18. 人間と獣人
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この世界は人間だけが優遇され過ぎている。
世界の至るところに住み、多種多様な生き物を管理し喰らい、食物連鎖の頂点にいるのは間違いないだろう。
様々な道具や技術・魔法までも、人間は操る事が出来る。
故に人間は自分達だけが優れた存在、自分は特別だと思い込み、今に至っている。
獣人とは、人と獣が交わり出来た存在だ。
桜の木の下で生まれるのは人間だけとは限らない。
女神は愛し合うモノ同士であれば、老若男女、性別生物構わず交ぜてしまうからだ。
人間と獣人を合わせて人族と呼ぶ。
だが人間は獣人を意味嫌い、蔑み差別した。
ある国では虐殺の対象に、ある国では奴隷として扱われている。
この世界に平等なんてものがあるはずがない。
弱肉強食だけが唯一無二の絶対ルール。
搾取する側とされる側、それはどんな世界であっても変わる事はなかった。
――――
「あーあー、飯がマズくなる!」
「やめなよ!相手はあのリリーだよ。」
「んーだよ。俺様に意見しようってーぬのか!」
「そうじゃないけど、人目もあるし。ね?」
「獣人ごときが人間様と同じテーブルでメシぃー食ってんじゃねーよ!」
街の中にある、とある飯屋。
ジジがトイレに行っている間、リリーとカピは隣の席の見知らぬ冒険者三人組に絡まれていた。
一人は剣士のような格好の男。
一人は気の弱そうな魔導師風の女性。
もう一人は露出度高めな美人さん。
周囲は関わりまいと、冷やかな目で静まりかえっていた。
リリーとカピは黙ってご飯を食べている。
「何っか言えよ!ネコミミ野郎ッ!」
「いい加減にしなさいレオ!飲み過ぎです!」
「だってよー。マジ獣くせーし!」
ガンッ!!
テーブルを蹴る音が店中に響いた。
「いてて~、角で足打っちゃたよ~!お食事中大きい音出してスミマセン!スミマセン!」
ジジは周りに謝りながらリリー達のテーブルへ戻って席に着いた。
隣の知らない人がこちらを凝視しているのに気付きジジは話しかける。
「あの~、何かご用でしょうか?」
「何だぁ?老人のクセにまともにしゃべれるんかい!珍しいな~。」
「ごめんなさい!リリーさん。この人酔ってて。」
「いえ、大丈夫です。」
魔導師風の女性に両腕を掴まれ、三人は外に出て行った。
すると、徐々に元の活気に溢れた店内に戻っていく。
「ジジ君ありがとうっスね!」
「なんか絡まれてたみたいだけど、大丈夫ですか?」
「たまにあるんスよ。獣人に対する差別は今に始まった事じゃないっスからね。」
「こんなに可愛いのに?こっちの人間は良さが分かってないんですね~。」
リリーが街に出たくない理由が分かってきた。
ギルドでも何となくそういう感じはあったが、この世界の獣人差別は深刻のようだ。
前勇者との一件で、獣人にとってリリーは功労者なのだろう。
だが、一部の人間からすればリリーは厄介者。
肉屋の店主バーレルのような人物は稀なケースだったみたいだ。
「ところでカピさんって、カピバラなのに毛がサラサラしてしてますよね?触っていいですか?」
「オスに触られる趣味はね~っスよ!」
「え~ちょっとぐらいいいじゃないですか~。」
嫌がるカピを撫でようとするジジ。
その手を受け流すカピ。
「次リリーさんもいいですか?」
「えっ!?えーッ!?」
今度はリリーの頭を撫でまわす。
「ジジ君、お行儀が悪いっスよ!ちゃんとご飯食べなさい!」
「可愛いは正義ですッ!」
「何言ってるっスか!料理冷めるっスよ!」
「隙あり!」
リリーとカピ両腕で撫でまわす。
むしろ頬擦りに近い状態だ。
「ジジ君!顔近いっス!リリー何とかして~!」
明日からは魔法と剣と両方修行が始まる。
今のうちに英気を養わないと、だな。
今日の素振りで老体には珍しく、早い筋肉痛を感じるジジであった。
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