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大霊祭(3)世界中に激震走る

軽い、ざまぁ展開を含みます。

 突然、暗転した闇空(やみぞら)を貫くように、プタンペンから湧き上がった一条の光の竜巻が、天をかき回し、闇を宇宙へ打ち払ったまさにその時、世界中の強者たちが、その空を固唾をのんで見守っていた。


 コルベスト王国とファーメル教国の国境付近にて。


 『暗殺』の勇者と『影』の勇者が会話をしている。


「クロウ! 今の現象は、なんだと思う?」

「おまえもわからなかったのか。ハイド。あれが陽動への『回答』だとしたら陽動は失敗だな」


「『光の。』が言っていた、使徒級の異端審問官の力だと思うか?」

「半々だな。あれがそうなら、勇者がまとまって掛かったところで、結果は見えている。暗殺以外には排除する方法は、ないかもな」


「つまり、俺たち向きってことか」

「そうとも。黒神に頼らずとも、俺たちならやれるだろう」


 暗殺の勇者は、クックっと笑った。


▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 サリミド王国。黒神の一柱が眠るとされる、旧ラブレスの遺跡にて


「『銃の。』今の現象は何だ? 新手の大砲か?」

「まさか。サリミドのSF(エスエフ)戦艦だって、あんな威力の装備はもってないでしょ」

「遺跡警備の教会騎士団に動きがないな」

「あらかじめ教会騎士団はこの現象を知っていた?」

「おい『光の。』まさか、これが使徒級の異端審問官の力だとか言わないよな」

「僕が聞いた話じゃ、中級龍を、素手で倒せるとかなんとか。あんな竜巻の話じゃなかったはずだが……」

「いずれにしても、奴らの手の内に、あんな物があるなら陽動は失敗だ。速やかに撤退して情報を集めよう」

「くそっ! 異端審問官め!」


 反ファーメル勇者連合は、西へと向かった。


▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 サリミド王国 飛行戦艦アトロポス上にて、館長席に座る男が、モニターを見ながら苦々しくつぶやいた。


「グレース。今の現象は、なんだ? どれぐらいのエネルギーだった?」

「解析中……。我が艦の荷電粒子砲を遥かに上回る出力です」


「やはりか……」


「解析結果出ました。出力パターンは、超光速噴出流に近似しています。光速の9割近い速さで空をのぼっていく物質が観測されました」

「馬鹿な。そんなでたらめな力が、この星のいったいどこから出てくるっていうんだ」

「文字通り、魔法の力でしょうか?」

「極大魔法よりも、上の魔法か」


「あれが地表に打ち込まれた場合の被害予測を」

「――、被害予測出ました。3秒以内におよそ80万平方キロメートルの範囲が消し飛びます」

「馬鹿な! 星の向こうの大艦隊が全滅するレベルだぞ。めちゃくちゃだ。大陸を滅ぼす、うちの『災厄』が可愛らしく見えてきた」


「偵察を出しますか?」


「いらん。あれは多分敵キャラじゃないよ。運営の仕事だ。チート使用者探しと今回のログオフバグフィックスとで運営も大わらわだろう。それより、早くアトロポスを直して、仲間達と合流しよう」

「了解」


▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 サリミドの東。セントラ帝国 帝都にて

 皇帝が玉座から身を乗り出して配下の宮廷魔導士に問いかけている。


「じい。今、何が起こった?」

星食(ほしくい)と呼ばれる現象でしょうな。暗い星が明るい星を食べると一瞬、空が暗くなりまする」

「その後の天にのぼる風は何だ?」

「おおかた風の魔法を使う賢者クラスの人間が風魔法を使ったのでしょう」

「その賢者を探せば、あの忌々しい鳥船を落とせるだろうか?」

「鳥船は、我が帝国の誇るゴーレムコンソールの大口径砲一斉射でも落とせません。風魔法では、おそらく無理かと」

「なんだ。つまらん」


 皇帝はフンと鼻を鳴らした。


▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 旧大陸 黒曜の美しい城の屋上庭園にて。


 コウモリの翼とかわいらしい悪魔の尻尾を持つ恐ろしいほどの美貌の少女と、冴えない男が話している。


「おい。スーパーレア。今のを見たか?」

「ハル様。レアリティで私を呼ぶの、やめてもらっていいですか? 私はアルシェです。夢の魔王、夢魔アルシェ」

「芸術的だぞ。今の魔法は。相当マニアックなやつがデザインしたに違いない。無限格納を廃棄宇宙と次元連結するなど、誰が思いつくものか。そしてなるほど。『無限格納内のものは自由に移動できる』というルールを使って、中の星を極めて低コストでブラックホールに転移させているのだ。弱き者も、あなどれんな……」


 聞いてませんね。まったく。


「ハル様。3大神を除けば弱者ばかりの新大陸に、そんな『強者』がいるのですか? てっきり私は、3大神の誰かが放ったものかと……」

「『強者』? 強いか弱いかで言えば弱いだろう。あれでは、俺には傷一つつかん。それより使用者が女だといいな」


「ハル様は少し常識を学ぶべきです。ハル様にダメージを与えられる人なんて、そもそも3大神ぐらいしか、いないじゃないですか?」

「そうでもないぞ。抱いたときの精神ダメージが酷い女もいる。最近はハズレを避けられるようになったが」


「……誰かこの変態を倒してください。なんでもしますから」

「んっ? 今、何でもするって言ったよね? 今日こそは、感度全開しっぽニギニギプレイを、させてくれる気になったのか? 見るか? スーパーレア。我が、快楽の深淵を」


「快楽死しちゃいますし、そもそもハル様には言ってませんッ!」


▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 ナギール共和国より、はるか西。とある国にて。


「カレン様。今の現象は一体なんでしょうか?」

「いろは。すぐに何でも人に聞こうとするのが、おまえの悪い癖だ。直せ」

「アルには聞いてない」

「別にいいわよ。アル。いまのは起源魔法ね。ブラックホールからでてくる星間物質のジェットを魔法で再現したものよ。私なら寸分違わず、同じ魔法を今、ここで再現することもできるけど。実際に見てみる?」

「遠慮します」


「あれが我々に向かったら、どうなってしまうのか」

「どうもならないわ。まず私は無傷。アルは大やけど。いろはは、あの子とは友達なんだから、撃たれることはないでしょう」


「一体、誰があんな魔法を撃ったのですか?」

「だから、あなたの友達だって言ってるでしょ」


 クスクスと笑う、銀髪、赤紫色の瞳の、神がかった美しさの少女はそれ以上は何も答えなかった。


▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 ナギール共和国、詐術の魔王アジトにて


 詐術の魔王の部下たちが龍たちの反応の消失を確認し恐怖におののいている。


「詐術の魔王様! 大変です! 使徒級に接敵した、天空龍の反応が消えましたッ!」


「報告は正確になさい。いったい何騎の龍が落とされたというのです? 10や20なら想定の範囲内です。慌てることはありません」


「それが……、全滅ですッ! 一撃で、すべて落とされましたッ!!」


「バ……、馬鹿な。天空龍1500がただの一撃で全滅? 何が起こった!? あり得ない! 本物の使徒だとしても限度というものがあるだろう! いくらなんでもソレはないッ!!」


「事実ですッ!!」


「周到に準備した私のすべての計画が、一瞬で消し飛んだとでもいうのかよッ! 私の立身出世は!? 今の立場すら危ういじゃないか! このままでは私の地位が! 闇の魔王様に見放されてしまうッ! あぁっ!! なぜだ! どうしてこんなことに!」


「詐術の魔王様! こうとなっては、もう他に手段はありません。玉砕の許可を。我々全員で、コルベストを攻めましょう!」


「それはできないッ! 今はむしろ、力を蓄えなくては! これから続く厳しい局面を乗り切るには、一人でも多くの仲間をそばに置く必要があります。ああ。どう申し開きをしたものか。頭が痛いッ!」


「勇者連合の方はどうしましょうか?」


「そうですねぇ。せめて足を引っ張る龍騎の勇者は切り捨てておきたいところだ!」


「龍騎の勇者が、プタンペンに急行しているのを確認しました!」


「飛んで火にいる夏の虫ですか! ふふふ。せいぜいあの馬鹿には派手に燃えつきてもらいましょう」


「御意!」


▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 プタンペン付近。上空。

 龍騎の勇者は焦っていた。


「なんでっ!? 天空龍たちの声が消えた! どうしちゃったのよ! 何があった? いきなり龍たちが巣を全員で飛び立ったと思ったら、突然声が聞こえなくなるなんて!」


「グォォォオォン」


「ヒューイ! 透明化は解除していい。全速力で現場に向かって! 急がなければ、酷いことが起こりそうな気がするの」


「グォン!」


 龍騎の勇者は、竜巻の発生源へ急行した。

読んでるぞー。おもしろかった。誤字脱字を見つけた。ここが変だよ。

とっとと続き書け等、思われた方は、評価、ブクマ、コメント、

レビュー等いただけるとうれしいです。


活動報告に各話制作時に考えていたことなどがありますので、

興味のある方はどうぞ。

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