16. 冒険者ギルド
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※ストーリーを進めたいので、情景描写など最低限にしております。時間に余裕がある時に追加を考えていますのでご了承ください。
適当な宿で一泊し朝飯を食べた後、冒険者ギルドに行く事になった。
魔王を倒す目的はあるが、何の力も無いままでは話しにならないので、まずは家に帰る事を第一に考えギルドの情報をあてにしてきたのだった。
ギルドとはいわゆる組合みたいなもので、主に冒険者が集まる冒険者ギルドや商店を集めた商業ギルドなどがあるらしい。
それぞれに国が認めたルールがありそれに従い運営、利益を上げている。
もちろん組合員はルールを違えれば罰則があるというが…。
逆を言えばルールさえ守れば、色んな面で補助がありメリットは高いので、もし旅に出たり商いをするのなら加入をするべきだろう。
と、以前カピさんが言っていたな。
リリーさんは色々あってギルドには加入していないらしい。
――――冒険者ギルド
冒険者ギルドの建物の中は、一言で言えば役所みたいな感じになっていた。
長いカウンターがあり、それを界に冒険者側と職員側とに分かれてある。
早速ジジ達は受付のお姉さんに話しをしたのだが…。
「おぃおぃおぃ、何かの冗談だろ?」
そう言い捨てるのは、冒険者ギルドの適性試験官ゾルド。
バーレルから受け取った木簡を渡すと奥から出てきたのがこの顎髭男だった。
「俺が知ってるノーザンバーグって名は、遥か西の大陸。アストラス王国の王都オルアレンだぞ?こんな生まれたばかりのヤツがこんなところにいるわけないだろ?」
「ノーザンバーグって遠いんですか?」
「うぉ!?しゃべった!!」
みんな同じ反応だな。
いい加減慣れてしまったよ。
「ジジ君は頭がいいから喋れるんスよ。それより、アストラス王国について教えて欲しいっス。」
「お、おぅ。アイツの紹介でもあるしな。そもそもノーザンバーグは領主の名前でアストラス王国の王都オルアレンをも守護する大名主だ。王国の産業、商業、軍事、財政は全てノーザンバーグ家が担っている。ある意味王家より領主か実権を持っている珍しい国だよ。そうだな。アストラス王国はこの街からなら、馬車で半年かかる距離なんだがな……。」
「そんなに遠いのに、生まれたての出身者がここにいるのはおかしい…っスね?」
「いや、絶対おかしいだろ?」
確かに。
あれ?でも投げ飛ばされたのってそんなに遠かったっけ?
「でも、ジジ君は嘘をつくような人じゃない。」
「そうだな。色んな人族見てきているが、嘘つくような目はしてねぇしな。」
「よく見るとジジ君の瞳は薄いピンク色してるっスね!」
「母親譲りなんですよ。同じような瞳の色してましたから。なんかこの眼はルビーアイって言ってたような?」
そう、生まれ落ちた時容姿が少し変わっていたのは気づいていた。
美人ママ、リスタ似だったのは幸運だったと思う。
「ルビーアイだって!?マジでマジか!?」
「どうかしたんスか?」
「それがもし本当なら、とんでもない事になってるぞ!ちょっと待ってろ!」
そう言うと奥にいた、中肉中背の高そうな服を着たいかにも偉そうな人物に話しをしに行った。
雰囲気からして、たぶんあの人がギルド長なのだろう。
驚きの表情でこちらを見ている。
「どうしたんスかね~?」
「さぁ~?」
話しが中断したのでこちらもよく分からないまま待たされた。
5分くらい経った頃、ゾルドがギルド長を連れて戻って来た。
「はじめまして、私がこの街ラヴァンナの冒険者ギルドを任されているジフトと申します。」
「はじめまして、私はジジ。こちらの女性はリリーさんと、従魔のカピさんです。」
「お久しぶりにございます、リリー様。」
「・・・どうも…。」
「立ち話しも何ですので、奥の方へどうぞ!」
ギルド長ジフトに促され、奥の応接間へ移動する事になった。
椅子に座ると紅茶に茶菓子が用意された。
さっきまでの対応とは、どえらい違いだな?
ギルドへの勧誘か?
「話しはゾルドから聞きました。何でもアストラス王国にあるご実家を探していらっしゃるとか?」
「その場所かどうかは分かりませんが、生まれた家を探しています。こちらなら、有益な情報があるかもしれないとバーレルさんから紹介を頂きましたので。」
「そうでしたか、そうとは知らず先程は失礼な対応をしました事、心よりお詫び致します。よろしければそのご実家探し、お手伝いさせて頂けないでしょうか?」
見た目より腰の低い人の様に思える言動だが、何故かリリーは警戒していた。
「ギルドの情報網は国境を越え、世界中と連携しておりますので、必ずお役にたてるかと。」
「もとよりお願いするつもりだったっスからよろしく頼みますっス!…で、その対応の変わり様からして目星がついてるってことっスよね?」
「いやはや、カピ様は鋭いですな~。」
ジフトはハンカチで汗を拭った。
「生まれたてで話せるし、あとルビーアイという言葉。貴族以上の階級の可能性があると思ったんスね?」
「…お見通しですか、ならば正直にお話ししましょう。」
ゾルドがかなり大きな世界地図をテーブルに広げる。
するとジフトは指を指して話しだした。
「世界は13の大国で成り立っているのはご存知かと思います。ここが今私達がいるアルヴァ公国のラインハルト領ラヴァンナという街です。そして目指すこちらがアストラス王国。その中心くらいに位置するこの島がノーザンバーグ領オルアレンになります。」
「何故ここだと思ったんスか?」
「それは彼が『ルビーアイ』の可能性があるからです。」
「???」
「世界が13の国に分かれる時それぞれに特殊な強いスキルを持つ者が生まれました。通常スキルは遺伝しないのですが、これらは子から孫へ受け継がれるそうです。その一つが『ルビーアイ』真実を見抜く目です。」
「なるほど、でその一族が住んでるのがココっスか。」
「あくまでも彼の言った事による推察に過ぎませんが、可能性はあります。」
「だそうだけど、ジジ君どうするっスか?」
真実を見抜く目って何!?
ウソつけないじゃん!
カピさん、さらっと話し流してるし!
でも信憑性は高いかな?
半年かかる距離の連絡手段があるのなら、確認してから動くのが得策だよな~。
さて、どうするか。
「アストラス王国まで急いで確認するのに、どれくらいの時間がかかりますか?」
「そうですね~往復ですので、普通なら1年。早馬に風魔法を合わせれば3カ月ってところでしょうか。ハトを飛ばす手もありますが、距離があるのでワイバーン等に食べられる恐れも。」
「さすがに遠いっスからね~。」
「電話とか無いのかな?」
「電話って何っスか?」
「こっちには無いのか。え~と、遠くの人と話しが出来る機械なんだけど…。」
「ジジ君、念話の事かな?」
「念話なら宮廷魔術師が使えるっスね。遠くの人と話しが出来る魔法っスよ。色々制限はあるっスけど。」
「冒険者ギルドでは扱ってますか?」
「出来なくはないのですが、念話は魔力に比例して距離が短くなるので、アストラス王国までかなりの伝言ゲームになるんですよ。」
「正確には伝わりづらいって事っスね。」
こりゃ界王様に頼みたいレベルかな。
「ど○でもドアみたいな空間を渡る魔法とかないですよね?」
「それはない。あれはマンガの話し。浮遊魔法ならある。けど馬よりは遅い。」
「ジジ様、ここはひとつご提案があるのですがよろしいでしょうか?」
リリーさんがど○でもドア知ってる?
この異世界にドラ○もん!?
マンガやアニメがあっとか!?
「あ、はい。何でしょうか?」
「わたくしどもで今から早馬で急ぎ確認に向かわせ、その間にジジ様達はアストラス王国に向けて出立していただくのはどうでしょう?帰りの早馬に公文として各国の冒険者ギルドに連絡を入れれますので、ジジ様達が立ち寄った街の冒険者ギルドを訪ねて頂ければ確認が取れると思います。」
「確かに、その方法ならより早く正確な情報が得られますね。カピさんどうでしょう?」
「……そうだね。かね…」
「あー!もちろん依頼料は無料でさせて頂きたいと思っております!長旅に出られるので是非当ラヴァンナで冒険者登録をお願い致します!」
「そうですね。よろしくお願いいたします!」
カピの声を遮りながら、ジフトは一際大きな声でジジに冒険者登録を勧め、握手を交わした。
ジフトに別れを告げて受付に戻り、冒険者登録をする運びとなった。
書類にサインをすると受付のお姉さんが金属のプレートを用意してくれた。
ランクを描いた登録証のようだ。
「はい。ジジ様はGランクになります。リリー様はAランクになります。ランクに応じて受けられる依頼が違いますので、ご注意下さい。またパーティーの場合、一番下のメンバーのランク、一つ上までの依頼が受ける事が可能です。今のジジ様達のパーティーはFランクまで受ける事ができます。クエスト数達成、昇級条件を満たせばランクアップしますので、頑張って下さい!」
受付のお姉さんは笑顔で教えてくれた。
その横で仏頂面をしている顎髭男ゾルドが立っている。
「まぁ、死なね~程度に頑張んな!」
「ありがとうございました!ゾルドさん!」
プレートを手にした一行は冒険者ギルドを後にした。
「ジジ君は気づいていないみたいだね。」
「あのタヌキオヤジ、ジジ君が人が良いのをいい事にダシに使って!っスー!」
「でも今回は策の無い私たちの負け。」
「良いように言って母親から金を巻き上げる気マンマンだし、登録で首にヒモ付けて動向を監視するつもりっスよ!しかも護衛扱いでリリーまで登録させて、ちゃっかり自分の功績にしてるっス!」
「自分の懐を痛めず最大限の利益を得る。」
「感心しないで欲しいっスよ。」
「旅に出させて厄介払い。」
「獣人は出ていけと?相変わらず根強い獣人差別っスね。」
二人はジジに聞こえないように話したのだった。
「ジジ君!ご飯食べて武器屋に行こうっス!」
やなことあったら飯を食う!
カピは自分にそう言い聞かせ、前向きに考えるのであった。
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