21. この世界の恋愛事情
リリーとカピと出逢ってようやく旅に出た主人公、童貞老人ジジ君。
初めてのクエストなのに面倒な事に巻き込まれてしまった!
もっと簡単なものにすれば良かったと書いてる私も思ってます。
毎回短い文章にはなりますが、少しのお時間お付き合い下さいませませ~☆
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人払いをしていた事が広まっていたのか、使用人の間でも話しが盛り上がっていた。
「こう、もふもふでね、人なつっこいのよ。」
「ご飯の時間になると食堂に向かって鈴の音が近づいて来るから、時間の感覚は凄かったですね。」
「奥様もだけど、旦那様も溺愛してたわよ。」
使用人ひとりひとりに聞き取りをして、得られた情報をまとめてみた。
"追加のミミちゃん情報"
推定12才のおばあちゃん猫
ふっさふさのもふもふ
抱っこ出来るがちょっと太い
動きはゆっくりおっとり
夫婦ともに溺愛
「まさか獣人じぁあないっスよね?」
「普通の猫らしいよ。」
「ジジ君、どうするの?」
「う~ん。」
使用人達が嘘をついてたり、隠し事してる感じがしなかった。
むしろ、早く見つかって欲しいと一緒に探してくれたり、隠し部屋など教えてくれたりと協力的なのに驚いたくらいだ。
時はもう夕刻、そろそろ今日は切り上げたいところなのだが…。
「最後に、ミミちゃんの事故の可能性を確かめてから帰ろう。もうすぐしたら、一番この件について詳しいであろう人物が帰ってくるはずだから。」
「その人って?」
「イリーナさんの旦那さんだよ。」
使用人の方達の様子から見て、主人に報告しないはずはないだろう。
そうで無くても何か知っているはず。
知っている事がイリーナさんと同じなら、また一から探し直し。
もしイリーナさんに話せない情報を持っているのなら、何らかしらの策を講じているはず。
しばらくするとイリーナさんの旦那さん、この屋敷の主人が帰ってきた。
「キミ達かね?話しを聞きたいという冒険者達は?」
応接室で待っていたジジ達の前に現れたのは、イリーナと同じ年齢くらいの……女性?
「は、初めまして。ジジと申します。こちらはリリーとカピです。」
「おぉぉ!あの勇者様の右腕、リリー様でしたか!お初にお目にかかります!」
「こちらこそ…。」
リリーはペコリと頭を下げた。
「我が家に来て頂けるとは、光栄の至り。ささ、遠慮などなさらずに!おーい!リリー様達の夕食を!」
主人は使用人に指示を出し、気づけば部屋には四人だけ。
ジジはカピに小声で聞いてみた。
「何でご主人が女性なんですか?」
「何でって、夫婦は同性で婚姻するのが普通っスよ?」
「え!?えーッ!?」
「異性同士の恋愛は無いことないけど、珍しいっス。」
ちょっと待って!どういう事???
頭が追いつかない……。。。
同性同士の恋愛が普通で、生まれくるのは老人。
年を重ねる毎に若返って幼児になる。
えーと、うちの両親は父と母なので、アブノーマルって事?
たぶん、あの女神様のせいだよね?
はっ!?もしかして!!
BLが見たいが為に!?
あり得る。。。
「申し遅れました。この屋敷の主ミラナと申します。どうぞお見知り置きを。」
「よろしくっス。さっそく本題なんスけど。」
「我が家の白猫、ミミちゃんについてですね?屋敷の者達より聞きました。」
「話が早いっスね。」
「いつかは明かさなければならない事。イリーナが冒険者に依頼を出した時点で覚悟しておりました。」
……長い沈黙。
三人は暗い表情になった。
イリーナさんがこの場にいない事が幸いか。
「ですが、もうしばらく待って頂けませんでしょうか?依頼の報酬はお支払いしますので。」
「…それはイリーナさんが最も傷付かない方法なのですか?」
「傷付く?…そうですね。彼女にはここしばらく辛い思いをさせてしまった。」
「早く真実を伝えてあげた方がいいっスよ?」
「それは出来ません。」
「なぜですか?」
「今は・・・、まだ言えません。ですが、近くイリーナには私から話しますので、どうか待って頂けませんか?お願いします!」
「事情があるのですね?…分かりました。」
「いいの?ジジ君!」
「イリーナさんを一番想っているのは、ミラナさんだから。」
「そうっスね。」
「ミラナさん。私達に出来る事はありますか?協力させては頂けないでしょうか?」
「・・・。」
話すかどうか迷っている?
というより、悩んでいるように見えるが?
やっぱり誘拐の線か?
「リリーさん、カピさん。もしもの話しですが、私が拐われたとしたらどれくらいの時間で救出できますか?」
「え!?何?ジジ君が?」
「リリーなら例えアルヴァ公国の軍隊だろうと、半日あれば救出できるっスよ!」
「だ、そうです。」
「え?それって、ミミちゃんは拐われたって事?生きているって事?」
「オイラ達に話せないのは、巻き込まない為っスね?」
「そして拐った連中は、かなり厄介な奴か、貴族にとって都合の悪い相手。」
「・・・。」
ミラナさんは頭を抱えている。
どうやらビンゴのようだ。
だが、この様子なら生きているのは間違いなさそうだ。
最悪の結末でなくて良かった。
「もし拐われたのなら、全力で助け出すっスよ!」
「…分かりました。そこまで私どもの事をお考え下さっているのならばお話しします。…お恥ずかしい話しですが、どうかここだけの話しと言う事で、お願い出来ますか?」
「もちろんです。口外しません。」
「しゃべらないっス!」
ミラナは紅茶を一口、苛立つ感情を抑えつつ話し出した。
「結論から言うと、皆様が思っている通りミミちゃんは拐われました。不幸中の幸いですが、生きています。そして明日には戻ってくるはずです。」
「良かった。」
三人の中でも一番心配をしていたリリーが呟く。
「ですが、もう一人。拐われたままなのです。」
「「もう一人!?」」
まさかの耳を疑う話しが出てきた。
もしかして、もしかして!!
・・・ウワキアイテデスカ!?
三人は固まってしまったのだった。
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