずりなから運んでいる。
バッグの中身はざっと金貨銀貨で2000枚、前世の金なら10億円超え。
約40キロの重さになるそれは、普通の人間には重すぎた。
「早くしろ!!」
「お頭、ちょっ、ちょっと重いっス!」
「おっと!動くなよ!白猫はここに置いといてやる。もう一人は俺達が戻ったら屋敷まで送ってやるから安心しな!」
「ミラナさん、いいのですか?」
「彼らは代理人だ。捕まえても意味がない。それより、ミミちゃんと我が子が帰ってくるなら多少の金ぐらい惜しまないさ。」
「…だとさ、カネ持ってさっさと消え失せろ!」
「動くなよ!下手な真似したら、依頼主に報告するからな!」
「ハイハイ。お前達も、約束を違えれば命は無いと思いな!」
レオはしっしっと手を払った。
黒服達が撤収していく。
そして、ミミちゃんの入った籠を抱き上げ、ミラナさんは号泣していた。
あの夫婦にとって白猫ちゃんは、大切な家族なのだと改めて感じたジジはもらい泣きしていた。
「どうやら取引成功したようっスね!って何泣いてるっスか!?」
「いや、感動して……。そういえば黒服の依頼主、奴隷商人って?」
「この国では獣人を管理する名目で、職業としてあるっスよ。」
「自国の獣人を強制的に管理して、他国からも受け入れ労働力として扱う。」
「いわば人身売買、ルールはあれどそこに人権は無いんス。」
「……何とかしたいですね。」
「とりあえずその話しは置いといて、今は奴らを追うっスよ!」
馬車に乗り込み黒服達が逃げていく。
よく考えたら、老人の足でどう追いかけるのだろうか?
浮遊魔法もなければ、馬も乗れない。
大丈夫、ちゃんと作戦を考えてある。
「悪い奴には悪者を作戦開始っス!」
リリーは顔バレするのでマントにフード、死神の仮面を。
ジジも黒いローブに身を包む。
三人は街の出入口、検問所へ急いだ。
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【次回予告】
黒服を追いかけるジジ達。
たどり着いた先は奴隷商人の館だった。
依頼の姫を探す中、そこでジジ達が見た現実とは?
また、続き見てくれると嬉しいな☆