15. 売ったお肉は高かった
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※ストーリーを進めたいので、情景描写など最低限にしております。時間に余裕がある時に追加を考えていますのでご了承ください。
《街ラヴァンナ》
ここはアルヴァ公国、貴族が治める国である。
そしてラインハルト領のラヴァンナという街らしい。
色んな店がある商業都市で、冒険者も多く活気に溢れた街だ。
気づけば、もうすっかり夕方。
ギリギリ入口の検問を抜けて街に入った。
「何とか間に合ったっスね!」
「まずは肉屋。」
――――バーレルの肉屋
骨付き肉の看板。
他より一回り大きい建物が二つ繋がった店だ。
店は1F、奥は解体作業場が出来るような造りになっているのだろう。
2Fは事務所兼住居のようだ。
「換金してくるから待ってて。」
そう言うと入口に二人を残し、リリーは店の中に入っていった。
冒険者も多い街は、狩ってきた獲物をすぐに買い取れるよう街の出入口に買い取り専門の肉屋があるらしい。
運ぶのも大変だし、血等で街が汚れる事も回避できる為だろう。
「カピさん、この肉大丈夫なんですか?日が経ってるし、常温だし。」
「鮮度維持の魔法がかかってるから大丈夫っスよ。知り合いが作った魔道具のおかげっスね!」
確かに、猪を触るとひんやり冷たい。
冷蔵庫から取り出したばかりの肉のようだった。
猪の額に青い石が埋め込まれた金具が引っ付いるが、これが魔道具か?
荷車の軽さといい、冷蔵庫がいらないとは、また便利な代物ばかりだな。
「待たせたな!おや?久しいな~カピじゃね~か。」
「おひさ~っス!」
「連れっていうからどんなヤツかと思ったら、どえりゃ~ヤツ連れてきたな!?」
店から出てきたこの人は、店主のバーレル。
スキンヘッドに強面、額から首筋までの長い傷。
いかにも修羅場をくぐり抜けたと思われる風格だ。
見た目は50代か?やっぱりこの世界の年齢は見た目では判断しづらい。
「はじめまして、ジジと申します。」
「その年で喋れるんかい!?」
やはり、生まれたてに見えるらしい。
「まぁ何だ、とりあえず肉を見せてもらうぜ。……ほほぉー、相変わらず良い仕事してるね~」
「高くお願いするっスよ~!」
手際よく頭から足先まで、細かく触って確認している。
腹の肉は食べたり、保存用で半分なくなってはいるのだが大丈夫だろうか。
「ワイルドボアの牙は武器屋に回していいか?」
「そのつもりっス!」
「OK!色付けとくよ。リリー嬢、査定終わったぞ!」
「こっちも終わった。精算お願い。」
店の中にいるリリーに声をかけ店の中に戻って行った。
どうやらリリーは、査定書類に必要項目を記入していたようだ。
「カピさん、この猪って高いんですか?」
「そんなに高くはないっスよ。一般的にワイルドボア、キラーボア、キングボア、の順に強いし高値っス。あとは神話級がいるけどまぁ普通に生きてたらまず出会わないっスね。」
あ~ロープレで良くある上位種ってヤツね。
ロープレと言えばアレも気になる。
「おぅ!ボウズ、それを店の裏にまわしてくれ!って言ってる事わかるか?」
「あ、はい。」
「こっちっスよ。」
カピと一緒に裏の勝手口から中へ入り、猪を作業台の近くに荷車ごと置いておく。
猪の額の便利な魔道具をカピが口に咥えて剥がし取る。
作業を終えて店の前に戻るとバーレルとリリーが待っていた。
「話しは聞いたぜ、ボウズ大変だったんだってなー。」
坊主頭にボウズ呼ばわりされるとは…。
「拾われたのが、リリー嬢で良かったぞ!この国は山賊やら奴隷商やらが多いからな!」
「はい、リリーさん達には本当に良くしてもらってます。」
「そういえば、バーレルっち。奥さん元気にしてるっスか?」
「おぅよ!元気に子供連れて出ていったぞぃ!」
「またっスか!?」
「まただよ!」
「何人目っスか?」
「5人目だよ!がぁーはっはっは!!」
「あははははぁ~!」
二人は爆笑、ジジとリリーは失笑していた。
笑顔のバーレルはジジの肩に手を乗せ一言呟く。
「嫁さんは大切にしろよ!」
「おめーさんが言うなっスよ!」
まるで漫才のようなやり取り。
何度も奥さんに逃げられていて慣れているのだろうか。
終始笑顔で、それほど気にしてない感じがした。
あまりこの件には関わらないようにしよう。
「そーいやー、ジジとか言ったな?見た目以上に話せるようだが、何者だ?リリー嬢は『ケガしている老人を森で拾った』ってしか言わないんだが?」
「言葉通りっスよ。家に帰してあげたいんスけど、聞いた事ない場所で…。ノーザンバーグ領って知ってるっスか?」
「ここいらの領主では聞いた事ない名前だな。」
「そうっスか…。」
「気を落とすなよボウズ。明日にでも冒険者ギルドを訪ねてみるといい。あそこなら、地方領主の名前も、他国の情報も何でもあるからな。受付に俺の紹介だと言えば教えてくれるだろう。」
「バーレル、ありがとう。」
「な~に、リリー嬢にはいつも世話になってるからな。」
頭をかきながらバーレルは応え、名前を書いた木簡を渡してくれた。
紹介状の代わりになるものだろう。
それにしても魔導師協会にギルドまであるのか。
ますます異世界ラノベっぽくなってきたな。
この国は貴族様が治めてるらしいから、そろそろ悪役令嬢が出てきたり、どこぞの帝国が絡んで来たりするのかな?
と、ジジはジジはフラグを立ててみたり。
「ジジ君大丈夫?」
「リリーさん!大丈夫です!ちょっと考え事を…」
「じゃあそろそろ、おいとまするっスよ!貴重な情報もありがとうっス!」
「ありがとうございました!」
「またね!」
「おぅよ!またいつでも持って来い!」
ジジ達はバーレルの肉屋を後にし、今夜泊まる宿を探す事にした。
「あ、ギルドだけじゃなくて宿屋も紹介してもらえば良かったっスね。」
「そういえば、そうですね。」
「大丈夫!この先、冒険者用に沢山ある。路銀も。」
「「おおー!?」」
リリーは金貨や銀貨の入った袋をチラ見せした。
今夜のご飯も楽しみだ!
三人は同じ事を思って歩みを進めるのだった。
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