12. うまい飯は正義なのです
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※ストーリーを進めたいので、情景描写など最低限にしております。時間に余裕がある時に追加を考えていますのでご了承ください。
リリーが部屋を出た後、カピは語り始めた。
「生まれた時、リリーは孤児だったんス。魔物のいるこの森で。誰の助けも無い中、ずっとさまよって。何度も何度も死ぬ目にあって、その度に必死の思いで生き抜いてきて。だから、ジジ君に親がいるなら帰してあげたいんじゃないっスかな?」
「リリーが街に行くって言い出すなんて珍しいんスよ。それにさっきも言ったけど、似てるんスよ。一緒に旅した勇者に。それもあって、力になりたいんじゃないっスかね。」
自分の生ぬるい前世とは大違いだ。
魔物の出るこのファンタジーみたいな世界では、珍しい事ではないのかも知れない。
それでも、胸の奥が熱くなるのを感じた。
「…リリーさん、苦労されたんですね。」
「まだ幼い頃に勇者と出会ってたから良かったんスよ。言葉も魔法も勇者から教わったらしいし、親みたいな存在って言ってたっスね~。」
「ちなみに、オイラはリリーの従魔、勇者がリリーをこの森において旅立つ前に創られたっス。まぁ、寂しくないように置き土産みたいなものっスね。」
カピはニコっと笑った。
どんな理由で生まれようと、主人の側にいれるのが幸せ。
そう感じとれる笑みだった。
「それじゃ、雑談は終わり!昼ご飯食べたらまた寝るっスよ!食って寝て治す!夕飯の時にジジ君の事教えてね☆」
そう言ってカピは部屋を出て行った。
―――――
日が沈み始めた頃、腹の上に乗ったカピに起こされた。
「身体の具合はどうっスか?」
「あぁカピさん、もう大丈夫です。ありがとうございます。」
目をこすりながら寝ていた部屋を後にした。
「わお!猪鍋の美味しそうな匂いっス!」
コテージ風な外見と違い、内装は意外と洋風。
部屋数も多いようで、扉がいくつもあった。
家の出入口から続く大部屋に6人掛けのテーブルと椅子、奥には調理場があり、いわゆるアイランドキッチンのような造りになっていた。
カピ専用なのだろうか、椅子の代わりにテーブルと同じ高さに合わせた木箱が一ヶ所だけ積まれている。
「出来たから座って。」
椅子の上に立ち、テーブルの上の鍋をよそいながらリリーは二人に声をかけた。
野菜たっぷりの猪鍋に、パンと燻製されたであろう薫りの強いチーズのようなもの、それに葡萄酒が並んでいる。
「いただきまーす!」
三人が声を揃える。
言葉もそうだが食事のマナーまで前世と同じとは。
偶然にしては出来過ぎている気がする。
と思うが、とにかく食事だな。
「旨いっ!」
今まで何度か猪の肉を食べたが、こんなに臭みも無く美味しいのは初めてだ!
「だろ~?リリーは料理の腕も最高なんスよ~!」
「猪肉なのに臭みがなかし旨味も強か~!それに口の中に広がるこの上質な油がまた甘かったい!豚肉よりも少し弾力があるのがまた良か感じったいな~!またこの野菜とスープが肉の旨味を更に引き出してバランスも最高!毎日食べても良かくらい!」
「ほ、褒めすぎだょ…でも…うれしぃ。」
リリーの顔が高揚している。
猫ミミがぴくぴく動いてちょっと可愛いかった。
「どうだいジジ君?リリーを嫁に?今なら熨斗がわりにこのカピ様もついてお得っスよ?」
「へ、変なコト言わないで!」
「冗談、冗談っスよ~」
「でも、本当に美味しいです!猪肉何回か食べた事あるんですが一番美味しいですね!」
「捕獲するときストレス与えず一撃で仕留めるのと、やっぱ勇者直伝血抜き方法っスね!」
「なるほど、それで臭みが無いわけですね。」
なんか食レポしてる気分。
「チーズもうまいっスよ!」
「あ、ほんとだ!?この強い香りは、もしかしてヒノキを使ってますか?」
「当たり!」
「ジジ君、凄いっス!」
「凄いのはリリーさんですよ!ヒノキは燻製には向いていないんですよ?香りが強すぎるからなかなか難しいんです。ちょうど良い具合の香り~ぅぐ、うまい!ワインに良く合う!」
あまりの旨さについ食べながら喋ってしまった。
「マジでジジ君、リリーの婿に、どう?」
「どう?って・・・」
「ちょっと!カッピー!!ジジ君困らせないで!ご、ごめんねジジ君、カビが変なコトばっかり言って。。。」
「ジジ君はいい奴だし、人見知りのリリーも気に入ってる。いいカップルだと思うんスけどね~。早く結婚して孫の顔を見せちくれ~。」
「カピさん、だいぶ顔赤いですよ。」
「あははははぁ!」
こりゃだいぶ酔ってるな。
少ししか飲んでないように見えたのだが、相当お酒に弱いようだ。
「ん~もう!」
リリーは文句をいいながらも、カピに毛布を掛ける。
中のいい家族、ちょっと羨ましく思えた。
「そういえば、ジジ君の話しを聞くんだったっスね?」
「そう、聞きたい。」
「わかりました。信じてもらえるかどうかわかりませんがお話しします。」
別に信じて欲しいわけではないが、ここまで来た経緯を話す事にした。
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