01. 転生じぃじ
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儂の名は章造。
はじめに生まれた時は独りっ子だった。
優しい両親に育てられ、普通の会社に就職。
顔も悪くないと思うし、そこそこお金も貯まっていた。
なのに、未だに未経験・・・。
何がって?
そうだよ!童貞だよ!
もう84だよ!嫁もいね~よ!
棺桶に片足突っ込んでるよ!
ちくしょー、こんな事なら意地張らず風俗行っとくんだった。
現世には後悔しかない。仕事仕事で私生活は荒れ、定年前に事故で足を悪くしそのまま養老介護。
唯一の救いは、60の時に異世界もののアニメに感銘を受けた事くらいかな。
あれからマンガや小説買い漁ったっけ
もちろん死んだらチートで転生希望。
魔王?スライム?やっぱり勇者でハーレムっしょ!!
「こ、これは~走馬灯かのぅ~」
老人ホームの散歩中、信号待ちをしていると、あろうことか異世界行きのトラックが・・・
あぁ、ホームのマドンナ喜代恵さんも倒れとる・・・
助かってくれてるといいんだが
深く暗い海に沈む感覚。不思議と痛みも無くなってきた。
これが―――死か。
「未練があるのね」
「もう、一度、やり直せたら・・・おなごを・・・」
遠くに若い女性の綺麗な声が聞こえた。
応え終わる前に、意識が遠退いた。
◼️□◼️□◼️
「リスタ!やったぞ!成功だ!」
「あなた、やったわね!」
ここは森の中、小さな湖の真ん中にある島の上。
暗闇の中、ひときわ大きな桜の木がスポットライトを浴びている。
爽やかな風が桜の花びらを散らし、辺り一面ピンクの絨毯を敷いているような光景が広がる。
「ん???」
事故にあって。それから~?
はて?ここはどこだろか?
天国?それともアニメでよくある異世界?
逸る気持ちを抑えつつ、まずは辺りを見回す。
身体が重い。思うように歩き難い。
水辺に映る姿を見て愕然とする。
「はぅは!?」
わしゃ爺さんのまんまじゃぁァァァーー!!
皺枯れた両手に溢れでた涙がこぼれ落ちる。
転生と言ったら赤子からスタートがセオリー。そうでなくても物心つく子供やチート的な才能を持って生まれてくる感じじゃん?
いやいやいや、転生したてで儂、もう寿命尽きそう。。。
そして、なぜ裸体!?
命の次に大切な入れ歯も無くなっとるし。
感傷に浸っていると見知らぬ男女が近付いてきた。
「産まれて来てくれてありがとう!私のおじぃちゃん」
「はじめてでちゅね~パパでちゅよ~」
見た目30後半?40代?くらいの二人。
執拗にバグをしてきた。
「あぅあ?」
んんん?おかしいぞ?というか、この二人もなぜ裸?
ちっ!女の人は謎の光で肝心な所が隠れとるし。
裸の爺さんに裸のオッサンが抱き付いている異様な光景。
夢なら早く覚めて欲しい。
「初めての子を授かり感謝致します。女神様!」
両膝をつき桜の木に祈る女性。
状況が呑み込めないまま、裸の男女に連れられて舟に乗り、この場を後にした。
―――――
大きな屋敷に連れてこられた。
あれから馬車に乗り、二人の使用人に服を着せられ、道中ずっとハグされていた。
裸だった二人はどうやら儂の両親になるらしい。
父の名はムリエ。母の名はリスタ。使用人が付いてるのは多分金持ちなのだろう。
理解しがたいが、生まれ変わって今ここにいるというのは事実。残念ながら爺さんの姿で。
話している内容が解るのは二人が日本語を話しているから。の割りに、こっちが話しているのはわかってくれない。入れ歯がないから喋りづらいのもあるけど。
異世界じゃないのかな?とにかく疑問だらけだ。
「今日からこの屋敷が私達家族が住む家だ」
夜中にも関わらず、使用人が多数出迎えていた。
人前では赤ちゃん言葉は使わないんだな。
色々考えていたら眠くなってしまった。
「あらあら、この子ったら。おやすみなさい」
あぁ~、じぃじ幸せ~。
リスタに抱きしめられながら、今夜は眠りについた。
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